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オバマ大統領の広島訪問に関する会長談話 ~核なき世界の実現を目指して~

2016年05月23日

東京弁護士会 会長 小林 元治

 オバマ大統領が、原爆投下から71年目の年に、アメリカ合衆国の現職大統領として初めて広島を訪問することが決まった。
 このことは大変に意義深く、歴史的なことである。
 現職のアメリカ合衆国大統領の広島訪問は、原爆投下により広島及び長崎で亡くなった多くの犠牲者を追悼するとともに、未来に向けた核兵器廃絶への強い姿勢を示すものである。
 オバマ大統領は、就任直後の2009年4月5日にチェコのプラハにおける演説で、アメリカ合衆国が「核兵器のない世界」を追求する決意を表明したが、広島訪問によって世界にその姿勢が再び示されることで、世界的な核軍縮の流れが加速することが期待される。
 そして、今回の訪問は、「米大統領に、被爆の実相を知ってほしい」という被爆者と被爆地の願いに応える行動でもある。被爆者は、人類の一員として、核兵器による惨禍の実態を伝えようとしており、オバマ大統領はその思いを受けとめて、「核兵器のない世界」の実現につなげてほしい。
 アメリカ合衆国は原爆を投下した唯一の国であり、日本は唯一の被爆国である。そのような立場にある両国が世界の核兵器の廃絶について果たすべき役割は大きい。
 現職の大統領が広島を訪問し、被爆の実態を直接知ることにより、アメリカ合衆国の核兵器政策に影響を与える契機となり、未来に向けて核兵器廃絶という課題を前進させる原動力になってもらいたい。
 そして、日本は、核兵器の惨禍を世代と国境を越えて伝えていくとともに、国際社会の核兵器の廃絶に向けての取り組みを主導する使命があることを自覚しなければならない。
 進む道は困難であるものの、国際社会の声に耳を傾け、英知を結集して、人類の平和のために、日米両国がそれぞれの立場で核兵器の廃絶に向けて前進していくことが強く望まれる。
 当会は、人類不戦の原理の堅持と、核なき世界の実現をめざして、これからもあらゆる努力をしていく所存である。

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