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少年法「改正」法案の参議院における修正を求める声明

2007年04月20日

東京弁護士会 会長 下河邉 和彦

 4月19日、衆議院において、少年法「改正」法案が可決され、参議院に送付された。
衆議院において可決された法案は、当会が強く反対してきた「ぐ犯少年である疑いのある者」について警察に調査権限を付与する条項が削除されるなど、当初の法案に比べ、大幅に修正されていることは評価できるが、なお多くの問題点が残されている。

特に、少年院収容可能年齢を現行の「14歳以上」から「おおむね12歳以上」に引き下げたことは、小学生をも少年院に収容することを可能とするものであり、極めて問題である。
そもそも少年院における集団的矯正処遇は低年齢の少年にふさわしい処遇とはいえない。低年齢で非行に走る少年は、被虐待体験を含む過酷な生育歴を有していることが多く、その再非行の防止には、児童自立支援施設での処遇のような温かい家庭的な環境の中で「育てなおし」をすることが必要というべきである。

また、14歳未満の触法少年の疑いのある者について警察に捜査権限類似の調査権限が付与されたことも問題である。低年齢の少年には福祉的・教育的支援こそ必要である。仮にこれらの権限を付与するとしても、これに対応して、調査への弁護士の立会いや調査全過程のビデオ録画など、少年の防御権が保障されていなければならない。本法案においては、弁護士付添人選任権や少年の情操に配慮する義務など当然のことが加えられたにとどまり、防御権の保障は未だ不十分である。

さらに、保護観察中の少年の遵守事項違反を理由とする少年院等送致を認めたことは、保護司と少年との信頼関係や人間的な交流を基礎として少年の健全育成を実現するという保護観察制度の理念を著しく後退させるものであり、問題である。

よって、当会は、参議院において、十分に議論が尽くされ、残された問題点について更なる修正が行われることを、強く求めるものである。