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弁護士だからできること
~弁護士と司法書士・行政書士との違いを知ろう~

弁護士だからできること

弁護士と司法書士の違い

第1 弁護士と司法書士の業務

  • 1 弁護士の業務

    弁護士は、裁判、法律相談、交渉、契約書作成等の法律事務全般を行うことが可能とされています(弁護士法3 条)。
    このような業務は、弁護士法72 条によって、原則として、弁護士以外の者が行ってはいけないことになっています。
    その理由は、資格を持たず、何らの規律にも服しない者が、自らの利益のため、あるいは誤った知識に基づいて、他人の紛争に介入することを業とするような例があり、これを放置すれば、当事者その他関係者の利益を損ね、ひいては社会の秩序を害することになるからです。

  • 2 司法書士の業務

    (1)司法書士の業務について

    司法書士は、登記又は供託に関する手続についての代理や、法務局・裁判所に提出する書類の作成などをすることができ、これに必要な限度で法律相談に応じることができます。
    しかし、(2)記載の認定司法書士を除き、交渉や訴訟の代理人となることはできず、相手方に対する内容証明郵便等の書面を作成することもできませんし、(上記の手続代理や書類作成に必要な限度を超えて)法律相談を受けることもできません。
    裁判所に提出する書類(訴状、準備書面等)の作成は認められているものの、依頼者の意向を聞き取った上で、その聞き取った結果を法律に照らして書類として整えること(以下において、「限定的な裁判書面の作成」といいます。)や、限定的な裁判書面の作成に伴う説明や相談ができるだけです。あくまで事件全体の解決の方針については、依頼者が自らの判断で決める必要があります。司法書士が、事件の解決を図ろうと、どのような内容の書類を作成すべきかを判断・提案することや、事件解決に向けた進め方・方針等のアドバイスを行うことはできません。
    弁護士は、書面作成に留まらず、紛争の解決全体に関与し、どのような方針で進めるべきか判断してアドバイスすることができますので、紛争の解決については、弁護士にご依頼頂くことが望ましいと考えます。

    (2)認定司法書士の業務について

    法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)については、例外的に、紛争の目的の価額が140 万円以下の事件に限り、簡易裁判所の訴訟に係る代理人となることができ、その範囲で法律相談を受け、相手方との間で交渉することもできます。
    したがって、認定司法書士であっても、金額が140 万円を超える事件については法律相談を受けることができず、代理人となることもできません。また、地方裁判所や家庭裁判所の手続の代理人となることもできません。

    Q:認定司法書士に、請求額が140 万円以下の訴えの提起を依頼しました。認定司法書士が簡易裁判所に提訴したところ、簡易裁判所から、地方裁判所へ移送すると言われてしまいました。この場合、どうなるのですか?
    A:認定司法書士が代理できるのは簡易裁判所における手続に限られます。したがって、司法書士に対する依頼を取りやめて、自ら対応するか、改めて弁護士に依頼し直す必要があります。この場合、通常は、司法書士に依頼する費用と、弁護士に依頼する費用が二重にかかってしまいます。
    最初から弁護士に依頼していた場合は、地方裁判所へ移送されたとしても、引き続き、依頼した弁護士に代理人を務めてもらうことができます。

    Q:認定司法書士に、請求額が140 万円以下の訴えの提起を依頼し、簡易裁判所で勝訴判決をもらったのですが、相手方から控訴されてしまいました。この場合、どうしたらよいのでしょうか?
    A:控訴審は地方裁判所で審理されることになりますが、認定司法書士が代理できるのは簡易裁判所における手続に限られます。したがって、従前の認定司法書士に控訴審での代理を依頼することはできません。改めて弁護士に依頼し直す必要があり、資料の引継ぎや、事案の内容を説明するための時間と手間がかかってしまいます。
    最初から弁護士に依頼していた場合は、控訴されたとしても、引き続き、当初依頼した弁護士に代理人を務めてもらうことができます。

第2 具体的な事案について

  • 1. 夫婦の問題(離婚、養育費請求等)

    夫婦の問題に関する事件としては、離婚請求、離婚に伴う養育費・財産分与の請求、慰謝料の請求が考えられます。
    これらの事件について、弁護士と司法書士ができる業務の範囲を見ていきましょう。

    (1)離婚請求

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻)との交渉
    (ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)離婚協議書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (登記書類)

    (登記書類)
    ③(ⅰ)離婚請求調停の申立書等、訴訟の訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)

    (限定的書面)
    ④ (ⅰ)離婚請求調停・訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく行うことができます。

    司法書士
    離婚請求は、家庭裁判所での調停・訴訟の対象となる手続で、簡易裁判所における手続の対象外となります。そのため、司法書士は、認定司法書士であっても、交渉や訴訟の代理人となることができず、次のとおり、限定的な裁判書面の作成以外、行うことができません。

    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉、及び(ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)離婚協議書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:離婚に伴う財産分与を原因とする不動産等の所有権移転登記手続の場面における「法務局又は地方法務局に提出し、又は提出する書類」の附属書類としてであれば離婚協議書を作成可能であり、その作成のための相談も可能であるという見解がみられますが、そのような見解を前提としても、当該場面に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ③ (ⅰ)離婚請求調停の申立書等、訴訟の訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:調停申立書等の裁判所提出書類の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ④ (ⅰ)離婚請求調停・訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    (2) 養育費・財産分与の請求

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉
    (ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (登記書類)

    (登記書類)
    ③ (ⅰ)調停・審判の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)

    (限定的書面)
    ④ (ⅰ)調停・審判における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく行うことができます。

    司法書士
    養育費・財産分与の請求は、家庭裁判所での調停・審判の対象となる手続で、簡易裁判所における手続の対象外となります。そのため、司法書士は、認定司法書士であっても、交渉や訴訟の代理人となることはできず、次のとおり、限定的な裁判書面の作成以外、行うことができません。

    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉、及び(ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)これについての法律相談に応じること:離婚に伴う財産分与を原因とする不動産等の所有権移転登記手続の場面における「法務局又は地方法務局に提出し、又は提出する書類」の附属書類としてであれば和解合意書を作成可能であり、その作成のための相談も可能であるという見解がみられますが、そのような見解を前提としても、当該場面に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ③ (ⅰ)調停・審判の申立書等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:調停申立書等の裁判所提出書類の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ④ (ⅰ)調停・審判における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    (3) 慰謝料の請求

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士(請求額140万円以下)
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻、不貞行為の相手方)との交渉
    (ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ② (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ③ (ⅰ)慰謝料請求訴訟の訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)
    〇
    ④ (ⅰ)慰謝料請求訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇

    ※離婚等請求訴訟に関連する事件として家庭裁判所に係属する場合は、限定的な裁判書面の作成に限られます。

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    司法書士
    不貞行為を行った夫・妻や、その不貞行為の相手方に対する慰謝料の請求については、簡易裁判所における訴訟手続の対象となります。そのため、認定司法書士は、次のとおり、請求額が140 万円以下の場合には交渉や書面の作成を行い、訴訟代理人となることができます。

    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻、不貞行為の相手方)との交渉、及び(ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、いずれも行うことができます。

    ② (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、和解合意書の作成を行い、そのための法律相談に応じることができます。

    ③ (ⅰ)慰謝料請求訴訟の訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士は、訴状等の裁判所提出書面の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、訴状等の裁判所提出書面を作成し、そのための法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありません(ただし、離婚等請求訴訟に関連する事件として家庭裁判所に係属する場合は、限定的な裁判書面の作成に限られます。)。

    ④ (ⅰ)慰謝料請求訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、代理人として活動し、法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありません(ただし、離婚等請求訴訟に関連する事件として家庭裁判所に係属する場合は、限定的な裁判書面の作成に限られます。)。

  • 2. 相続

    相続に関する事件としては、遺言書の作成、遺産分割協議や、遺留分侵害額請求が考えられます。
    これらの事件について、弁護士と司法書士ができる業務の範囲を見ていきましょう。

    (1) 遺言書について

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士
    (ⅰ)遺言書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、遺言書の作成を行うことができ、そのための法律相談に応じることもできます。

    司法書士
    遺言書は裁判所に提出する書類ではないことから、司法書士(認定司法書士を含みます。)は、遺言書の作成を行うことはできず、そのための法律相談に応じることもできないと考えられます。

    (2) 遺産分割協議について

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として他の共同相続人との交渉
    (ⅱ)他の共同相続人に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)遺産分割協議書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (登記書類)

    (登記書類)
    ③ (ⅰ)遺産分割調停の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)

    (限定的書面)
    ④ (ⅰ)遺産分割調停における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく行うことが可能です。

    司法書士
    遺産分割協議は、家庭裁判所における手続の対象となる事件です。そのため、司法書士は、認定司法書士であっても、交渉や訴訟の代理人となることができず、次のとおり、限定的な裁判書面の作成以外、行うことができません。

    ① (ⅰ)依頼者の代理人として他の共同相続人との交渉、及び(ⅱ)他の共同相続人に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)遺産分割協議書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:不動産等の相続登記手続の場面における「法務局又は地方法務局に提出し、又は提出する書類」の附属書類としてであれば遺産分割協議書を作成可能であり、その作成のための相談も可能であるという見解がみられますが、そのような見解を前提としても、当該場面に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ③ (ⅰ)遺産分割調停の申立書等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:調停申立書等の裁判所提出書類の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ④ (ⅰ)遺産分割調停における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    (3) 遺留分侵害額請求について

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士(請求額140万円以下)
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉
    (ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ② (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ③ (ⅰ)調停の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)

    (限定的書面)
    ④ (ⅰ)調停における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)
    〇
    ⑥ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    司法書士
    遺留分侵害額請求は、地方裁判所又は簡易裁判所の訴訟手続の対象となります。そのため、認定司法書士は、次のとおり、請求額が140 万円以下の場合には交渉や書面の作成を行い、訴訟代理人となることができます。
    ただし、訴訟を提起する前に、家庭裁判所における調停を経なければならないとされているところ(家事事件手続法244 条、257 条)、認定司法書士は、当該調停における代理人になることはできません。

    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉、及び(ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、いずれも行うことができます。

    ② (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、和解合意書の作成を行い、そのための法律相談に応じることができます。

    ③ (ⅰ)遺留分侵害額請求調停の申立書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:遺留分侵害額請求調停申立書等の裁判所提出書類の作成を行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。

    ④ (ⅰ)遺留分侵害額請求調停における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:家庭裁判所における手続となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)遺留分侵害額請求訴訟における訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士は、訴状等の裁判所提出書面の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、訴状等の裁判所提出書面を作成し、そのための法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありません。

    ⑥ (ⅰ)遺留分侵害額請求訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、代理人として活動することができ、そのための法律相談に応じることができます。

  • 3. 債務整理

    (1) 破産・再生の申立て

    裁判所に破産や民事再生(法人)、個人再生(個人)を申し立てる手続です。

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士
    ① (ⅰ)裁判所への破産・再生の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)

    (限定的書面)
    ② (ⅰ)破産・再生手続における裁判所の期日の出頭
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    司法書士
    ① (ⅰ)裁判所への破産・再生の申立書等の書面作成は可能ですが、限定的な裁判書面の作成に限られ、(ⅱ)法律相談もその範囲に限り応じることができます。

    ② また、司法書士は、裁判所の期日に出席することは許されておらず、依頼者自ら出席した上で対応しなければなりません。
    さらに、司法書士が自己破産申立書や個人再生申立書を作成した場合には「本人申立て」として扱われることから、裁判所への申立費用(予納金)の金額が増額する(令和元年10 月1 日時点で、法人1 件につき14,786 円、個人1 件につき18,543 円の増額とされています。)取り扱いがなされることが多いです。

    (2) 私的整理

    私的整理とは、裁判所の手続を経ずに、債権者との合意により債務の金額を減免したり、支払期限の延長を行ったりする手続をいいます。

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士(債権額140万円以下)
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として債権者との交渉
    (ⅱ)債権者に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ② (ⅰ)債権者との間の合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    司法書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として債権者との交渉、及び(ⅱ)債権者に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、債権額が140万円以下の場合に限り、いずれも行うことができます。

    ② (ⅰ)債権者との間の合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、債権額が140万円以下の場合に限り、合意書の作成を行い、そのための法律相談に応じることができます。

    (3) 過払金の回収

    「過払金回収」とは、利息制限法の制限利率を超えて支払った利息について、元本に充当した後も余剰がある場合に、その余剰金員の返還を求めるものです。

    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士(請求額140万円以下)
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として貸金業者との交渉
    (ⅱ)貸金業者に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ② (ⅰ)貸金業者との間の合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ③ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)
    〇
    ④ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    司法書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として貸金業者との交渉、及び(ⅱ)貸金業者に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士については、請求金額が140万円以下である場合に限り、交渉や書面作成を行い、そのための法律相談に応じることができます。

    ② (ⅰ)貸金業者との間の合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140万円以下である場合に限り、合意書の作成を行い、そのための法律相談に応じることができます。

    ③ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士は、訴状等の裁判所提出書面の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、訴状等の裁判所提出書面を作成し、そのための法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありま せん。

    ④ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、代理人として活動し、そのための法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありません。

  • 4. 交通事故


    弁護士 司法書士
    (認定司法書士でない)
    認定司法書士(請求額140万円以下)
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(加害者)との交渉
    (ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ② (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇
    ③ (ⅰ)損害賠償請求訴訟の訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)
    〇
    ④ (ⅰ)損害賠償請求訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇 〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    司法書士
    加害者に対する損害賠償請求については、地方裁判所又は簡易裁判所における訴訟手続の対象となります。そのため、認定司法書士は、次のとおり、請求額が140万円以下の場合には交渉や書面の作成を行い、訴訟代理人となることができます。

    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(加害者)との交渉、及び(ⅱ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、並びに(ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140万円以下である場合に限り、いずれも行うことができます。

    ② (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、いずれも行うことができます。

    ③ (ⅰ)損害賠償請求訴訟の訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士は、訴状等の裁判所提出書面の作成は行うことができますが、限定的な裁判書面の作成に限られます。法律相談もこの範囲でのみ応じることが可能です。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、訴状等の裁判所提出書面を作成し、そのための法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありません。

    ④ (ⅰ)損害賠償請求訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:認定司法書士でない司法書士はできません。
    他方、認定司法書士は、請求金額が140 万円以下である場合に限り、代理人として活動し、そのための法律相談に応じることができ、その内容にも制限はありません。

弁護士と行政書士の違い

第1 弁護士と行政書士の業務

  • 1 弁護士の業務

    弁護士は、裁判、法律相談、交渉、契約書作成等の法律事務全般を行うことが可能とされています(弁護士法3 条)。
    このような業務は、弁護士法72 条によって、原則として、弁護士以外の者が行ってはいけないことになっています。
    その理由は、資格を持たず、何らの規律にも服しない者が、自らの利益のため、あるいは誤った知識に基づいて、他人の紛争に介入することを業とするような例があり、これを放置すれば、当事者その他関係者の利益を損ね、ひいては社会の秩序を害することになるからです。

  • 2 行政書士の業務

    行政書士は、「権利義務又は事実証明に関する書類」を作成することと、その「作成について相談に応じること」が認められていますが(行政書士法1条の2第1項、1条の3第1項4号)、弁護士と比べるとかなり限定された範囲内でしか書類作成及び法律相談に応じることができません。行政書士は、依頼者から聞き取った内容を、国民一般として持つべき法律常識的な知識に基づいて整理する形で書面を作成することのみが認められます(以下「限定的な書面の作成」といいます。)(広島高裁松江支部判決平成25 年5 月29 日)。また、その場合であっても、現在紛争が生じているか、将来的に紛争が生じることが不可避であると考えられるときは、書類の作成をすることはできないとされています(大阪高判平成26 年6月12 日判時2252 号61 頁)。訴訟や調停の訴状、申立書等の書面については、通常は相手方との間で紛争が存在することが前提となりますので、作成できないこととなります。そして、書面の作成が認められる場合に必要な範囲でのみ、法律相談に応じることができると考えられています。
    また、行政書士は、書類作成のみ認められていますので、依頼者の代理人となることはできず(※)、依頼者に代わって交渉を行ったり、訴訟や調停の手続を進めたりすることはできません。
    (※行政書士が作成した提出書類に基づく行政処分に対して、所定の研修を経た特定行政書士が不服申立て手続を行う場合に限り、代理権が認められています。)
    まとめますと、行政書士は、紛争がない場合に、限定的な書面の作成が認められているだけで、紛争の解決に主体的に関与することはできません。
    他方、弁護士は、紛争全体の解決に関与することができます。法律的なことで何か困ったことが起きたときというのは、大抵は当事者間で何らかの争いが発生している場合でしょうから、そのような場合は弁護士にご相談ください。

第2 具体的な事案について

  • 1. 夫婦の問題(離婚、養育費請求等)

    夫婦の問題に関する事件としては、離婚請求、離婚に伴う養育費・財産分与の請求、慰謝料の請求が考えられます。
    これらの事件について、弁護士と行政書士ができる業務の範囲を見ていきましょう。

    (1)離婚請求


    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻)との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)離婚協議書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)離婚請求調停の申立書等、訴訟の訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)離婚請求調停・訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく行うことができます。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻)との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、相手方が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    相手方の態度が不明である場合にも、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)離婚協議書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方との間に現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を離婚協議書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    ④ (ⅰ)離婚請求調停の申立書等、訴訟の訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)離婚請求調停・訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    (2) 養育費・財産分与の請求

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)調停・審判の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)調停・審判における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく行うことができます。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、相手方が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    相手方の態度が不明である場合にも、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方との間に現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を和解合意書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    ④ (ⅰ)調停・審判の申立書等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)調停・審判における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    (3) 慰謝料の請求

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻、不貞行為の相手方)との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)慰謝料請求訴訟の訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)慰謝料請求訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(夫・妻、不貞行為の相手方)との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、相手方が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成を行うこと、及びそのための法律相談に応じることはできません。
    相手方の態度が不明である場合も、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成を行うこと、及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方との間に現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を和解合意書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    ④ (ⅰ)慰謝料請求訴訟の訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)慰謝料請求訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

  • 2. 相続

    相続に関する事件としては、遺言書の作成、遺産分割協議や、遺留分侵害額請求が考えられます。
    これらの事件について、弁護士と行政書士ができる業務の範囲を見ていきましょう。

    (1) 遺言書について

    弁護士 行政書士
    (ⅰ)遺言書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (限定的書面)

    弁護士
    弁護士は、遺言書の作成を行うことができ、そのための法律相談に応じることもできます。

    行政書士
    (ⅰ)依頼者から聞き取った内容を遺言書として書面にまとめること(限定的な書面の作成)、及び(ⅱ)そのための法律相談に応じることは可能です。

    (2) 遺産分割協議について

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として他の共同相続人との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)他の共同相続人に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)遺産分割協議書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)遺産分割調停の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)遺産分割調停における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく行うことが可能です。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として他の共同相続人との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)他の共同相続人に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:他の共同相続人が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、他の共同相続人が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    他の共同相続人の態度が不明である場合にも、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)遺産分割協議書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:他の共同相続人との間に現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を遺産分割協議書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    ④ (ⅰ)遺産分割調停の申立書等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)遺産分割調停における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    (3) 遺留分侵害額請求について

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との間の交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)調停の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)調停における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑥ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑦ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方との間の交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、相手方が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    相手方の態度が不明である場合にも、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:他の共同相続人との間に現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を和解合意書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    ④ (ⅰ)調停の申立書等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)調停における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ⑥ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑦ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

  • 3. 債務整理

    (1) 破産・再生の申立て

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)裁判所への破産・再生手続の申立書等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)破産・再生手続における裁判所の期日の出頭
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    行政書士
    破産・再生手続の申立書等の書面作成、代理人としての出頭はできず、これらについての法律相談に応じることもできません。

    (2) 私的整理

    私的整理とは、裁判所の手続を経ずに、債権者との合意により債務の金額を減免したり、支払期限の延長を行ったりする手続をいいます。

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として債権者との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)債権者に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)債権者との間の合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として債権者との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)債権者に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:私的整理においては、債権者との間で債権額の減免額等について複数の債権者との間で交渉が必要となるのが通常であり、その場合、紛争が生じているといえますので、債権者に対する書面の作成を行うこと、及びそのための法律相談に応じることはできません。

    ③ (ⅰ)債権者との間の合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:債権者との間で現在紛争が生じていない場合、つまり、依頼者が債権者との間で債権額の減免等について合意を取り付けた上で、当該合意事項について依頼者から聞き取った内容を合意書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    (3) 過払金の回収

    「過払金回収」とは、利息制限法の制限利率を超えて支払った利息について、元本に充当した後も余剰がある場合に、その余剰金員の返還を求めるものです。

    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として貸金業者との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)貸金業者に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)貸金業者との間の合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑤ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として貸金業者との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)貸金業者に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:貸金業者が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、貸金業者が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    貸金業者の態度が不明である場合にも、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)貸金業者との間の合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:貸金業者との間で現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を合意書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です

    ④ (ⅰ)訴訟における訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑤ (ⅰ)訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

  • 4. 交通事故


    弁護士 行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(加害者)との交渉
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ③ (ⅰ)自賠責保険会社に対する後遺障害等級認定の被害者請求
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ④ (ⅰ)和解合意書の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    (紛争性なし&限定的書面)
    ⑤ (ⅰ)損害賠償請求訴訟の訴状等の書面の作成
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇
    ⑥ (ⅰ)損害賠償請求訴訟における代理人としての活動
    (ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること
    〇

    弁護士
    弁護士は、上記のいずれも、一切の制限なく可能です。

    行政書士
    ① (ⅰ)依頼者の代理人として相手方(加害者)との交渉、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。

    ② (ⅰ)相手方に対する内容証明郵便等の書面作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方が事実関係と請求内容を認めている場合には、紛争がないといえ、限定的な書面の作成及びそのための法律相談に応じることは可能です。
    他方、相手方が事実関係や請求内容を争っている場合には、紛争が発生しているといえ、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    相手方の態度が不明である場合にも、将来の紛争発生が不可避であると言える場合には、書面作成及びそのための法律相談に応じることはできません。
    なお、いずれの場合も、行政書士が「代理人」として氏名を書面に記載したり、行政書士事務所を返答先に指定したりすることはできません。

    ③ (ⅰ)自賠責保険会社に対する後遺障害等級認定の被害者請求、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:過失の有無や後遺障害等級認定等の判断において、法律上の専門知識に基づく助言が必要となることから、原則として限定的な書面の作成といえず、また、認定された後遺障害等級は、事後の任意保険会社との示談の前提となることから、原則として紛争が存在するとも考えられるため、行うことができません。被害者に過失がない、後遺障害の内容が単純である等の例外的な場合に限り、限定的な書面の作成として行うこと、及びそのための法律相談に応じることができると思われます。

    ④ (ⅰ)和解合意書の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:相手方との間に現在紛争が生じていない場合に限り、依頼者から聞き取った内容を和解合意書にまとめること(限定的な書面の作成)、及びそのための法律相談に応じることは可能です。

    ⑤ (ⅰ)損害賠償請求訴訟の訴状等の書面の作成、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:紛争の存在が前提となるため、できません。

    ⑥ (ⅰ)損害賠償請求訴訟における代理人としての活動、及び(ⅱ)(ⅰ)についての法律相談に応じること:できません。