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公害・環境

健康に、安心して暮らせる生活環境を守るために

environment.jpg大きな公害問題だけでなく、身近な生活環境に関する問題にもわたしたち弁護士は積極的に取り組んでいます。
生活環境は毎日の暮らしの基本であり、それが侵害されることは、大変深刻な問題です。
わたしたちは、市民の皆様が安心して暮らせる生活環境を取り戻すためのお役に立ちたいと思っています。

一般に環境に関する問題の解決には、大きく分けて「行政による取締り」と「司法による解決」とがあり、この二つは区別して考える必要があります。

弁護士は、おもに司法による解決にかかわります。
司法による解決の手段には「民事調停」、「民事訴訟」、また緊急を要する場合の「仮処分」などがあります。

一般に、公害・環境問題における訴訟や仮処分においては「受忍限度」(受忍限度については、「振動」のQ&Aをご覧ください)が問題となります。専門的な判断が必要となりますので、環境問題でお困りの時は、わたしたちにご相談ください。

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「公害」には、どんな種類があるのですか?

環境基本法2条3項は、「公害」という語について、以下のように定義しています。

「この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第16条第1項を除き、以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。」

この規定に列挙された、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭の7種が典型的な公害であり、典型7公害と呼ばれます。

隣地の振動、騒音,悪臭,日照侵害等の環境被害についてはどのような解決手段が考えられますか。

不法行為に基づく損害賠償請求が考えられます。これらの環境被害において損害賠償が認められるかは,受任限度を超えているかにより判断されます。
たとえば、振動の被害が問題になる場合、一般に、被害が生じていればすべて違法であるというわけではなく、その事案についての具体的な事情を総合的に考慮して、被害が社会生活上受忍すべき限度を超えている場合に初めて違法であると評価されます。この「社会生活上受忍すべき限度」が受忍限度です。
振動の受忍限度の判断にあたっては、振動の発生源の種類や発生する頻度・時間帯、被害の性質や程度、当該地域の性格など、種々の事情を考慮して判断されますが、実際上最も重要なのは、法令上の基準(振動規制法や条例による規制の基準値)を超えているかどうかという点です。
ある振動による被害が受忍限度を超えているかどうかは、最終的には裁判所に判断してもらうしかありません。
受忍限度の考え方は、振動だけでなく、騒音、悪臭、日照など、公害紛争一般において広く採用されています。

人の嗅覚による悪臭の規制とは、どんな方法ですか?

悪臭防止法が採用しているのは、三点比較式臭袋法(さんてんひかくしきにおいぶくろほう)と呼ばれる方法で、次のようなものです。

6人以上のパネル(においの有無を判定する人)に、それぞれ3つのプラスチック製の臭袋が用意され、そのうちの1つに臭気を測定したい試料、残りの2つには無臭の空気が充たされます。各パネルは、3つの臭袋の中身を嗅ぎ、どの袋ににおいが入っているかを当てます。パネルが正解した場合には、試料を無臭の空気で薄め、再度、同じテストを行います。

試料が入っている袋をパネルが嗅ぎ当てられなくなるまで空気で薄め、そのときの希釈倍数(何倍に薄めたか)を求めます。それを全パネルについて平均したものを臭気濃度といい、臭気濃度に数学的な処理を行なって算出した臭気指数という指標によって、悪臭の規制を行います。

この方法は、悪臭の原因である物質を問わずに(従って、複数の物質が原因となって発生する悪臭も含め)一般的に悪臭を規制する点で、機器分析法と異なります。

自宅の隣地はこれまで駐車場でしたが、マンションが建築されることになりました。このマンションが建築されると自宅の日照が大きく損なわれますので、建築主に建築計画の変更を求めたのですが、建築主は、建築基準法の規制は守っているから問題ないと言って、とりあってくれません。建築基準法上の規制を守って建築される建物については、日照の被害を受けても我慢しなければならないのですか?

建築基準法による規制を満たしている建物であっても、必ずしも日照被害についての保護(差止請求や損害賠償請求)が認められないわけではありません。規制を遵守しているかどうかと、日照被害が受忍限度を超えるかどうかは別問題です。ただ、規制を遵守しているかどうかは、受忍限度の判断にあたって考慮されるいろいろな事情のうちの重要な一つには違いありません。

また、ある建物が日影規制が適用されない地域に建築されるからといって、その建物によって生じる日照被害が全く保護されないということもありません。

自宅の裏に4階建ての商業ビルがあり、建物のそばに多数のエアコンの室外機が設置されていて、夜遅くまで大きな音がするため、眠れません。どうすればいいでしょうか?

まず市役所などの公害苦情相談担当部署に相談するのがよいでしょう。担当者が騒音を測定した上で、法律や条例の規制に違反していれば相手方に是正の指導等をしてくれることが通常です。

規制に違反していない場合には、担当者はそれを理由に、役所としては何もできないと言うかもしれませんが、その場合でも、方法がないわけではありませんので弁護士にご相談されることをお勧めします。

自宅の隣の作業場からの騒音の被害を受けています。作業場の経営者に話し合いを求めたのですが、拒否されてしまいました。裁判をするしかないでしょうか?

公害紛争の解決方法としては、裁判(訴訟による差止めや損害賠償請求、あるいは緊急を要する場合の仮処分)のほかにも、簡易裁判所の調停、都道府県公害審査会の調停(公害審査会をおいていない県もありますが、そのような県でも公害審査会による調停と同様の調停が可能です)、各弁護士会の置いている紛争解決機関(東京弁護士会の場合は「紛争解決センター」)での話し合い、公害等調整委員会の責任裁定や原因裁定など、いろいろな手段があります。

これらの手段には、それぞれ特色や長所・短所がありますので、事案の性質に応じ、適切な手段を選択することが大切です。

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