実は千葉も被災地だった~千葉県旭市の被害視察及び仮設住宅での相談会~(吉田 悌一郎)
8月27日~28日にかけて、私の所属する法律家団体の震災プロジェクトチームの主催で、千葉県旭市の被害視察及び仮設住宅での相談会に参加してきた。
同プロジェクトチームでは、主にこれまであまり報道もされず、注目もされていない被災地域における被災者支援を企画しており、今回はその第一弾となった。プロジェクトチームのメンバーの弁護士17名と知り合いの税理士2名の合計19名での訪問となった。
まず始めに、地元の方の案内により、旭市内の津波被害及び液状化被害の現場を視察した。津波被害については、いわゆる被災3県におけるほど広範囲ではないものの、沿岸部では局所的に建物等が押し流された跡や半壊状態の建物などが残っており、痛々しい津波被害の爪痕が確実に残っていた。
液状化被害については、私は今回初めてその現場を見せていただく機会となったが、市内の保育園の地盤が液状化によって沈下し、保育園の建物が無残に傾いている姿を見て、ここも間違いなく被災地であるということを実感させられた。
その後、市内の仮設住宅での相談会が行われた。旭市内では、飯岡に150戸と旭に50戸の仮設住宅が設置されているが、いずれも空室はさほどなく、ほとんど満室に近い状態であった。我々メンバーも2つの仮設住宅に分かれて相談会を行った。今回は旭市側には事前にセッティングやチラシ等を使った広報などをしていただくなど、全面的なご協力をいただくことができた。
言うまでもなく、仮設住宅は避難所とは違い、各世帯のプライバシーが一応は確保され、一見すると生活が安定しつつあるように見える。しかし、一体この仮設住宅にいつまでいることができるのか、期限が来たら追い出されるのか、震災からそろそろ半年で失業保険が切れるが、その後の生活はどうなるのかなど、依然として生活不安を抱えた方からのご相談があった。こうしたご相談を受けて、改めてまだまだ震災被害は深刻な状況にあることを実感させられた。仮設住宅に移ったこれからこそが、ある意味では被災者支援の正念場かもしれない。こうした生活不安や複雑な法的トラブルなどを抱えた被災者はまだまだ各地にいるだろう。そうした被災者に対する長期的視点に立った支援を息長く継続していかなければならない。
同プロジェクトチームでは、今後も旭市の被災者相談を継続的に行うとともに、新たに茨城県北茨城市においても同様の被災者相談会を企画している。早くも震災から半年が経過しようとしているが、まだまだ埋もれている震災被害の掘り起こしを進めるとともに、今後も情熱を失うことなく被災者支援活動を継続していきたい。
(弁護士・吉田 悌一郎)