東京弁護士会

いわゆる「共謀罪」処罰法の成立に抗議し、ただちに廃止することを求める会長声明

2017年06月19日

東京弁護士会 会長 渕上 玲子

1 6月15日早朝、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を改正する法律」(以下「本法律」という)が参議院本会議で可決され、いわゆる「共謀罪」処罰法が成立した。
2 今回の参議院本会議での採決は、委員会において審査中にもかかわらず、中間報告を求めていきなり本会議の審議に付するという異例の手続で行われた。中間報告は特に必要があるときに求めることができるとされ、かつ議院における審議は特に緊急を要する場合にしか認められないものである。その必要性および緊急性に疑問がある今回の手続強行は、国会審議を蔑ろにするものであり、民主主義理念に著しく反する。
3 政府は、本法律をテロ対策のためのものとして「テロ等準備罪」法案と称し、また、国際組織犯罪防止条約の批准を目的とするものであるとしているが、同条約は、テロ対策を目的とするものではないし、本法律にはテロとは無関係の犯罪も多い。テロ対策という政府の説明は、主権者である国民を誤導するものであり、その実質は、これまで3度廃案となった共謀罪処罰法案そのものである。
4 本法律は、犯罪の実行行為に出なければ処罰しないという刑事法の基本原則を大きく変更し、277もの多数の罪について、単に「計画」をしただけでも犯罪となることを認める点で、処罰範囲を広げ過ぎている。また、成立要件があいまいであり、憲法第31条が要請する明確性の原則に反しているため、市民の健全な表現行為を萎縮させる恐れがある。加えて、ある団体が組織的犯罪集団か否か、一般人が処罰の対象となるのかなどについても政府の説明は一貫せず、結局捜査機関の判断によるところとなり、捜査機関による日常的な監視が拡大し、市民のプライバシーが侵害される危険性が高い。
 当会は、本法律には以上のような多くの問題点があることを指摘して廃案を求め続けてきた。
 然るに、これらの問題点についての是正もされず、十分な審議も尽くされないまま、非民主主義的な手続で制定が強行されたものである。
5 当会は、国民の自由と人権を脅かす本法律の成立に強く抗議するとともに、恣意的な執行がされないように注視していく所存である。また、今後も「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」という弁護士の使命に基づき、本法律をただちに廃止することを求め、活動していくことをここに表明する。

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