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民法(債権法)改正に関する法制審議会での審議にむけての会長声明

2009年12月04日

東京弁護士会 会長 山岸 憲司

 法務大臣は、10月28日に開催された法制審議会に、民法(債権法)の抜本的改正を諮問し、法制審議会は、さる11月24日に民法(債権法関係)部会の第1回会議を開催した。

 民法典のうち、財産法に関する部分は、明治31年の民法典の施行以来、平成16年に全面的に現代語化された以外は、部分的な改正はあったものの、全面的な改正はなされていない。民法施行当時から現在までの社会、経済情勢の変動や、その後の判例法理の集積等に鑑みると、今日、民法改正を行う必要性は否定できない。

 しかしながら、いうまでもなく、民法は、わが国の私法の基本法であり、重要なインフラストラクチャの一つであって、その改正は、一人ひとりの国民の生活に極めて大きな影響を及ぼすものである。したがって、民法(債権法)の改正は、実際に民法(債権法)によって規律され、また、これを利用する国民のために行われなければならない。そのためには、改正がなされた場合の国民生活に与える影響という実際的な観点からの検討が極めて重要であり、早い段階から国民各層の意思が反映されるような措置を講じる必要がある。

 法制審議会の民法(債権法関係)部会には、国民各層から委員及び幹事が選任されているとはいえ、限られた人数の委員及び幹事を通じて、国民各層の意見を法制審議会での議論に反映させるためには、適時適切な情報開示と十分な審議のために特段の配慮が必要である。

 以上を踏まえ、当会は、法務省に対し、民法(債権法)改正にあたって、その重要性に十分に配慮し、以下のとおり、広く国民各層の意思が反映されるための万全の措置を講じることを求めるものである。

  1. 民法(債権法関係)部会での議論の叩き台となっている原案の公表。
  2. 民法(債権法関係)部会での議論の状況及び配付資料等の適時の開示。
  3. いわゆるパブリックコメントの募集回数を1回に限ることなく、また、パブリックコメント募集に当っては十分な期間を取ること。

 当会は、弁護士が民法と国民を橋渡しするものとしての地位にあることに鑑み、真に国民のためになる民法(債権法)改正が実現されるよう、これまでの研究者による各種学術的研究成果を十分に踏まえつつ、実務法曹として積極的な提言を行っていく所存である。

 以上のとおり声明する。