夫婦・親子
- 「夫婦・親子」に関しての質問一覧
- 私は、元の夫と結婚中に妊娠しましたが、夫の浮気が発覚して、話し合いによって離婚しました。離婚後6か月経ってから子どもが産まれましたが、その子の戸籍や姓(氏)はどうなるのでしょうか?結婚の時には私が夫の姓を名乗りました。私自身は未だ再婚していません。
- 私たち夫婦は子宝に恵まれなかったので、養護施設などに入っている子を養子にしたいと思います。特別養子縁組という制度があると聞いたのですが、どのようなものか教えてください。
- 養護施設にいるA子ちゃんを特別養子にしようとしたところ、母親が名乗り出てきて、300万円要求してきました。これを断ったところ、母親は特別養子縁組には同意しないと言い始めました。しかし父親は誰か分かりませんし、母親は毎日パチンコばかりして、収入が無く、A子ちゃんのお姉さんも親戚に預けっぱなしでA子ちゃんを養護施設から引き取って育てる意思もないようです。養子縁組は出来るのでしょうか?
- 私たち夫婦は老舗の菓子屋を営んでいましたが、子供がいないため、遠い親戚の子を養子に迎えました。菓子屋を継いでもらう予定で、養子も当初はサラリーマンをやめて家業に精を出していましたが、最近は私たち夫婦に暴言を吐くようになり、また家業も全く手伝わず、毎日競輪や競艇に入れ込んで店の金にも手を出しているようです。親子の縁を切ろうと思うのですが、離縁できますか?
- 養子縁組をしようと思うのですが、大まかな内容を教えてください。
- 私は結婚していますが、交際している女性との間に子どもが生まれました。親子関係は生じるのでしょうか?
- 結婚する前から妊娠していた妻が、結婚した日から100日後に出産しました。私と妻の血液型からは絶対に生まれない血液型の子でしたので、私の子どもではないと思うのですが、親子関係はどのようになるのでしょうか?
- 私と夫は、20年間連れ添いましたが、籍は入れていませんでした。子供はいません。ここ10年ほどは、夫名義で借りたマンションに2人で住んでいました。ところが、先日急に夫が亡くなり、私たちの結婚を認めていなかった夫の両親から、マンションの借り主たる地域を夫の両親が相続したからマンションから出ていって欲しいと要求されています。何とかこのまま住み続けることは出来ないでしょうか?
- 生活苦から妻が私に無断でサラ金から借金をしてしまいました。サラ金業者からは「妻が生活のために借金をしたんだから、夫が払うのは当たり前だ。法律にも書いてある。」と言われて支払を要求されています。支払わなければならないのでしょうか?
- 結婚するには、どのような要件があるのですか?
私は、元の夫と結婚中に妊娠しましたが、夫の浮気が発覚して、話し合いによって離婚しました。離婚後6か月経ってから子どもが産まれましたが、その子の戸籍や姓(氏)はどうなるのでしょうか?結婚の時には私が夫の姓を名乗りました。私自身は未だ再婚していません。
離婚後300日以内に生まれた子は、原則として元夫の子と推定されますが(民法772条1項・2項)、子の出生時までに別の男性と結婚している場合は、再婚後の夫の子と推定されます(民法772条3項)。
子の出生時に再婚していない場合は、離婚後に生まれた子は離婚の際の父母の氏を称することになり(民法790条1項但書)、離婚当時の父母の戸籍に入ります(戸籍法18条1項)。すなわち、婚姻によって筆頭者となった父あるいは母の戸籍に入ることになります(戸籍法18条1項)。
あなたは再婚をしておらず、また離婚によって元の夫を筆頭者とする戸籍から除籍されて元の戸籍に戻り、あるいは新しい戸籍を作っていますから、生まれた子は元の夫だけの戸籍に入ることになります。ところが、子どもの出生前に離婚している場合には、あなたが親権者になり(民法819条3項本文)、別戸籍となって不都合です。そのような場合には、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」(家事事件手続法別表第1の60)を申し立てて、許可を得て「入籍届」(戸籍法98条1項)をすれば子を元の夫の戸籍からあなたの戸籍に移し、氏を変更することが出来ます。あなたが離婚後も婚姻中の氏を続けて使用する場合にも、表記上は子の氏とあなたの氏が同じでも、民法上の氏は異なりますから、子の氏の変更の申立てをする必要があります。
私たち夫婦は子宝に恵まれなかったので、養護施設などに入っている子を養子にしたいと思います。特別養子縁組という制度があると聞いたのですが、どのようなものか教えてください。
「特別養子縁組」は、普通の養子縁組とは異なり、子どもの実の父母・親族との親子・親族関係を終了させる効果がある養子縁組です。実の親が子を養育できないとか、実の親が養育することがかえって子どもに害を及ぼす場合に利用され、特別養子縁組成立後は、実方親族(実の親及びその親族)との相続や扶養関係がないものと扱われます。戸籍上も第三者は実の親を知ることが出来ないようになっています。特別養子縁組が認められるためには、
●養親が夫婦共同で縁組を行い(夫婦の一方の嫡出子を養子とする場合は別です。)、夫婦は原則として25歳以上(例外的に、一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上でも可能)である必要があります(民法817条の3、同817条の4)。
●養子は原則として、審判申立て時に15歳未満であることが必要です。ただし、15歳に達する前から養親となる夫婦に引き続き監護されており、15歳に達するまでに申立てをすることができないやむを得ない事由がある場合は例外が認められます。またこれに加え、審判確定時(縁組成立時)に18歳未満である事も必要です(民法817条の5)。
なお、縁組成立時において養子になろうとする子が15歳以上の場合は、子本人の同意も必要となります。
●原則として養子になろうとする子の父母の同意がなければなりませんが、父母による虐待や父母が子を全く育てようとしないなどの事由がある場合は、同意は不要です(民法817条の6)。
●そして、子どもの実父母が育てることが非常に難しい、あるいは不適当であるなど、特別の事情があり、かつ子の利益のために特に必要のあること(要保護性)が求められています(民法817条の7)。
●さらに、特別養子縁組が認められるにあたっては、養親になろうとする夫婦が養子になる子を6ヶ月以上監護(子育て)した状況が考慮されます(民法817条の8)。
●特別養子縁組を行うためには、家庭裁判所に対する審判の申立てが必要であり、上記の各要件の判断は家庭裁判所が行います。
養護施設にいるA子ちゃんを特別養子にしようとしたところ、母親が名乗り出てきて、300万円要求してきました。これを断ったところ、母親は特別養子縁組には同意しないと言い始めました。しかし父親は誰か分かりませんし、母親は毎日パチンコばかりして、収入が無く、A子ちゃんのお姉さんも親戚に預けっぱなしでA子ちゃんを養護施設から引き取って育てる意思もないようです。養子縁組は出来るのでしょうか?
特別養子縁組を成立させるためには、原則として、実父母の同意が必要です。もっとも、A子ちゃんの利益を著しく害する事由がある場合には、同意は不要です。また、同意は不要となったとしても、子どもにとって本当に必要なことなのか(要保護性)という観点からも改めて検討されます(Q2参照)。
本件に類似のケースで特別養子が認められたケースがありますが、母親がA子ちゃんを今後も養育しないことが確実かどうか、母親に任せることがA子ちゃんにとってかえって良くないことかどうか、裁判所が、様々な事情から検討していくことになります。
私たち夫婦は老舗の菓子屋を営んでいましたが、子供がいないため、遠い親戚の子を養子に迎えました。菓子屋を継いでもらう予定で、養子も当初はサラリーマンをやめて家業に精を出していましたが、最近は私たち夫婦に暴言を吐くようになり、また家業も全く手伝わず、毎日競輪や競艇に入れ込んで店の金にも手を出しているようです。親子の縁を切ろうと思うのですが、離縁できますか?
離縁を行うには、協議離縁と裁判離縁があります。養親と養子とが話し合って、お互いに養親子関係を解消することで協議が成立すれば、届けを出せば離縁できます。話し合いがまとまらないときは、まず家庭裁判所に調停を求めることになります。調停もあくまで話し合いですから、話し合いがまとまったときは、調停で離縁することになります。どうしても話し合いがまとまらないときは、訴訟で離縁を求めることになります。いきなり訴訟することは出来ず、調停から始めなければなりません。
●養子又は養親から悪意で遺棄されたとき(積極的に共同生活を破棄することです。)、
●養子又は養親の一方の生死が3年以上明らかでないとき、
●その他縁組みを継続しがたい重大な事由があるとき、に離縁が認められます。
具体例としては、
a侮辱や虐待があるケース、
b配偶者の実親と縁組みしたり結婚相手の連れ子と縁組みしていたケースで離婚する場合、
c家業の承継を怠ったり、一方の財産を減少させるケース、
d養親と養女とが不倫関係にあったケース、
これらの複数に該当するケースで離縁が認められています。ご相談の場合には、侮辱の程度や家業を継ぐことの重要性にもよりますが、離縁が認められる可能性が高いと思われます。
養子縁組をしようと思うのですが、大まかな内容を教えてください。
養子とは、自然の血縁関係が無くても、法律的な親子関係を発生させる制度です。いわゆる婿養子は、単に結婚の際に女性の側の氏を名乗り、女性の両親と同居したりするだけの場合も多く、必ずしも法律上の養子とは異なることもあります。あくまで養子縁組届を区役所などに届けでなければ法律上の養子にはなりません。養親になろうとする人は、20歳以上でなければなりません。養子は、養親より年長であってはいけません。また、養親でも養子でも夫婦共同でなくても縁組できますが、配偶者(夫や妻)の同意を得なければなりません。但し、配偶者がある人が、未成年者を養子にしようとする場合には、配偶者と共同で縁組しなければなりません。さらに、未成年者を養子にするときは、自分の孫や配偶者の子を養子にする場合以外は、家庭裁判所の許可を得なければなりません。その他、ここに記載していない細かい規制もありますので、弁護士会の法律相談などで気軽にご相談下さい。
私は結婚していますが、交際している女性との間に子どもが生まれました。親子関係は生じるのでしょうか?
認知を行うことで法律的な親子関係を成立させることが出来ます(民法779条、784条)。真実親子であっても認知がなければ、扶養や相続などの関係では一切親子とは扱われません。認知は、具体的には、市役所、町村役場、区役所に、所定の事項を記載した届書を提出して届出をする方法によって行い(民法781条、戸籍法60条)、認知の届出をすると、出生のときにさかのぼって父子関係が発生します。父が認知しないときには、子どもの側から認知の訴えを起こすことが出来ます (民法787条)が、父が死亡した日から3年を経過すると提起することができなくなります。また、認知の裁判が確定したときは、確定した日から10日以内に、裁判の謄本を添付して認知の届出をする必要があります(戸籍法63条)。
結婚する前から妊娠していた妻が、結婚した日から100日後に出産しました。私と妻の血液型からは絶対に生まれない血液型の子でしたので、私の子どもではないと思うのですが、親子関係はどのようになるのでしょうか?
婚姻中に妻が妊娠した子は夫の子であると推定され、令和6年4月1日に施行された改正民法により、女性が婚姻前に妊娠した子であっても婚姻が成立した後に生まれた子は、夫の子であると推定されることになりました(民法772条1項)。また、婚姻成立の日から200日以内に生まれた子は、婚姻前に妊娠したと推定され、婚姻の日から200日を経過した後に生まれた子は、婚姻中に妊娠したと推定されます(民法772条2項)。
婚姻後に生まれたため、子どもはあなたの子と推定されます。あなたが子どもとの親子関係を否定するには、出生を知ってから3年以内に「嫡出否認の訴え」を提起する必要があります(民法774、775、777条)。なお、民法が改正されたことにより、父に加えて母及び子も「嫡出否認の訴え」を提起できるようになったところ(民法774、775、777条)、子については、一定の要件を満たす場合には21歳に達するまでの間、「嫡出否認の訴え」を提起できます(民法778条の2)
なお、婚姻中に妻が妊娠した子であっても「夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合」には、子には実質的に嫡出の推定が及ばず、「嫡出否認の訴え」によらずに、提起する期間に制限のない「親子関係不存在確認の訴え」により親子関係を否定しうるという判例法理が確立していますが、判例(最高裁平成26年7月17日判決)によっても「夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らか」であっても嫡出の推定が及ばなくなるとはいえないとされており、「両親の血液型からは絶対に生まれない血液型の子」であっても嫡出の推定が及ぶと考えられます。以上の判例の考え方は、改正民法が施行された後も維持されると考えられていますが、上記の改正民法によって新たに嫡出推定が及ぶようになった子(婚姻成立前に妊娠し、婚姻成立後に生まれた子)についても、この判例の考え方が同様に及ぶ可能性があります。
このように、「嫡出否認の訴え」を提起しうる期間が経過すると、あなたから親子関係を否定する方法はなくなると考えられそうですが、例外的に一定の要件を満たす場合において、21歳に達するまでの間に、子自らが「嫡出否認の訴え」を提起する余地は残ります。
私と夫は、20年間連れ添いましたが、籍は入れていませんでした。子供はいません。ここ10年ほどは、夫名義で借りたマンションに2人で住んでいました。ところが、先日急に夫が亡くなり、私たちの結婚を認めていなかった夫の両親から、マンションの借り主たる地域を夫の両親が相続したからマンションから出ていって欲しいと要求されています。何とかこのまま住み続けることは出来ないでしょうか?
夫婦としての共同生活を行っていても、届け出をしていなければ、「内縁」の夫婦として、夫婦間の相続は発生しません。従って、マンションの賃借権はご主人のご両親が相続することになります。しかし、判例上、内縁の配偶者は相続人の賃借権を「援用」することによって対抗できる、とされています。相続人から生存する内縁の配偶者に対して立退を求めることは権利の濫用として認められません。また、家主側から立退を求めることもできません。実際には、家主と話し合って内縁の配偶者(本件では奥さん)に契約名義を替えているケースが多いようです。
生活苦から妻が私に無断でサラ金から借金をしてしまいました。サラ金業者からは「妻が生活のために借金をしたんだから、夫が払うのは当たり前だ。法律にも書いてある。」と言われて支払を要求されています。支払わなければならないのでしょうか?
民法には「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責めに任ずる」と定められています(761条)。例えば、妻が夫に相談することなくお子さんの通う補習塾の契約を結んだとしても、入学金や月謝を支払う義務を夫も連帯して負う、ということです。「日常家事」とは、夫婦が共同生活を営んでいく上で日常必要とされるもののことをいいますが、それに該当するかどうかは、個々の夫婦の職業、資産、収入などによって異なります。
借金による債務が日常家事債務にあたるかどうかは、それが共同生活の維持のためにされたかどうかによって判断されます。裁判所はそれほど容易には連帯責任を認めないようですが、ケースバイケースですので(使途を偽って借金したような場合に、表見代理の規定の趣旨を類推適用して連帯責任を認める事もありえます)、弁護士会の法律相談などを利用して、必ず弁護士に相談して下さい。
結婚するには、どのような要件があるのですか?
(1)婚姻適齢(731条):結婚できる年齢は男女とも18歳です。成人年齢も18歳ですので、婚姻時の父母の同意も不要です。
(2)重婚の禁止(732条):既に結婚している人は結婚できません。
(3)近親婚の禁止(734~736条):近親者の間では結婚できない場合があります。3親等以内の血縁関係がある場合には結婚できません。「親等」の計算は、親子間で「1」となります。従って、兄弟は、親の子として2親等となり、結婚できません。叔父さん、叔母さんは、祖父母の子ですから3親等となり結婚できませんが、従兄弟は、祖父母の孫ですから4親等となり結婚できます。また、結婚や養子縁組でも親族関係が発生しますが、そのような事情で発生した親子、祖父母と孫、その配偶者(夫や妻)等との間では結婚できません。離婚や離縁をした後でも同様です。