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公害・環境特別委員会

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横田基地視察(3月5日午後1時~4時)

横田基地は、福生市等5市1町にまたがる、沖縄県以外では日本で最大のアメリカ空軍基地です。2012年からは自衛隊航空総隊司令部などもおかれています。米軍機には航空法の適用が除外されており、横田基地でも低空飛行や急旋回等の飛行訓練が行われています。近接する立川基地が1969年に米軍から返還された一方で、横田基地では昨年7月からオスプレイの訓練も行われるようになっており、近隣住民の人権侵害がさらに強まることが懸念されています。このような状況をふまえ、弁護士会として取り組むべき課題を検討するために、2015年3月5日、横田基地周辺の視察を行いました。

横田基地の騒音被害については、騒音の差止めや損害賠償を求める横田基地騒音訴訟がおこされており、この原告団事務局長清水幸一さん、副団長御供所弘人さん、弁護団員中杉喜代司弁護士にご案内頂き、基地の周辺を視察しました。

視察は横田基地の南側の元々掘向商店街があった場所から始まりました。梅が綺麗に咲き誇る中で、「国有地につき許可無く使用を禁ず」という黄色い立て看板が点々と立っていました。かつて存在した商店街の面影は全くなく、横田基地による騒音によって多くの方の生活が破壊され、退去を余儀なくされた跡地が、雑木林となって広がっていました。

その後、横田基地の南側から東側を歩き、清水さん、中杉弁護士から、どのような航空機が止まっているか、それぞれの航空機による音の違いや生活に対する影響、爆薬庫の位置等、横田基地施設の説明を頂きました。また、裁判での検証の際の様子や、横田基地の名前の由来などのトリビア的話題や横田基地マラソンの話など、様々なお話を伺いました。

そして、基地の北側にある瑞穂町スカイホールから基地を視察しました。スカイホールは山の中腹にあり、基地がいかに大きいか、そして横田基地がアパートや商業施設等もある町の中にあることを実感しました。5市1町にまたがるというのはこれほど広いものかと感じました。


視察をしている間の離着陸は、1機民間チャーター機が離陸したのみでした。防音されている施設内にいた際の離陸でしたので、音は実感できませんでした。しかし、視察の間、頻繁にヘリコプターがパタパタと重たい音を響かせながら飛び回っており、基地からはエンジンテスト重低音が響いていました。基地から道を一本隔てた向かいにはアパート等も多く立ち並んでいます。多い日には航空機が何機も次々と飛んでいくと聞き、これが年中続くということです。騒音の生活に対する影響は極めて大きいと感じました。

「横田基地騒音訴訟」について、文献や報道等で目にすることはよくありますが、基地の大きさと生活圏の近さ、そして生活のすぐ隣にある騒音(エンジンテスト等ですら)について、実際に視察して初めて実感じました。

横田基地騒音訴訟では、裁判所が将来の損害について賠償を認めないので、住民の皆さんは、すべての損害を賠償してもらうためには3年ごとに裁判をおこさなければならない理屈になりますし、実際にも数度にわたって裁判手続を負担して、大変なご苦労をされていることもわかりました。視察に参加した委員のなかからは、「基地が事実上固定化されているのであれば、騒音により周辺宅地等の資産価値が低下していると評価して抜本的な解決をはかるべきではないか」との意見も出されました。住宅地に隣接する基地による騒音被害がどのように救済されるべきか、より広い議論が必要だと感じました。

清水幸一さん、御供所弘人さん、中杉喜代司弁護士、ご案内頂きまして、誠に有り難う御座いました。

(写真)
上:かつて商店街があった場所
中:スカイホールからみた横田基地
下:騒音測定器  

委員 津村八江

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