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公設事務所運営特別委員会

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【ご報告】公設事務所20周年記念シンポジウム「社会インフラとしてのパブリック」が開催されました(3月1日)

 2023年3月1日(水)午後3時30分より、東京弁護士会都市型公設事務所20周年記念シンポジウム「社会インフラとしてのパブリック」が開催されました。

 東京弁護士会会長伊井和彦の主催者挨拶に続き、来賓挨拶として、日本弁護士連合会会長小林元治弁護士から、東京弁護士会副会長を務められていた当時、北千住パブリック法律事務所の設立に向けて尽力されたお話をいただきました。

 第1部では、まず、「司法アクセスの最前線〜パブリックのこれまでとこれから~」と題して、東京パブリック法律事務所の谷口太規弁護士(東京弁護士会)による基調講演が行われました。これまで公設事務所が、裁判員裁判を中心とした刑事弁護、法律扶助事件、いわゆる困難案件を担ってきたこと、次代の担い手の養成に努めてきたことが紹介されました。

 続いて、パネルディスカッション「コミュニティにおける都市型公設事務所の役割」と題して、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク理事長の栗林知絵子氏、社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会総務課長の田中慎吾氏、東京パブリック法律事務所の長谷川翼弁護士(東京弁護士会)をパネラーとして行われました。

 豊島区で始まった子どもが主体的に遊べるプレイパークを作る活動から、子どもやその家庭が抱える問題が把握され、その解決に向けて行われる食糧支援、子ども食堂、無料学習支援、居場所づくり、経済支援の活動を通じて、東京パブリック法律事務所の弁護士がつながり、市民、行政そして弁護士の三者が連携した仕組みづくりがされていることが報告されました。その上で、今後は、このような活動を豊島区にとどまらず、全国のスタンダードの取組みとして広め深めることが必要であること、弁護士はそのような各地域のニーズに対応していく必要のあることが指摘されました。

 第2部では、「社会インフラとしての都市型公設事務所」と題して、北千住パブリック法律事務所の刑事弁護の活動について、元札幌高等裁判所長官・東京地方裁判所刑事部所長代行者の合田悦三氏、元北千住パブリック法律事務所の坂根真也弁護士(東京弁護士会)をパネラーとして行われました。

 北千住パブリック法律事務所が、弁護士法人の公設事務所として、裁判員裁判をはじめとする刑事司法制度改革に弁護士が対応するにあたって、その受け皿となったことや新しい制度に対応した弁護活動の実践として機能していたことや、高度な刑事弁護人の養成や地域派遣の活動を行っていたことが報告されました。そして、裁判所においても弁護人の尋問や弁論のスキルの向上は認められており、今後もさらに事案に応じたメリハリのある刑事弁護活動を行うよう求めたいとの視点が示されました。

 併せて、多摩パブリック法律事務所の地域に根差した法人後見活動について、社会福祉法人狛江市社会福祉協議会社会福祉士の鈴木綾乃氏、多摩パブリック法律事務所の岡垣豊弁護士(東京弁護士会)をパネラーとして行われました。

 多摩パブリック法律事務所が、多摩地域で唯一の法人後見を行う弁護士法人として、地域機関と連携しており、後見業務に専従する支所として、受け皿としての機能を高めていることが報告されました。地域としては、虐待などが伴う困難案件や、地域機関とのチーム態勢がとれている点にメリットがある一方で、対応可能な案件数がまだ限られている現状が課題として挙げられました。

 最後に、閉会挨拶として、東京弁護士会公設事務所運営特別委員会委員長の矢吹公敏弁護士から、弁護士会が、公設事務所の活動内容に通じる「すべての人がその人らしく生きられる社会を目指す」という使命を果たす重要性を挙げられました。

 本シンポジウムは、会場参加及びウェビナー参加の合計が約200名と多数の方にご参加いただきました。参加者の方のアンケートでは、公設事務所の果たしてきた役割を知る機会となった点や、今後の公設事務所の活動に期待する旨の意見を多くいただきました。

各公設事務所とも、これからも公設事務所としての活動を継続し、より発展させていくことが求められていることに接するシンポジウムとなりました。

日時

2023年3月1日(水)15時30分~18時00分

場所

弁護士会館2階 クレオA(Zoom ウェビナーによる配信あり)

主催

東京弁護士会

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