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債権回収

「債権回収」に関しての質問一覧
10年前、3年後に返してもらう約束で友人にお金を貸したのですが、貸したことをすっかり忘れてしまっていました。このたび机の中から借用書が出てきたので、友人に返済を求めたところ、「もう時効だ」と言われてしまいました。私は貸金を返してもらえないのでしょうか?
私が経営する会社の従業員が、数千万円ものお金を横領して行方不明になってしまいました。これから損害賠償請求の裁判を起こそうと思いますが、従業員には親から相続した土地があります。直ちにお金の返還が求められなくとも、この土地を人手に渡らせないようにすることができますか?
マンションのリフォーム工事を請け負い、工事が完了したので発注者に50万円ほどの工事代を要求したのですが、いつまで経っても支払がなく、発注者からはそのうち支払うと引き延ばされるばかりで、誠意が感じられません。裁判所から支払を命じてもらう方法がありませんか?
友人に1,000万円貸すことになり、契約をきちんと取り交わしたいと思っています。通常の私製の借用書ではなく、公正証書を作ると良いとアドバイスを受けましたが、公正証書とはどのような文書でどうやって作るのですか?
取引先の会社が売掛金の支払いを遅れがちで、なかなか支払ってくれません。これまでに滞っている金額が1,000万円にもなり催促したところ、取引先の社長は今後は毎月の支払とは別に50万円ずつ20回に分けて支払うといいます。どうしたら確実に支払を受けられるでしょうか?
友人の依頼で、昨年暮れに100万円を貸しました。1ヶ月後に返すという話でしたが、期日後に電話で催促しても言を左右にして返してくれません。きちんと催促するには内容証明郵便で請求するという方法があると聞きましたが、内容証明郵便とはどのようなものですか?

10年前、3年後に返してもらう約束で友人にお金を貸したのですが、貸したことをすっかり忘れてしまっていました。このたび机の中から借用書が出てきたので、友人に返済を求めたところ、「もう時効だ」と言われてしまいました。私は貸金を返してもらえないのでしょうか?

権利の上に眠る者は保護に値しないという考え方から、消滅時効という制度が設けられています。消滅時効については、令和2年4月1日施行の民法改正によってルールが変わりましたが、同日より前にお金を貸していた場合、改正前の民法が適用されます。貸金のような一般の民事上の債権については、10年間の不行使で時効消滅に必要な期間が経過したことになり(改正前民法167条1項)、この状態で、債務者が時効を援用すると、この時効消滅の効果が確定します(民法145条)。説例の貸金の場合、支払期限が定められていて、その期限から10年が経過していませんので、未だ時効消滅に必要な期間は経過していないことになります。しかし、改正民法には、「権利を行使することができることを知った時」から5年という主観的起算点が追加されましたので(民法166条1項1号)、今後改正民法が適用される場面で設例のような貸金があった場合、支払期限から5年以上が経過しているため、時効消滅に必要な期間が経過したことになりますので注意が必要です。

私が経営する会社の従業員が、数千万円ものお金を横領して行方不明になってしまいました。これから損害賠償請求の裁判を起こそうと思いますが、従業員には親から相続した土地があります。直ちにお金の返還が求められなくとも、この土地を人手に渡らせないようにすることができますか?

土地の仮差押をすることが考えられます。仮差押命令は、損害賠償請求権のように金銭の支払いを目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生じるおそれがあるときに、債権者の申立によって裁判所から発せられます(民事保全法20条1項)。強制執行は、判決や執行証書のような債務名義があって初めて可能になりますが、裁判の間に債務者の資産が処分され、いざ勝訴判決を得たら強制執行ができなかったということもまま起こります。このような事態を防ぐため、債務者の特定の資産について仮に差し押さえる保全処分として、仮差押命令制度があります。仮差押命令を得るには、請求債権の存在と保全の必要性を、申立書と疎明資料で明らかにする必要があります。また、不当な仮差押によって債務者が損害を被る可能性があるため、通常は裁判所が債権者に担保となる金銭等の提供を命じます。

マンションのリフォーム工事を請け負い、工事が完了したので発注者に50万円ほどの工事代を要求したのですが、いつまで経っても支払がなく、発注者からはそのうち支払うと引き延ばされるばかりで、誠意が感じられません。裁判所から支払を命じてもらう方法がありませんか?

債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に、支払督促を申し立てる方法が考えられます。「金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」について、裁判所書記官は債権者の申立により支払督促を発付することができます(民事訴訟法382条)。訴訟における判決のように、期日に相手方を呼び出して請求についての答弁をさせ、争いのある点について証拠調べをするような手続を経る必要はありません。ただし、債務者は簡易裁判所に異議を申し立てることができ、異議のあった場合には通常の訴訟に移行することになります(民事訴訟法386条2項、395条)。したがって、督促手続は請求に関して争いがないときに有効と思われます。

友人に1,000万円貸すことになり、契約をきちんと取り交わしたいと思っています。通常の私製の借用書ではなく、公正証書を作ると良いとアドバイスを受けましたが、公正証書とはどのような文書でどうやって作るのですか?

公証人が法律行為(契約など)その他私権に関する事実について作成する文書を公正証書といい、そのうち特に、約束を履行しない場合直ちに強制執行に服するとの債務者の陳述が記載されたものを執行証書といいます。私製の契約書では、債務者に対し改めて訴訟などの手続を経ないと強制執行はできませんが、執行証書では裁判の費用と時間を要することなく、不履行によって直ちに強制執行の手続きに入ることができるのです。ただし、直ちに強制執行できる執行証書は、「金銭の一定額の支払またはその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」の場合に限られ(民事執行法22条5号)、不動産の明け渡しや物の引渡のような場合に関しては、公正証書を作成しても執行はできません。公正証書は、公証役場に所属する公証人が当事者ないしその代理人から契約内容を録取して作成されます。公証役場は比較的身近な都市部に所在しています。通常は、当事者または代理人が、本人確認のできる実印と印鑑証明書や運転免許証等を持参して公証役場に出向いて作成することになります。

取引先の会社が売掛金の支払いを遅れがちで、なかなか支払ってくれません。これまでに滞っている金額が1,000万円にもなり催促したところ、取引先の社長は今後は毎月の支払とは別に50万円ずつ20回に分けて支払うといいます。どうしたら確実に支払を受けられるでしょうか?

一つの方法として、20回の期日毎の額面50万円の約束手形20枚を振り出して貰うことが考えられます。取引先の会社にとって手形を振りだした挙げ句2度の不渡が生じると銀行取引停止処分を受け、致命的な信用喪失となりますので、決済を心理的に強制されることになります。手形を受け取った方でも、手形の割引により資金調達が可能になる場合があります。しかし、取引先の会社が手形を発行していないような場合には、不履行の場合に備え、分割弁済の約束を公正証書という形で契約書を作成するとか、即決和解(当事者が起訴前に簡易裁判所に出頭してする和解)を取り交わすという方法が考えられます。

友人の依頼で、昨年暮れに100万円を貸しました。1ヶ月後に返すという話でしたが、期日後に電話で催促しても言を左右にして返してくれません。きちんと催促するには内容証明郵便で請求するという方法があると聞きましたが、内容証明郵便とはどのようなものですか?

通常の手紙では、どのような内容の手紙が相手方に送られたか、いつ届いたか、証明することができません。内容証明郵便は、書留郵便の一種ですが、いつ、誰が、誰に対してどのような内容の文書を差し出したか、郵便局が証明してくれるものです。同文の文書を3通作り、集配業務を行っている郵便局等に提出すると、1通は郵便局が保管し、1通は相手方に送られ、1通は差出人の控えとして返されます。あわせて配達証明書を要求すれば、相手方に内容証明郵便が届いた日も明らかになります。文書の枚数に応じた内容証明料がかかるほか、書留郵便料、通常郵便料、配達証明料が必要です。