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弁護士でない者が弁護士を装い事件を勧誘していることに関する会長声明

2003年04月24日

東京弁護士会 会長 田中 敏夫

最近、破産免責を得られた方や債務整理を経験された方に対し、違法・不当な文書が送りつけられるという事件が全国的に発生しております。
たとえば、平成15年4月12日の朝日新聞に、自己破産をして官報に掲載された方々に、支払う義務がないにもかかわらず官報掲載費用の振込みを求める文書が送りつけられているという事件が報道されております。この文書は「政府刊行物官報掲載料支払い通知書」と題されており、5日以内に「官書普及協会」という団体の指定口座に3675円を振り込むこと、振り込みがない場合には「破産免責決定の効力を得ない結果を招く恐れがある」旨が記載されております。
また、自己破産をした方々を含めた多重債務者に対して、弁護士でない者が「当弁護士が相談にのります」「東京弁護士会 ○○法律事務所 弁護士△△」などと記載したチラシを送りつけて事件を勧誘している事実が全国規模で多数報告されてもおります。
さらには、支払い義務のない方々に対して、債権譲渡を受けたので残債務○○円を支払うよう求めるなどと記載した「返済請求通知書」なる文書が送られている例や、身内の方や会社への取り立てを含めどんな手を使ってでも必ず回収するなどと記載した電報を送りつけるという例も多数報告されております。
その他にも、全国信用情報センター連合会による定期個人情報調査に関する連絡であるなどと称して実在しない弁護士事務所の名前を使って電報を送りつける事例や勝手に弁護士名を騙って債務整理事件の勧誘をしている事例も報告されております。
このような文書を受け取った方々については、破産免責の失効を心配されたり、脅迫的な追及から逃れるために止むなく不当な支払要求に応じたり、あるいは弁護士名を騙っての債務整理の勧誘に乗ってしまうことが予想され、このような行為が横行した場合には、破産手続や債務整理によって生活の再建を図ってこられた市民の方々が食い物にされ、その経済的な立ち直りを阻む結果となってしまいます。
当会は、このような無法状態が横行しつつある状況を深く憂い、被害の拡大を防ぐために、ここに、このような不当な請求や弁護士名を騙っての債務整理の勧誘等に応じられることのないよう市民の皆さんに注意を呼びかけるとともに、不当、違法な行為を行っている者に対しては従前にも増して厳重な対応をしていくものであることを確認し、本声明を発する次第です。