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齊藤宏和弁護士に係る破産手続開始申立等に関するQ&A

2025年7月31日

Q&A

齊藤宏和弁護士への破産手続開始等の申立てについて

Q1 東京弁護士会が、東京地方裁判所に対して、齊藤宏和弁護士(以下「齊藤弁護士」といいます。)の破産手続開始を申し立てた経緯はどのようなものか。

A1  齊藤弁護士について、当会は、2023(令和5)年12月、同弁護士を懲戒の手続きに付したことを事前公表しました。
懲戒の手続きに付された事案の事前公表について(※この懲戒の手続きは現在も継続中です。)
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-711.html

齊藤弁護士は詐欺の疑いで2024(令和6)年9月に逮捕され現在も公判中(刑事裁判中)ですが、詐欺の疑いが事実であれば詐欺被害者の方への損害賠償金を相当額負うこととなります。
東京弁護士会所属・齊藤宏和弁護士の逮捕報道に関する情報提供(Q&A)
https://www.toben.or.jp/news/2024/09/post-902.html

齊藤弁護士の逮捕後、当会には齊藤弁護士の多数の依頼者の方々から「齊藤弁護士と連絡が取れない」「齊藤弁護士を解任して弁護士費用の返還を求めたい」といった問合わせや相談がありました。当会は依頼者の方々からの問合わせ等を受けて、齊藤弁護士に対し再三再四にわたり依頼者の方々への対応を指導しましたが、誠に遺憾ながら、齊藤弁護士は当会の指導に従わず、未だもって依頼者の方々への対応を行っておりません。
齊藤弁護士には多数の依頼者がおり、逮捕後、受任事件業務の遂行不能等により返還すべき弁護士費用が多額になることが想定されます。
これまでの間に当会が齊藤弁護士から聴取した財産状況等に関する内容からすると、詐欺被害者の方への損害賠償金および依頼者の方々に返還すべき弁護士費用を同弁護士が全て支払うことは到底困難であると考えられることから、齊藤弁護士に対し債権を持つ当会ほか1名は、齊藤弁護士の依頼者の方々や詐欺事件の被害者の適正かつ公正な救済を図るため、2025(令和7)年7月10日、東京地方裁判所に対して、齊藤弁護士に係る破産手続開始申立を行うに至りました。あわせて、齊藤弁護士の財産が散逸する事態を防ぎ、特定の債権者にのみ弁済がなされることがないよう東京地方裁判所に齊藤弁護士の財産の保全処分の申立てを行いました。

Q2 齊藤弁護士の資産状況はどのようなものか。

A2 当会において齊藤弁護士の資産状況の詳細は調べることはできませんが、今後、破産手続開始決定後に選任される破産管財人が調査することとなります。

Q3 齊藤弁護士の総債務額や債権者数を教えてください。

A3 今後選任される破産管財人による債権調査や公租公課の調査等を経なければ正確な総債務額や債権者数は分かりません。

Q4 保全処分(弁済禁止命令)とはどのようなものですか。

A4 破産手続開始申立がなされてから破産手続開始決定が出るまでには一定の時間がかかります。弁済禁止命令とは、この間に破産者の財産が隠匿・毀損されたり、一部の債権者のみが債権回収したりするのを防ぐために認められている破産法上の保全処分の一種です。
弁済禁止命令が発令されると、弁済禁止命令に反して弁済を受けても破産手続の関係ではその効果を主張することができなくなります。
なお、齊藤弁護士の財産に関する保全処分(弁済禁止命令)は2025(令和7)年7月24日に発令されました。

Q5 この後、齊藤弁護士に係る破産手続開始申立事件はどうなるのか。また、破産手続開始決定はいつ頃になる見込みか。

A5 現在、東京地方裁判所において破産手続を開始すべきか否か、つまり、破産原因があるか否かについて審理中です。破産手続開始の判断は裁判所が行いますので、当会において、破産手続が開始されるかどうか、またその時期がいつになるかについて回答することはできません。ただし、一般論として、破産手続開始決定がなされる場合でも、当会の申立日(2025年7月10日)から一定の期間を要することが想定されます。

Q6 齊藤弁護士について破産手続開始決定がなされた場合、齊藤弁護士に支払った着手金や同弁護士が金融機関から受領した被害回復分配金等はどうなるのか。

A6 齊藤弁護士について破産手続開始がなされると、裁判所から選任された破産管財人が、中立公正な立場で、同弁護士の財産や債権債務関係の調査等を行います。これらの調査・換価回収等の上、破産者の財産から租税などの優先的な債権や管財業務に必要な費用等を支払った後に配当可能な原資がある場合には、債権者(詐欺被害者の方や齊藤弁護士から弁護士費用等の返還を受け得る依頼者も含む)に公平に配当(分配)することになります。したがって、今後の破産手続により、配当可能な財産が形成され、かつ、配当を受けようとする債権が破産手続において認められた場合には、債権の種類や債権額等に応じた弁済を受けることになります。
なお、現時点では、国際ロマンス詐欺等の被害者の方々を含む債権者の方々への配当が可能であるか否か、予想配当率、配当の予定時期等は全く未定です。

Q7 齊藤会員の破産手続開始決定をどのような方法で知ることができるのか。

A7 裁判所から破産手続開始決定がなされると同時に破産管財人が選任され、官報にも公告されます。破産手続開始決定がなされた場合、当会ホームページにて破産手続開始決定がなされたことおよび破産管財人等の情報をお知らせいたします。

Q8 破産管財人が決まったら、具体的には何をする必要があるのか。

A8 齊藤弁護士に対する債権を有する方は、破産管財人に対して、債権を届け出る等の対応をしていただくことが必要になります。破産開始決定後に当会ウェブページにて公表を行いますので、そちらをお待ちください。

 

Q9 齊藤弁護士について破産手続開始決定がなされた場合、齊藤弁護士に依頼している委任契約や依頼事件はどのようになるのか。

A9 齊藤弁護士の破産手続開始決定が確定すると、齊藤弁護士において、依頼者の方々との間の委任契約を継続することや、依頼事件を遂行することはできません。また、破産管財人が委任契約や依頼事件を引き継ぎ、代理人として受任事件を遂行することはありません。

Q10 齊藤弁護士の破産手続開始により、依頼していた事件の記録等は返還されるのか。

A10 齊藤弁護士の資料の保管状況や破産管財人の業務状況等によりますので、現時点では確たることは不明です。

齊藤宏和弁護士について

Q11 齊藤弁護士の破産手続開始が決定した場合、齊藤弁護士の弁護士資格はどうなるのか。

A11 弁護士は、破産手続開始決定が確定すると次の規定により弁護士資格を失います(弁護士法7条4号)。 
  (弁護士の欠格事由)
第七条 次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。
四 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

Q12 齊藤会員の刑事事件はどのようになっているのか。

A12 刑事公判手続の今後の予定等については、当会は、回答できる立場にありません。

Q13 齊藤弁護士に関する懲戒手続は今後どうなるのか。

A13 懲戒手続は、齊藤弁護士の弁護士資格がある限りは継続することとなります。ただ、手続きの結果がどのようになるか、また、いつになるか等に関しては、現時点で確定的な回答はできません。
弁護士は破産手続開始決定が確定すると弁護士資格を失いますので、懲戒処分がなされる前に破産手続開始決定が確定すると、その時点で懲戒手続は終了します。

Q14 申立中の紛議調停事件はどうなるのか。また、今後紛議調停制度を利用して齊藤弁護士から着手金や被害回復分配金を返還してもらえないのか。

A14 申立中の紛議調停事件は、齊藤弁護士の弁護士資格がある限りは継続することとなります。しかし、紛議調停事件については齊藤弁護士の出頭が期待できないほか、前述のとおり、東京地方裁判所から保全処分(弁済禁止命令)が発令されており、個々の債権者への弁済を行うことはできないため、現状、申立中の紛議調停事件の進行は困難と考えます。
なお、破産手続開始がなされると、裁判所から選任された破産管財人が、中立公正な立場で、齊藤弁護士の財産や債権債務関係の調査等を行います。これらの調査・換価回収等の上、破産者の財産から租税などの優先的な債権や管財業務に必要な費用等を支払った後に、配当可能原資があれば、破産法に基づいて債権者の方々に公平に配当(分配)することになります。

その他

  

Q15 国際ロマンス詐欺や投資詐欺の被害回復は難しいのか。

A15 被害回復のため口座凍結をしても口座残高は少ない場合がほとんどであり、暗号資産で送金した場合は交換所の追跡はできても詐欺師の特定はできないと考えられています。他の特殊詐欺事案と比較して、国際ロマンス詐欺や投資詐欺の被害回復は現実には難しく、多くの場合、被害を全く回収できないか、ごく少額の回収にとどまることが多いようです。