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体罰

体罰とは、懲戒として、殴る、蹴る、直立不動の姿勢をとらせるなどの肉体的苦痛を懲戒として与えることをいいます。トイレに行かせないといった行為も肉体的苦痛を伴うので、体罰にあたると考えられます。
学校教育法11条は「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と定めており、体罰は禁止されています。
体罰に当たるかどうかの判断について、文部科学省は、「当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある」、「有形力(目に見える物理的な力)の行使により行われた懲戒は、その一切が体罰として許されないというものではなく」などとしていますが(18文科初第1019号・平成19年2月5日)、いずれにしても、肉体的苦痛を伴うようなものであれば体罰に当たる点に注意する必要があります。

Q&A 多くの方々から頂く代表的なご質問

中学生女子です。始業のチャイム後担任の先生にいきなり頭を殴られて、もう学校に来なくてよいと言われました。ほかにも殴られた生徒はいて抗議もしたのですが、いまだに生徒を殴っています。

学校教育法で「校長及び教員は・・・体罰を加えることはできない」と定められており(11条)、体罰は法律ではっきりと禁止されています。もし抗議をしても先生が態度を改めない場合にどうしたらよいか、は、その学校の他の先生達や校長先生などが、体罰についてどう考えているかによっても、どういう方法がよいかが変わってくるかもしれません。
もし、その学校の先生達の中で、体罰をよくないと考えている先生達が多いとか、生徒の立場に立って話を聞いてくれる先生(あるいは校長先生)がいるという場合には、まず、話を聞いてもらえそうな先生に相談してみるという方法で効果があるかもしれません。一人では不安だという時は、同じく体罰の被害を受けた友達や体罰を目撃した友達と一緒に行くようにしましょう。

学校には生徒の立場に立って話を聞いてくれそうなひとはいないという場合、親があなたの話を受けとめて聞いてくれそうであれば、親に相談にするという方法も考えた方がよいかもしれません。学校で体罰があるのに、先生が対応してくれない場合、あなたの学校が公立中学なら教育委員会に相談することも考えられますが、その際には、子どもだけでなく、親など大人を通して動く方が効果的なことが多いです。

学校の先生も、親も、話を受けとめて聞いてもらえそうにないという場合、この弁護士会で「子どもの人権110番」という電話・面接の相談をしていますので、そこにまずは電話で相談してみてください。担当の弁護士が、あなたが出会った出来事について話を聴いてくれますし、これからどうしたらよいか、どういう方法があるかなどについても相談に乗ってくれます。体罰を受けたことで学校に行けない状況になったときは、保健室登校を認めるなど学校に行けるような配慮を学校に求める方法もありますし、転校という選択肢を考えた方がよいこともあります。

小学生の息子が学校の教師に首を掴まれた上、投げ飛ばされ、それが原因で前歯が折れるなどしました。クラスの中でいじめがありそれに子どもが関与していると思ったのか、教師が「別の部屋に来い」とひどい剣幕で怒鳴り、上記体罰を受けたようです。怪我をしたので、校長を交えて話し合い、学校が当該事実関係を認めるのか、謝罪の意思があるのか文書で回答するように要求していますが、このような対応でよいでしょうか?

体罰については、(1)教育上必要がある懲戒行為であったとしても禁止されており(学校教育法11条)、暴行の違法性は阻却されない、(2)体罰の動機が生徒への愛情に基づくとか、それが現に広く行われているということは違法性がないとする理由にはならない、といった点が重要です。判例においては、女子数人を殴るなどの悪ふざけをした男子生徒を追いかけて捕まえ、胸元を掴んで壁に押し当て、大声で叱った行為について、有形力の行使ではあるが、その目的(指導目的)、態様、継続時間等から判断して、体罰に該当しない場合に当たる、とその相当性を考慮して判断していますが、このような基準によったとしても、首を掴んで投げ飛ばしたという今回のケースは明らかに体罰に該当すると考えられます。

学校に対する関係では相談者が現在採っている措置で問題ありません。回答が遅ければ期限を定めて回答を求めるなどして、学校側の認識を確かめることが必要です。学校側が事実関係をきちんと把握し、謝罪や再発防止のための対応策を誠実に行うというのであれば、学校側と前向きな話合いをしていきましょう。もし学校側が誠実な対応を行わない場合には、教育委員会に相談することも考えられます(公立学校の場合)。

なお、体罰によるような場合も含め、「学校の管理下」で起きた事故・事件による負傷等については、独立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づく災害共済給付で、治療費・見舞金等が支給されます。この給付は学校を通じて請求することとなりますので、まずは学校にこの給付の利用について確認しましょう。

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子どもの人権110番 TEL 03-3503-0110「さぁ、子どもの味方、110番」
 
時間 月~金曜日 13:30~16:30 17:00~20:00、土曜日 13:00~16:00