東京弁護士会

逮捕・刑事事件に関しての質問

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「逮捕・刑事事件」に関しての質問一覧
「弁護人」とはなんですか。弁護士とは違うのですか。
弁護士に刑事弁護を依頼すると、費用はどれくらいかかりますか。
夫(妻)が逮捕されたと警察から連絡がありました。どうしたらいいでしょうか?
面会をしたら衣服を差し入れてほしいと言われました。どんな服でも入れられるのですか。
本人には会えないのですが、何か差し入れたいと思っています。何か差入の注意点はありますか?また、郵送でも差入はできますか?
罪を犯したことが事実の場合、必ず逮捕されてしまうのでしょうか。また、前科がついてしまうのでしょうか。
最近ニュースで通り魔の事件をよく目にします。自分が被害に遭ったらどうなるのかと考えると心配です。被害弁償はしてもらえるのでしょうか?
詐欺に遭いました。許せないので厳重に処罰してもらいたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
警察から事情を聞きたいから警察署まで来てほしいと言われました。どうしたらよいでしょうか?
以前に逮捕されたことがあり、警察で被疑者の権利について説明されましたがよくわかりませんでした。わかりやすく教えてください。
国選弁護人に付いてもらうにはどうすればよいのですか?
逮捕された後の手続はどうなっていますか?
どの弁護士に頼めばいいのですか?
弁護士に依頼するかどうか、迷っています。何かアドバイスを。
高校生の子どもが逮捕されました。どうしたらいいでしょうか?

「弁護人」とはなんですか。弁護士とは違うのですか。

弁護人とは、捜査や刑事裁判を通じて、被疑者・被告人の意見を代弁し、有利な証拠を収集する等して被疑者・被告人の正当な権利を守る活動をする者です。通常は、弁護士のみが弁護人になることができます。

弁護士に刑事弁護を依頼すると、費用はどれくらいかかりますか。

弁護士によって報酬基準は区々なので、一概にいくらとはいえませんが、日弁連が行ったアンケート結果によると、着手金、報酬金とも30万円前後の場合が多いようです。また、起訴前は、最長23日間の身柄拘束期間中に、不起訴、釈放を求めて集中的な弁護活動を行う一方、起訴後の弁護活動は、まさに法廷での論戦と保釈を求める活動を並行して行うといった特殊性があり、起訴前と起訴後とで別々の報酬とする場合もあります。
なお、弁護を依頼できる弁護士がいない場合や、弁護士費用を工面することができないような場合など一定の条件を満たす場合には、裁判所に「国選弁護人」の選任を依頼することができます。ただし、「国選弁護人」だから全く無料というわけではなく、被疑者・被告人に資力がある場合には、判決において「訴訟費用」として一定額の支払いを命じられる場合があります。

夫(妻)が逮捕されたと警察から連絡がありました。どうしたらいいでしょうか?

まずは落ち着いて下さい。逮捕中は、親族の面会も認めない警察署が少なくありません。しかし、弁護士の面会は認められます(警察署にいない場合など除きます)。当番弁護という制度があり、逮捕された方も弁護士を呼ぶことはできますが、親族も別途弁護士に頼むことができます。複数の弁護士に依頼してしまっても、後で調整はできます。また、依頼した弁護士の仕事が、一回の面会だけで終わっても問題はありません。逮捕された方の状況を早く知りたい場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。

面会をしたら衣服を差し入れてほしいと言われました。どんな服でも入れられるのですか。

差入品にはいろいろと制限があります。例えば、衣服の場合、ワイヤーが入っているもの(女性のブラジャーなど)や「ひも」がついているもの(スエットのズボンのウエストのひもなど)は基本的に入りません。これは、自殺防止のためと言われています。場合によって、ワイヤーやひもを抜いて入れてくれるところもありますが、事前に警察署や拘置所の職員に確認されるとよいでしょう。
身柄拘束中は洗濯ができませんので、下着も含め、こまめな差入と宅下げ(中から物品を出してもらう手続。差入の反対です。)を希望される方が多いです。

本人には会えないのですが、何か差し入れたいと思っています。何か差入の注意点はありますか?また、郵送でも差入はできますか?

身柄拘束を受けている施設によって、差入品の制限が異なります。
まずは、差し入れたい物品について、差入が可能であるか、施設自体に聞いて、確認してみることをお勧めします。場合によっては、手紙も含め、一切の差入が認められないケースもありますので注意が必要です。
本人が望んでいるものを入れて差し上げるのが一番ですので、できれば本人に欲しいものを確認して下さい。本人に確認できない場合、一般に喜ばれるのは、現金(施設内でも制限はありますが買い物ができます)、封筒や便箋、切手など(手紙でのやりとりが多くなります)、ノート(日記を付ける方が多いようです。違法な取調があった場合の証拠にもなりますので、弁護士もお勧めしています。)、書籍や雑誌、衣類などでしょうか。写真を希望される方も多いです。身柄を拘束されている方にとっては、心の支えになると聞きます。
郵送での差入も原則可能ですが、一日に入れてもらえる数量に限りがある場合がありますし、入らない場合、取りに来て下さいと言われます。やはり、郵送の場合でも、施設に連絡して確認することをお勧めします。警察署の場合、留置係(あるいは管理課)にお問い合わせ下さい。

罪を犯したことが事実の場合、必ず逮捕されてしまうのでしょうか。また、前科がついてしまうのでしょうか。

罪となる事実があっても、必ず逮捕されるわけではありません。逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合で、裁判所が許可した場合にのみ逮捕されます(ただし、現行犯逮捕などの例があります。)。
前科としての履歴は、刑事裁判において有罪判決を受けた場合に生ずるものです。起訴するか否かは、検察官の裁量に委ねられています。犯罪の重大性、過去の犯罪歴、被害者の感情、その他諸般の事情を考慮し、本人が十分に反省し、再犯の可能性が低いと思われる場合には、犯罪が事実であっても起訴されない場合があります(起訴猶予)。その場合は、刑事裁判が行われませんので、当該事件が前科として残ることはありません。

最近ニュースで通り魔の事件をよく目にします。自分が被害に遭ったらどうなるのかと考えると心配です。被害弁償はしてもらえるのでしょうか?

犯人が逮捕されるなど誰が加害者か分かるのであれば、その相手に対して損害賠償請求ができますが、実際には相手に賠償するだけの資力はない場合がほとんどで、効果がありません。
しかし、死亡、重傷、重病又は障害などの被害を受けた場合は、「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に基づいて国から給付金を受けとることができます。申請は、警察署で行います。具体的な手順は警察の窓口で尋ねてみてください。

詐欺に遭いました。許せないので厳重に処罰してもらいたいのですが、どうしたらいいでしょうか?

犯罪の被害者は警察や検察などの捜査機関に対し、犯罪があったことを申告し処罰を求めることができます。これを「告訴」といい、告訴状を警察官あるいは検察官に提出して行います。告訴を受理すると捜査機関もすみやかに捜査を進め告訴した人に捜査結果を知らせるなどさまざまな責任を負います。そこで、実際にはまず犯罪被害の申告のみを「被害届」という形で受理することが多いようです。

性犯罪や傷害事件などとは違って詐欺のように被害が金銭だけの場合、告訴した後に被害者が加害者から弁償を受けて告訴を取下げること(告訴の取消)もありえます。それでは警察が被害弁償のために利用されたようなかたちになってしまいます。そういう危惧がある内は警察も本腰を入れて捜査してくれないので、事実上被害者の側で詐欺の事実を立証する証拠をそろえる必要がでてきます。

警察から事情を聞きたいから警察署まで来てほしいと言われました。どうしたらよいでしょうか?

逮捕状によって逮捕される場合は強制的に連行されてしまいますが、これに対して一応断る自由が残されている場合は、「任意同行」と呼ばれます。また、警察で取調べを受ける場合でも、他人が起こした事件について尋ねられる場合もあり、これは「参考人」としての取調べと言います。そこでまず、警察に対し自分が事件の被疑者とされているのか、単なる参考人なのかを確かめるとよいでしょう。参考人として事情聴取されるのであれば、拒否することも可能ですし、自宅での聴取を求めたり、自分に都合のよい日時を指定したりできる場合が多いでしょう。

ただ、注意しなければならないのは、既に逮捕状が出ていても被疑者の近所の人の目につくのを配慮して任意同行という形を取る場合があることと、すぐにでも逮捕状を請求できる段階にあるのだが任意で取調べに応じるのであれば逮捕しないでおこうという場合もあることです。これらは確かめようとしても、なかなか正直に答えてもらえずはぐらかされるでしょうから、相手の言動からニュアンスを酌み取り本音を察知する必要があります。とはいえ、経験の少ない一般の方がそのような交渉を上手にできる場合はまれでしょうから、この段階で弁護士に相談してアドバイスを求めた方がよいでしょう。弁護士の立会いを条件にして事情聴取に応じるという選択肢もあります。

以前に逮捕されたことがあり、警察で被疑者の権利について説明されましたがよくわかりませんでした。わかりやすく教えてください。

まず、「黙秘権」があります。言いたくないことは言わなくてよいという権利です。ウソを言ってもいいというわけではありませんが、取調べの間にいくらしつこく問い詰められても言いたくなければ「黙秘します」と言うか、何も言わずに黙っていてもかまいません。とはいうものの、実際には黙秘を続けるには大変気力が要るということも覚えておいてください。

次に、弁護人の援助を受ける権利があります。知っている弁護士がいれば呼んでもらって私選弁護を依頼できます。知っている弁護士がいない場合には弁護士会から当番弁護士を派遣してもらうことができます。また、国選弁護人を選任してもらうことも可能です。

国選弁護人に付いてもらうにはどうすればよいのですか?

「国選弁護人」とは、裁判所が選任し、選任されれば本人のために弁護活動を行う弁護士のことです。2009年にこの制度が大きく広がり、多くの場合勾留後から国選弁護人の援助を受けることができるようになりました。勾留の決定がされた直後に裁判官が手続を丁寧に説明してくれます。

なお、逮捕から勾留までの間は、国選弁護人を選任してもらうことはできませんが、それを補充するための制度として弁護士会では当番弁護士の制度を設けています。

逮捕された後の手続はどうなっていますか?

現行犯逮捕されたが事情を聴くとすぐに嫌疑が晴れたという場合や、罪が比較的軽く身元もしっかりしているから在宅で捜査できるという場合は、例外的に釈放される場合もあります。しかし通常は、逮捕から48時間以内に警察は身柄を検察官に送致し、検察官は、その後24時間以内に裁判官に「勾留(こうりゅう)」の請求をし、裁判官はそれから10日間の勾留(留置)をします。

検察官が勾留請求をすると、裁判官がその当否をあらためて審査するわけですが、ほとんどの場合に勾留が認められるのが実情です。また、法律上は、事件の内容が複雑な場合、複数の者による事件の場合、無罪を主張している場合など「やむを得ない事情」があれば、さらに10日間勾留の延長が認められるとされていますが、通常の事件でも10日間の延長が認められることが多いのが実情です。したがって、逮捕されると23日間の留置が認められることになります。

その後、起訴か不起訴かの処分がなされ、起訴されたときは、そのまま勾留が続きます。そして、判決を受けるわけですが、途中、「保釈」という制度があり、請求により保釈金を納めて釈放されることがあります。

どの弁護士に頼めばいいのですか?

刑事事件だけを専門にしている弁護士は極めて少ないので、刑事事件は扱わないという弁護士を除けば、どの弁護士でもそれほど当たり外れはないと一応は言うことができます。とはいえ、得手・不得手がありますので、刑事事件を日常的にある程度扱っている弁護士の方が安心です。

また、刑事事件の起訴前の弁護は、起訴までの日数が限られていますので、頼んだときに時間的な余裕がある弁護士でないと十分動けないということもあります。したがって、依頼する際に、刑事事件の経験と時間的余裕、そして費用を確認する必要があります。

そのような弁護士をどこで捜せばよいでしょうか。知人等からの紹介がない場合には、東京三弁護士会当番弁護士センター(03-3580-0082)に電話して、紹介を受けてはいかがでしょうか。当番弁護士センターに登録している弁護士は刑事事件を継続的に扱っている者です。そして、「当番弁護士」は、継続して依頼するかは決めずに、最初の1回は無料で本人に会いに行く制度です。まず当番弁護士に面会に行ってもらって、その後様子を聞いた上で依頼するかどうか決めることもできます。

弁護士に依頼するかどうか、迷っています。何かアドバイスを。

家族が警察に面会に行った際など、取調べの担当警察官が「弁護士を付けても結果は変わらないよ。」などと言って、暗に弁護士に依頼させないように働きかけてくることがあります。確かに、弁護士に依頼したからといって、すぐに釈放されるとか、起訴されないで済むというすばらしい結果が得られるとは限りません。

しかし、弁護士に依頼するメリットは(刑事事件を担当する弁護士は,その事件の「弁護人」と呼ばれます)、早期釈放や不起訴処分を勝ち取れる可能性がアップすることだけではありません。弁護士の役目は、まずは,逮捕された人(「被疑者」と言います)が捜査中に不当に扱われたりしないように守る、そして被疑者が自らの権利を正当に行使できるように援助するところにあります。

弁護人は、接見禁止の被疑者とも時間制限なしに面会できますし、捜査担当警察官や検察官との連絡を通じてある程度捜査状況を知ることもできます。こうして、被疑者と緊密に連絡をとる一方で、捜査の進展を見極めつつ、弁護人は刑事手続に沿って早期釈放ないし不起訴に向けた努力をします。

例えば、被疑者に関する有利な事情を書面にまとめ、起訴するほどの事件ではないとか、被疑者は犯人ではないなどの意見を伝えた上で、早期に釈放するよう検察官や裁判官に要請したりします。

事件の内容からして起訴が避けられないと見られる場合であっても、「被告人」(起訴後,被疑者の呼び名はこう変わります)に有利な事実を集めて、起訴後の保釈を勝ち取ったり、より有利な判決を得るために被告人の権利保護に努めます。

早期に弁護人を付けることが被疑者・被告人の権利保護につながることは、まちがいありません。できるだけ弁護士に依頼することをお勧めします。

高校生の子どもが逮捕されました。どうしたらいいでしょうか?

逮捕されると、本人はひとりではほとんど何も活動できなくなってしまうので、親や兄弟、友人などが本人と連絡を取って代わりに動いてあげる必要があります。また、逮捕された人は一日中狭い部屋に閉じ込められプライバシーもほとんどなくなりますから、大きなストレスとも闘わなければなりません。これも、親しい人が親身になって話し相手になってあげることでいくらか癒やすことができます。そのためにも、まずは面会をして必要な身の回りの品を差入れしてあげるのが一番でしょう。

とはいえ、弁護士以外が面会する場合にはたくさんの制限があります。

まず、通常、逮捕直後に警察から家族に連絡が入ります。親としては一刻も早く面会に行きたいところでしょうが、家族が面会できるようになるのは、勾留された後からです。東京の場合ですと、逮捕から3日ほど経ってやっと面会できるようになります。

また、面会時間も決まっています。通常の役所の窓口の受付時間とほぼ同じですし、取調べや現場検証などの捜査中は面会できません。面会時間は通常15分から20分くらいで、面会中も警察官が同席して逐一内容を聞いていますので、自由に会話ができるわけではありません。

面会の人数も一日一人という制限があります。午前中に友人が面会に来れば、午後に親が面会に行っても会うことはできません。

場合によっては、共犯者がいる事件や本人が素直に犯行を認めていない事件などで、面会禁止の制限が付けられて、弁護士以外とは面会できない措置がされる場合もあります。この場合、面会はできませんが差入れは可能ですから、差入れをしてあげるだけでも本人としてはありがたいものです。

以上の点をふまえると、面会を希望する場合には、当日の朝早くに留置場に電話をして、何時に行けば面会ができるかを確認することは必須と言えるでしょう。通常は逮捕した警察署内に留置されますが、時には別の場所に留置される場合もあるので、その確認も忘れないようにしてください。

お子さんと緊急に連絡を取る必要がある場合や、面会禁止の制限がされている場合には、弁護士に依頼せざるをえません。弁護士に心当たりのない場合などは、初回一回に限って弁護士が無料で接見に行ってくれるという「当番弁護士」の制度を利用されるのもよいでしょう。

最後に大事なことですが、子どもは大人に比べて暗示や誘導に弱いといわれています。私の経験でも、警察官の取調べで、「君はよく覚えてないと言うけど、本当はこうだったんじゃないの」と誘導されているのに、「警察官が僕の記憶があいまいなところを教えてくれるんですよ」とむしろ取調べが早く進んでありがたがっているかのような感想を漏らした少年もいました。捜査機関側に都合のよい調書を勝手に作らせないためにも、弁護士の援助が必要だと思います。