東京弁護士会
子どもの人権と少年法に関する特別委員会

子どもの人権と少年法に関する特別委員会

 

パート3:学校生活Q&A

Q.1「校則」って何ですか?

学校ってどうして、こんなにきゅうくつなんですか、息がつまっちゃいそうです。標準服だって言いながら、絶対に着なければいけない、授業にださないぞ、って言うんです。
ソックスも、白1色で、ワンポイントもいけないんです。シャーペンはいけないので、持っていって取り上げられるのもくやしいから、前の日に、家で宿題の時に使ったら、カンペンに入れないように気をつけないといけないんです。給食も、三角食べとかいって、牛乳、ご飯、おかずの順序でたべなさいと強制されます。掃除の時は、黙って働けと、怒鳴られます。ジャージも、ポケットに手を入れて歩くのは危ないから、ポケットの口を縫ってきなさいですって。もういろいろあってきりがないんです。なぜ、こんなことをしなければいけないんでしょうか。こういうことがなければ、もっと楽しく勉強できるし、友達とも遊べて、学校へ行くのが楽しくなると思います。今のままだと、学校に行くのが、いやになってしまいそうです。こういう決まりは、全部守らなくては、いけないんですか。
又、皆も、このような決まりについて、いやだいやだと言っています。変えることはできないのでしょうか。

A.1 本当に、決まり決まりでうんざりしますね。

私たちは、校則は、あなたの自由を制約するものですから、必要最小限にするべきだと考えています。 例えば、登下校の時間を守るとか、授業妨害はしてはいけないなどという集団生活のルールは必要です。このような校則は、守らなくてはなりません。これは、あなたが、学校を卒業して社会生活を、するときにも要求されることです。でも、あなたの挙げているようなものは、どうしても必要な決まりではありません。むしろ、理由のないものでなくすべきです。このような理由のない決まりは本来守る必要のないものです。 ところで、現在の学校では、がまん強くなるためとか、規則正しい生活習慣・きちんとした生活態度などを身につけるために必要だとして、非常に細かい校則を決めていることが多いようです。例えば、寄り道の禁止、登下校中の歩き方や飲食の禁止、知人・目上の人へのあいさつの仕方、カバンの正しい持ち方、歯磨き・洗顔の日常励行、靴のしまい方、授業中の姿勢、挙手の仕方、発言の仕方、清掃の仕方、言葉づかい、家庭学習のやり方、男女交際の方法、etcです。 しかし、こういうことは、家庭で毎日の生活の中でひとりひとりが、習慣として身につけていくことですね。今のように、ただ、学校で規則を作って守らせるだけのやり方では、決して身につかないと思います。又、現在、校則を守らせるために、所持品検査をして取り上げたり、体罰をしたり、教室から追い出したり、髪の毛を切ってしまったり、強制する学校が増えていますが、決して許されないことです。 次に、校則を変えられないかということですが、校則が間違っていれば、もちろん、あなたたち、生徒にも変えることができます。 現在、校則は、学校が一方的に決めているものがほとんどです。 しかし、学校は、生徒を主体としたものですので、直接あなたの人権を制約する校則を、学校だけで決めてしまうことは許されないと、私たちは考えています。 あなたたち生徒と学校と親とが話し合って校則を作ることができます。 あなたの学校のように、今の校則には、おかしいものがたくさんあります。 ぜひ、この機会に、校則について、なぜ、この校則はあるのだろうか、本当に必要なのだろうかなどということを考えてみて下さい。 そして、生徒会、先生、親たちともしんぼう強く話し合って、楽しい学校生活を送ることができるような校則を作ってください。 

Q.2 制服は着なくてはいけないでしょうか?

私の公立中学校では、「制服」の指定があります。私は、どうしてもその「制服」を着て行きたくありません。これだけの理由で、「制服」を着ないことはいけないのでしょうか。

A.2 公立中学校の「制服」というのは、後に述べるように標準服にすぎないので着たくなければ着なくてもいいです。

あなたには、どんな洋服を着て今日1日をすごすかを決める権利があります。それぞれが好みで着るものを選ぶことができます。ただ、いつどのような場所でどのようなものを着ているかということは、あなたに対する評価の1つにもなりますから、よく考えて選ぶ必要があるでしょう。
中学校は集団で授業を受けたり、生活をする場所です。ですから洋服から音がするとか、洋服が光る等他人の迷惑になるような服装はしない方がよいでしょう。しかし、そういうことがないのに特定の服を着なければならないということはありません。単に着たくないという理由で着ないこともできます。まして「制服」でないから授業を受けさせないとか、修学旅行に参加させない等の差別することは許されません。
ところで、公立中学校では一応の標準的な服装として「標準服」を定めている学校が多くあります。むしろ制服というより、この標準服を定めている学校がほとんどです。これを「制服」と思い違いしている人はいないでしょうか。この標準服は、もともと標準的な服装にすぎないのですから、これを着るかどうかはあなたの自由です。そしてこのことは「制服」だけでなく、靴下やリボンや下着についても同じです。他人の迷惑にならない限り、自由にしてよいのです。

Q.3 坊主刈りはいやです。長髪はいけませんか?

僕が通っている公立の中学では、男子は3分刈りでなければならないという規則があります。また女子についても前髪がまゆげにかからないこと。そしてうしろはおかっぱか又は肩に髪の毛がかかる時はむすぶという規則があります。定期的に頭髪検査がされ、違反している場合は、バリカンやはさみで切られてしまいます。なぜ、このような髪形でなくてはいけないのか分かりません。僕は、長髪にしたいのですが、認めてくれません。これは、おかしいのではないでしょうか。

A.3 本当におかしいですね。頭の毛は、君の一部です。

ですから君は髪の長さ、どんな髪形にするかについて、自分で決める権利を持っています。ひとりひとりの姿や顔がちがうのですから、ひとりひとりが自分に似合った髪型を決めることは、当然のことでしょう。 しかし多くの中学校で、男子について、坊主刈りとか、女子については、前髪のながさやうしろの髪形について定めています。最近ではこの規制が厳しく天然パーマの女の子がストレートパーマをかけたというおかしなことまで起きています。 ところで、長髪だと、集団で授業を受けたり、生活をするのにさしつかえがあるでしょうか。モヒカン刈りやパンカーみたいに髪を高くて固めているような髪型にすると、後ろに座っている人が前の黒板が見えなくて困るという事はあるかもしれません。しかし、単に長いだけならば、他の人に対して迷惑になることはありません。 ですからこのような髪型の規制をしている校則自体に問題があります。長髪でかまいません。先生がバリカンで坊主刈りにするとか、女の子の前髪を切ってしまう学校もあるようですが、これは絶対に許されません。  裁判所は、坊主刈りと定めた校則について、直ちに違法という判断していませんが、「中学生らしい」「スポーツをするのに最適」「清潔」「非行防止」等、坊主刈りを支持する人達があげる根拠について、合理性は認められないと判決しています、また、バリカンで強制的に丸刈りにするとか、クラブ活動を制限する等の強制的措置を伴うならば、坊主刈りを定めた校則は違法と判断しています。(熊本地方裁判所 昭和60年11月13日)

Q.4 所持品検査は、拒否できますか?

私の学校では、異常に規則が細かくて、持って来てはいけない物がたくさんあります。そして、1週間に1回、かばんやポケットの中の物を全部机の上にあけさせられて、班長が点検して、違反品は、先生に取り上げられてしまいます。先生にこんなことをする権利があるのでしょうか。

A.4 所持品検査を日常的にする学校が多いようです。

する方も、される方もあまり悪いことではないと思っているようですね。 でも、自分が持っているものを、人に見せるかどうかを決めるのは、あなた自身であって、だれも、無理にあなたに見せることを要求することはできません。 憲法35条に、「何人も、その住居、書類、所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることはない」と規定されています。 これは、あなたの同意がないのに、あなたの住まいに入り込んだり、あなたの持っているものを探したり、取り上げたりすることは誰もできないということです。 このように、あなたの持ち物についての権利は、憲法にも規定されている大切な権利なのです。 ですから、それを侵害するような所持品検査は、学校の先生だからといって、いつでもできるわけではなく、原則として、できません。
では、違反品のチェックはどのようにするのかが問題ですが、その前に、違反品について、何故持ってきてはいけないのかを、もう1度確認してみましょう。例えば、マンガ、小説、トランプ、ゲーム、たばこ、お酒、ライター、時計、お金、お菓子、etc。いろいろあります。この中で、たばこ、お酒は、未成年者には有害であるとして法律で禁じられていますから、禁じてもよいですし、ライターもそれに付随(ふずい)する物として同様です。
しかし、それ以外の物は、学校生活上、どうしてもさしつかえる物とは言えません。授業や他の生徒に迷惑をかけないできちんとした使い方をするように注意すれば十分です。このように、所持品について、細かい規則がなくなれば、検査はしなくても済むことになります。
それでも、例えば、誰かが、ナイフをちらつかせて、「あいつをやってやる」などとわめいていたという知らせがあったような場合など、明らかに危険だと考えられるときには、例外的に 所持品検査をして、先生がナイフを1時的に預かることができる場合もあります。
やはり、学校がこのような使い方の指導をしないで、ただ持って来ることだけを、禁止するのはおかしいですね。
ただ、あなたも、他の人たちに迷惑のかからないような、けじめのある使い方を学んで欲しいと思います。
又、先生が、違反品を取り上げて返さないことがありますが、これは許されません。明らかに所有権の侵害です。

Q.5 体罰は絶対にやめてください!

僕は、授業中、友だちと消しゴムを投げあって騒いでいたら、先生にどなられました。それでもやめないで席を離れて、ふざけていたら、げんこつで殴られ、歯が1本折れてしまいました。たしかに、騒いだのは良くないと思います。先生は「君の精神を鍛えるためだ」とか「愛のムチ」とか言っています。でも、先生だって殴るのはいけないのではないでしょうか。

A.5 君が言うように、君が授業中に騒いだのはよくないですね。でも、先生が君を殴るのは許されません。

君は、殴られてどんな気持ちがしましたか。自分が本当に悪いと納得できましたか。多分、殴られたことによって、先生に対して反発感を感じたのではないですか。
先生は、君に、授業中騒いではいけないことを、きちんと教えなくてはいけないのですが、殴ることによって、そのことを教えることは決してできないと思います。
そこで、学校教育の基本となる法律(学校教育法)では、「先生は体罰を加えることはできない」と、はっきり体罰を禁止しています。
体罰を受けた子どもたちの話を聞いてみると、精神的に傷ついて、先生に対して信頼感を失くしている子が多いようです。やはり、教育というのは、お互いに信頼感がないとできません。この意味からも、体罰はしてはいけないことになります。
このように、君は体罰を受けない権利があります。「先生、殴らないで」と勇気をもって言いましょう。黙って殴られていないで、その場から、逃げて、助けを求めましょう。(暴力から逃げる方法は、これ以外にありません)小さな体罰を見逃さないで、友だちや、親や、先生に知らせて体罰をなくしましょう。(どんな体罰でも見逃さないで、体罰の根を断つことが大切です)体罰をした先生には、きちんと謝ってもらって、もう絶対しないように約束してもらいましょう。(先生だって、人間ですから間違いをすることがありますが、その時に謝まるのは、人間として当然ですね)
次に、ケガした場合は、きちんと治療を受けて、診断書をもらっておきましょう。たいしたけがでないと思ったときでも、念のために、診断をしてもらった方がよいでしょう。
治療にかかる費用(治療費)や、精神的な苦しみに対する補償(慰謝料)を、学校側に請求できます。これを損害賠償請求の権利といいます。
このことは、親によく事情を話して、学校側と話し合ってもらいましょう。
なかなか学校から、体罰がなくなりませんね。君の学校でも体罰があるのならば、クラブや、生徒会で話しあったり、親たちにも協力してもらって、学校から体罰をなくすように、 君たち自身でもがんばってください。
それでも、なかなか解決できないようでしたら、弁護士会に相談してください。

Q.6 僕は、バスケット部のキャプテンです。

クラブの先生は日項から「勝つためだ」と言ってやたらと「しごき」をします。この間、試合に出たのですが、先生に「試合に負けたのはキャプテンのお前がたるんでいるからだ」と言われて、殴られたりされ、ケガをしてしまいました。このまま、黙って我慢しなくてはいけないのでしょうか。

A.6 君はなにも悪いことをしていないのに、先生はなぜ殴るのでしょうか。

多分、試合に負けたので、くやしくて、感情的になって、殴ったのかもしれませんね。もし、そうだとすれば、先生として、決して許されないことです。又、技術の向上のためにとか、鍛えるためにしたというのであれば、そんなことをしてうまくなるのでしょうか。
それに、中学のクラブ活動では、うまくなること、勝つことだけが目的でしょうか。やはり、まず、身体を動かす楽しさや、チームスポーツの楽しさが身につくようなクラブ活動にしたいですね。
先生が、勝つことだけを考えて「しごき」をすることは、中学のクラブ活動としては問題です。
君も、ニュースで知っているかもしれませんが、このようなクラブ活動での「しごき」事件が全国でたくさん起きています。岐阜県のある高校のクラブ活動で、記録が伸びないために、先生から暴力を受け、それに耐えられないので自殺するという大変悲しい事件が起きて、裁判をしているのもあります。君が、具体的にどうしたらよいかは、前の体罰の答え(Q.5)を参照してください。

Q.7 学校に行かれません。どうしたらいいですか?

僕は中学2年です。学校へ行こうと夜準備をするのですが、朝になるとお腹が痛くなって行かれません。どうしたらいいのでしょうか。あまり休んでいると卒業できないと聞きましたが、どのくらい休むと卒業できないのでしょうか。また、このまま中学へ行かない場合でも高校・大学へは行きたいと思っています。どんな方法がありますか。

A.7 学校へ行かれないということは、とても苦しいことですね。

私たちの子どもの人権救済センターにも、君のように悩んで相談に来る子どもたちがたくさんいます。学校へ行かないと、自分の一生は駄目になってしまうのではないか、中学までは義務教育だから絶対に行かなくてはいけないのではないかなどと思って、本当に苦しんでいます。
でも、義務教育というのは、君のお父さん、お母さんが、君に学校で学ぶチャンスを作らなければいけないということなのです。君自身には、その義務はありません。それは、教育は、強制的にするものではないからです。どうしても、学校へ行きたくない、行かれないということならば、無理に行かなくてもよいのです。そして、学校から離れて、自分にとって学校がどうしても必要か、もう1度、じっくりと考えてみてください。
その時に、学校の他にも、生きる道はたくさんあり、実際に学校へ行かなくても、生き生きと幸せに生きている人も大勢いることも参考にしてください。(※参考図書1)
もちろん、学校の道を選ぶこともできます。
ただ、学校に問題があって、例えば、いじめがあるとか、体罰があるとか、規則が細かすぎるなどという理由で、学校に行かれない時には、その問題を解決しなければなりません。あなたの力だけで解決することが難しければ、親や先生に訴えて、できるだけ早く解決してもらいましょう。
ただ、それには時間がかかることが多いので、その間に、やけを起こしたり、落ち込んだりしないでください。そのためには、ひとりぼっちにならないように、できるだけ友達と付き合ったり、君と同じように学校へ行かれない仲間と一緒に勉強したり、遊んだりすることが大切です。各地に、学校に行かれない子どもたちの活動の場があります(参考図書1)ので、積極的に参加してみてください。
次に、どのくらい休むと卒業できないかということですが、欠席日数だけで卒業させないということはありません。欠席の理由や、君の学力を認めてもらえれば卒業できます。
又、学校が卒業を認めない場合には、「中学卒業資格検定試験」に合格すれば、高校を受験することができます。早めに各地域の教育委員会に相談してみてください。更に、高校に行かなくとも、「大学受験検定試験」に合格すると、大学を受験する資格を得ることができます。

※考図書1、別冊宝島 111「学校が合わない親と子のための学校に行かない進学ガイド」 新版

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