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「商業登記規則等の一部を改正する省令案」についての会長声明

2014年12月24日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

1 近時、法人格を悪用する悪質商法が多発する中で、被害の救済を目指して取締役等の責任追及を図ろうとしても、①取締役等の住所を調査する手段がない、②そもそも最初から架空人名での取締役等の登記がなされている、③取締役等に就任することを承諾した事実がないといって争われるなどの困難な事案が少なからず存在する。そうした中、今般、商業登記規則を改正し、資料を提出させて取締役等の本人確認、意思確認を確実に行うことが求める方向が示されたことは(同改正案第61条5項)、上記の弊を改めるものとして賛成するところである。
 ただし、改正案では、資料として住民票の提出を求めるものとされているが、住民票は、「自己の権利を行使し、または自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者」であれば取得できる。そのため現在でも住民票の不正取得・不正利用は一定程度発生しており、その点を考慮すると、本人確認、意思確認の手段としては万全とは言い難い。そのため、住民票よりもなお、本人確認・意思確認が厳格になしうる印鑑登録証明書の提出を求めるべきである。
2 その他の改正案及び新設の条文についても、厳格な本人確認・意思確認をするものであり、あるいは、当該取締役の責任を追及するための便宜に資するものであるから、いずれも賛成する。

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