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家族が急に亡くなった場合どうする?

今朝起きると、同居している高齢の父が亡くなっていました。昨晩も普段と変わった様子はなく、いつも通りに自室で寝ていたのに、突然のことに混乱しています。一体、どうすれば良いのでしょうか?

ご家族が急に亡くなった場合、先ず、死亡の事実を確認することが必要です。病院で亡くなられた場合には、医師が死亡診断書を作成することから手続が始まります。しかし、ご自宅で亡くなられた場合には、それがないところから手続を考える必要があります。

先ず考えられるのは、救急車を呼ぶことです。しかし、呼びかけても返事がないばかりか、ゆすっても反応がなく、脈拍も心音もなく、死斑が出ていたり死後硬直が始まっていたり、素人判断でも亡くなっていることが明らか、という場合には、かかりつけ医を呼ぶべきでしょう(医師法19条2項)。

かかりつけ医は、生前に診療していた傷病に関連する死亡であると認められる場合には、死亡診断書を作成することが可能です(医師法20条本文)。なお、医師法20条ただし書を誤解して、死亡後24時間以上が経過している場合にはかかりつけ医が死亡診断書を書くことはできないという誤った解説が散見されますが、そのようなことはありません(平成24年8月31日付医政医発0831第1号)。

かかりつけ医がいない場合には、警察に連絡することになります。多くの場合、警察が依頼した医師により、死体検案書が作成されることになります。なお、死体検案書と死亡診断書は同一の書式で作成されます。

注意しなければならないのは、素人判断でも亡くなっていることが明らか、という場合には、遺体を動かさない、ということです。遺体を動かしてしまうと、死因の判断が難しくなってしまう恐れがあります。

死亡診断書または死体検案書が作成されたら、葬儀場の手配です。死亡を届け出た際に火葬の許可証が交付されるのですが(埋葬法5条、8条)、許可証には火葬場所が記載されるので、事前にどこで火葬するのかを決めてから死亡届を提出することになります。そのため、ほとんどの場合、葬儀場が死亡届を提出してくれます。

同居親族は、死亡を知った日から7日以内に、市区町村に対して死亡届を提出する義務があり、これに死亡診断書または死体検案書を添付する必要があります(戸籍法86条1項、同2項、87条1項1号)。この時間制限を意識して、急ぎ葬儀場を選ぶことになります。

葬儀が終わっても、手続は続きます。国民健康保険や国民年金等の手続が必要ですし、準確定申告や相続税の申告が必要な場合もあります。もちろん、相続の手続も必要です。しかし、まずは、死亡の事実を確認することが第一ですので、いきなり相続のことを考えるのではなく、冷静に対応してください。

文責:弁護士 柿沼 彰

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