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著作権

私たちの身のまわりには、たくさんの「著作物」があふれています。論文、小説、音楽、舞踏、絵画、彫刻、写真、映画、コンピュータプログラムなど、その種類は様々です。ひとえに著作物といっても、それは「思想または感情を創作的に表現したもの」でなければならず、思想や感情を伴わない単なる事実、創作性のない誰もが思いつくデザイン、表現されていないアイデアなどは「著作物」ではありません。
逆に、子どもの塗り絵であっても、感情の伴った、独創的なものであれば「著作物」となり得ます。著作権法は、著作物の無断コピーや改変を防止する一方、著作権者以外の者が著作物を適法に利用できる場合を定めて、著作権者の保護と著作物の有効利用の調和を図っています。

Q&A 多くの方々から頂く代表的なご質問

当社では、新聞記事から当社の業務に有用と思われるものをコピーし、社内報として発行しています。これにつき、ある社員より、新聞社等の著作権を侵害するのではないのかとの指摘を受けました。社内報は社員しか読むことはなく、引用元も明記しておりますが、著作権侵害に当たるのでしょうか?

個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲で著作物のコピーを使用することは「私的使用」として許容されますが(著作権法30条1項)、会社内で業務上利用するために著作物をコピーする行為は「私的使用」に当たらないとされています。また、引用箇所を括弧でくくったり引用元を明示したりしても、他の部分と引用部分とが主従の関係になければ著作権法上の「引用」(著作権法32条1項)とはなりませんので、注意が必要です。

私は、この度、小説を創作しました。ウェブサイトでこの小説を公開しようと考えているのですが、著作権で保護されるためには、この小説の公開前に何らかの登録をしておかないといけないのでしょうか。

知的財産権には、登録により権利が発生する特許権、商標権、意匠権などがありますが、著作物については、その創作の時から何らの手続を要することなく、著作権が発生します(著作権法51条1項)。したがって、創作した小説について著作権の保護を受けるために登録は必要ありません。なお、著作権法には、実名の登録(75条)、第一発行年月日等の登録(76条)、著作権の移転等の登録(77条)などの登録制度がありますが、これらの登録制度は権利の発生とは別の制度です。

当社は、デザイン会社であるX社に当社商品のデザイン制作を委託し、X社から、X社が制作する当社商品のデザインに係る著作権の譲渡を受けようと考えています。著作権の譲渡を受けるために、デザイン制作委託契約書に、「X社は当社に、当社商品のデザインに係る著作権を譲渡する。」との規定を設ければよいでしょうか。

著作権には、複製権、譲渡権、翻案権などの個々の権利が含まれています。これら個々の権利の全部又は一部を譲渡することができますが(著作権法61条1項)、著作権を譲渡する契約において、著作権法27条(翻訳権、翻案権等)又は28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定されます(同法61条2項)。
したがって、著作権全部の譲渡を受けたい場合には、「X社は当社に、当社商品のデザインに係る著作権を全て(著作権法第27条及び第28条所定の権利を含む。)譲渡する。」と規定した方がよいでしょう。

著作物に関する権利として著作者人格権というものがあると聞きました。著作者人格権とは何でしょうか。

著作者人格権とは、著作者が著作物について有する人格的・精神的権利のことです。著作権法は、著作者人格権として、公表権(著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利、18条1項)、氏名表示権(著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利、19条1項)、及び同一性保持権(著作物及びその題号の同一性を保持する権利、20条1項)を規定しています。

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