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犯罪被害者等参加制度関連法成立に対する会長声明

2007年06月21日

東京弁護士会 会長 下河邉 和彦

 昨日、犯罪被害者および遺族(以下「犯罪被害者等」という。)の刑事手続参加制度の新設を含む「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立した。
当会は、犯罪被害者等が刑事裁判手続に当事者として直接参加する制度については、必ずしも犯罪被害者等の救済・支援にならないばかりでなく、近代刑事司法の理念に反し、刑事裁判における被告人のための憲法上の適正手続保障をないがしろにする懸念があり、またこのような被害者参加制度を想定していない裁判員制度の裁判員に過度に影響を与えてしまう虞があるとして、強く反対してきたものであり、にもかかわらずこの法律が成立したことは、誠に遺憾である。
この当会の指摘は、参議院法務委員会での附帯決議が、(1)当事者主義の理念を前提とすること、(2)過度の報復感情や重罰化を招かないこと、(3)被告人の権利の適切な保障などに配意した公正かつ適正な運営、(4)実施時期が近接する裁判員制度において特に被害者参加人による量刑に係る意見については裁判員が被害者参加制度の趣旨を十分に理解することができるよう配意することを、政府及び最高裁判所に対して求めていることにも如実に表れている。
当会は、法案提出及び衆議院可決の際にもそれぞれ反対の声明を発表したところであるが、今回の犯罪被害者等参加制度関連法の成立を受け、あらためて、上記附帯決議が指摘する運用の徹底と、当会がこれまで指摘した問題点についての制度の不断の見直しを、今後とも制度施行の前後を問わず求めていくものである。