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1票の較差をめぐる最高裁大法廷判決に関する会長声明

2012年10月17日

東京弁護士会 会長 斎藤 義房

平成24年10月17日、最高裁判所大法廷は、平成22年7月11日に施行した参議院議員通常選挙(選挙区選出)で選挙区間の投票価値の較差が当時最大5.00倍に達していたことについて、「選挙区間の投票価値の不均衡は、違憲の問題を生ずる程度の著しい不平等状態に至っていた。」とした。

しかしながら、同判決は、「もっとも、上記選挙までの間に上記議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、その規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」とした。

その上で、大法廷は、「参議院議員選挙における投票価値の平等の要請や国政の運営における参議院の役割に照らせば、より適切な民意の反映が可能となるよう、単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ、できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある。」として、選挙区の大幅な見直しを伴なう立法措置を求めている。

選挙権は、民主主義の根幹を構成する重要な権利である。一票の実質的価値に明らかな差異が生じることを許容するならば、有権者の意思を公平かつ合理的に立法府に反映させるための平等選挙制度の機能は著しく阻害されることになる。

当会は、かかる投票価値の平等の保障の重要性に鑑み、国会に対し、直ちに、同判決が指摘する「違憲の問題を生ずる程度の著しい不平等状態」を解消するための立法作業に着手して、1票の価値の較差をできるかぎり1倍に近づけるよう強く求めるものである。