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国際女性デー(International Women's Day)にあたり、選択的夫婦別姓制度の導入を再度求める会長声明

2024年03月08日

東京弁護士会 会長 松田 純一

3月8日の国際女性デー(International Women's Day)は、1977年には国連総会で決議され、世界で女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対し呼びかける日となっている。我が国も、1985年には、女性に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とする女性差別撤廃条約を批准して、国連決議の理念にそった施策をすることを約束している。
夫婦同姓制を定める民法第750条等については、これまで裁判を通じて、上記の女性差別撤廃条約等の違反や憲法第13条、第14条、第24条第1項及び同条第2項違反が主張され、その違憲性が争われたものの(2015年最高裁大法廷判決、2021年最高裁大法廷決定・2022年最高裁決定等)、有力な違憲意見にもかかわらず、多数意見は民法第750条等を合憲とした。
本日、新たに、夫婦同姓制の憲法・条約違反を主張する訴訟が、東京と札幌で提起されたとの報道に接した。
地方議会においては、2015年の最高裁大法廷判決以降、国に対して選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書が採択され続け、2024年1月末時点ではその数は296議会に及んでいるといわれ、また、2021年の内閣府の世論調査では女性の18~29歳の45.7%が選択的夫婦別姓制度に賛成し、旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよいという意見も43.3%と合計約9割が制度改革を望み、2023年2~3月の厚労省国立社会保障・人口問題研究所等の「家族と性と多様性にかんする全国アンケート」では18~69歳の全国の住民の83.9%が、共同通信社の2023年3~4月のアンケートでは18歳以上の男女の77%が選択的夫婦別姓制度に賛成すると回答している。このように、選択的夫婦別姓制度の実現を求める社会の声が、日増しに強くなっていることは明らかである。そもそも夫婦同姓を強制する民法第750条のもと、実に約95%の夫婦が夫の氏を選択しており氏の変更による不利益は圧倒的に女性に偏っているが、これは「個人の尊厳と両性の本質的平等」に立脚する立法等を求める憲法第24条に反する状況である。
当会は、第三次男女共同参画基本計画(2022年4月に施行)の重点目標Ⅱで「会員の業務における性別及び性差による障害の解消と職域の拡大」をかかげ、その中で「ライフイベントによって弁護士としてのキャリアが分断されないように可能な限り制度を整える」ことを個別目標とし、具体的な行動計画として、「日弁連と連携して、選択的夫婦別姓制度実現の取組みを進める」ことを定めて2027年3月までに達成するべき目標としている。そして、これまでに選択的夫婦別姓制度の導入を求める会長声明を発して市民への連帯を示してきた(2015年3月2015年12月2021年6月2021年7月等)。
国際女性デーは、女性の地位向上、女性差別の払拭等を目指す国際的な連帯と統一行動の日であり、日本においても、女性の差別的な状況を改善し、男女平等を実現するために一人一人が行動することが求められている。
当会は、国際女性デー(International Women's Day)にあたり、これからも選択的夫婦別姓制度実現のための取組みを継続して進めることを宣言するとともに、立法府はじめ関係各所が、改めて選択的な夫婦別姓制の迅速な実現のため、尽力することを強く促すものである。

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