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逮捕・刑事事件

家族が逮捕された!

taiho.jpgある日突然、警察から電話があり「ご家族の○○さんを△△の現行犯で逮捕しました。」と告げられ、状況も理解できずにただただ呆然とする──このようなことが起こらないとは限りません。

逮捕された家族は、突然留置施設の外の世界と切り離され、想像もつかないほどのストレスを抱えることになります。このようなとき、逮捕された家族にとっての一番の支えは家族の応援と愛情です。そして、一日も早く身柄の拘束を解き、逮捕された家族の言い分を代弁し、不安な刑事捜査、裁判手続の中で家族を擁護していくのが弁護人(※)としての弁護士の役割です。

ここでは、家族が逮捕された場合を想定して、逮捕中に行われること、家族にできること、弁護士の役割をさらに詳しくご説明致します。

※「弁護人」 捜査、起訴の対象とされた本人のために、本人に有利な証拠の収集、不服の申立て、その他の弁護活動をする弁護士のこと。

「逮捕・刑事事件」に関しての質問一覧
「弁護人」とはなんですか。弁護士とは違うのですか。
弁護士に依頼するかどうか、迷っています。何かアドバイスを。
どの弁護士に頼めばいいのですか?
国選弁護人に付いてもらうにはどうすればよいのですか?
弁護士に刑事弁護を依頼すると、費用はどれくらいかかりますか。
警察から事情を聞きたいから警察署まで来てほしいと言われました。どうしたらよいでしょうか?
罪を犯したことが事実の場合、必ず逮捕されてしまうのでしょうか。また、前科がついてしまうのでしょうか。
逮捕された後の手続はどうなっていますか?
逮捕されて、警察で被疑者の権利について説明されましたがよくわかりませんでした。わかりやすく教えてください。
夫(妻)が逮捕されたと警察から連絡がありました。どうしたらいいでしょうか?
高校生の子どもが逮捕されました。どうしたらいいでしょうか?
本人には会えないのですが、何か差し入れたいと思っています。何か差入の注意点はありますか?また、郵送でも差入はできますか?
面会をしたら衣服を差し入れてほしいと言われました。どんな服でも入れられるのですか。
最近ニュースで通り魔の事件をよく目にします。自分が被害に遭ったらどうなるのかと考えると心配です。被害弁償はしてもらえるのでしょうか?
詐欺に遭いました。許せないので厳重に処罰してもらいたいのですが、どうしたらいいでしょうか?

「弁護人」とはなんですか。弁護士とは違うのですか。

弁護人とは、警察や検察から捜査を受ける逮捕された人(「被疑者」と言います)や、刑事裁判を受ける被告人(起訴後、被疑者の呼び名はこう変わります)の正当な権利を守るために弁護活動をする者です。通常は、弁護士のみが弁護人になることができます。
捜査段階では、取調べの対処方法等について適切な法的助言を行い、有利な証拠の収集や検察官との交渉等の弁護活動により、不起訴処分などを目指します。
裁判段階では、被告人の言い分を踏まえ、無罪や執行猶予付きの判決、できるだけ短期の実刑判決を獲得するために、検察官から開示された証拠や弁護人が収集した証拠を検討し、冒頭陳述や証人尋問、最終弁論などの法廷での弁護活動を行います。

弁護士に依頼するかどうか、迷っています。何かアドバイスを。

家族が警察に面会に行った際など、取調べの担当警察官が「弁護士を付けても結果は変わらないよ。」などと言って、暗に弁護士に依頼させないように働きかけてくることがあります。確かに、弁護士に依頼したからといって、すぐに釈放されるとか、起訴されないで済むというすばらしい結果が得られるとは限りません。

しかし、弁護士に依頼するメリットは、早期釈放や不起訴処分を勝ち取れる可能性がアップすることだけではありません。弁護士の役目は、まずは、被疑者が捜査中に不当に扱われたりしないように守る、そして被疑者が自らの権利を正当に行使できるように援助するところにあります。
弁護人は、接見禁止の被疑者とも時間制限なしに面会できますし、捜査担当警察官や検察官との連絡を通じてある程度捜査状況を知ることもできます。こうして、被疑者と緊密に連絡をとる一方で、捜査の進展を見極めつつ、弁護人は刑事手続に沿って早期釈放ないし不起訴に向けた努力をします。

例えば、被疑者に関する有利な事情を書面にまとめ、起訴するほどの事件ではないとか、被疑者は犯人ではないなどの意見を伝えた上で、早期に釈放するよう検察官や裁判官に要請したりします。
事件の内容からして起訴が避けられないと見られる場合であっても、被告人に有利な事実を集めて、起訴後の保釈を勝ち取ったり、より有利な判決を得るために被告人の権利保護に努めます。
早期に弁護人を付けることが被疑者・被告人の権利保護につながることは、まちがいありません。できるだけ弁護士に依頼することをお勧めします。

どの弁護士に頼めばいいのですか?

知っている弁護士がいない場合や弁護士を頼む費用がない場合には、東京三弁護士会当番弁護士センター(03-3580-0082)に電話して、紹介を受けることができます。「当番弁護士」は、最初の1回は無料で弁護士が被疑者に面会に行く制度です。当番弁護士の弁護士費用は、弁護士会が負担します。まず当番弁護士に面会に行ってもらって、その後様子を聞いた上で依頼するかどうか決めることもできます。
国選弁護人(Q4参照)は、勾留決定がされた後でないと選任されません。国選弁護人も当番弁護士も、依頼者が弁護士を選ぶことはできませんので、自由に弁護士を選びたいのであれば、ご自身で弁護士を探して契約をする必要があります。

国選弁護人に付いてもらうにはどうすればよいのですか?

「国選弁護人」とは、勾留の決定がされた後に、裁判所が選任し、選任されれば本人のために弁護活動を行う弁護士のことです。資力がないこと等の要件がありますが、通常は弁護士費用を負担しなくてよいこととなります。2018年6月にこの制度は更に大きく広がり、勾留の決定がされた被疑者は、全事件で国選弁護人の援助を受けることができるようになりました。
なお、逮捕から勾留までの間は、国選弁護人を選任してもらうことはできませんが、それを補充するために弁護士会では当番弁護士の制度を設けています(Q3参照)。

弁護士に刑事弁護を依頼すると、費用はどれくらいかかりますか。

日弁連が行ったアンケート結果によると、着手金、報酬金とも30万円前後の場合が多いようですが、事件の内容によって求められる弁護活動の内容は様々なので、一概にいくらとはいえません。起訴前は、最長23日間の身柄拘束期間中に、不起訴や釈放を求めて集中的な弁護活動を行う一方、起訴後は、法廷での訴訟活動と保釈を求める活動を長期的に行うという点で違いがあり、起訴前とは別に起訴後にも新たに報酬が発生する場合もあります。
なお、弁護を依頼できる弁護士がいない場合や、弁護士費用を工面することができないような場合など一定の条件を満たす場合には、裁判所に「国選弁護人」の選任を依頼することができます(Q4参照)。

警察から事情を聞きたいから警察署まで来てほしいと言われました。どうしたらよいでしょうか?

断ることはできます。
しかし、もしあなたが嫌疑をかけられて警察署まで来てほしいと言われているのであれば、その後身体拘束を受けるか否かの判断に影響を及ぼす可能性があるので、直ちに弁護士に相談することが望ましいです。
仮に、任意に警察署まで行って取調べを受けたとしても、黙秘をすることができます。

罪を犯したことが事実の場合、必ず逮捕されてしまうのでしょうか。また、前科がついてしまうのでしょうか。

罪となる事実があっても、必ず逮捕されるわけではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなど逮捕の必要性があり、裁判所が許可した場合にのみ逮捕されます(ただし、現行犯逮捕などの例外があります。)。
前科の履歴は、刑事裁判において有罪判決を受けた場合に生ずるものです。起訴するか否かは、検察官の裁量に委ねられています。検察官が、有罪を証明する証拠が足りないと判断した場合や、犯罪の重大性、過去の犯罪歴、被害者の感情、被疑者の反省の状況、その他諸般の事情を考慮して、起訴する必要がないと判断した場合には不起訴処分となります。その場合は、刑事裁判が行われませんので判決を受けることもなく、当該事件が前科として残ることはありません。弁護人が不起訴処分を獲得するために活動すべき理由は、ここにあります。

逮捕された後の手続はどうなっていますか?

通常は、逮捕から48時間以内に警察は身柄を検察官に送致し、検察官は、その後24時間以内に裁判官に「勾留」の請求をし、裁判官はそれから10日間の勾留をします。裁判官が、「やむを得ない事情」があると認めた場合には、さらに10日間の勾留期間の延長が認められます。10日間の勾留期間の延長は、多くの事件で認められており、逮捕されると通常23日間の身体拘束が認められることになります。その後、検察官によって起訴か不起訴かの処分がなされ、起訴されたときは、そのまま勾留が続きます。
もっとも、身体拘束から解放するために、勾留決定に対する準抗告や保釈請求等の様々な法的手段があります。

逮捕されて、警察で被疑者の権利について説明されましたがよくわかりませんでした。わかりやすく教えてください。

まず、「黙秘権」があります。言いたくないことは言わなくてよいという権利です。
次に、弁護人の援助を受ける権利があります。知っている弁護士がいれば呼んでもらって私選弁護を依頼できますし、知っている弁護士がいない場合や弁護士を頼む費用がない場合には弁護士会から当番弁護士を派遣してもらうことができます(Q3参照)。また、一定の資力要件などがありますが国選弁護人を選任してもらうことも可能です(Q4参照)。

夫(妻)が逮捕されたと警察から連絡がありました。どうしたらいいでしょうか?

まずは落ち着いて下さい。逮捕当日は、親族の面会が認められないことが多く、警察が事件の情報を教えてくれることも殆どありません。
しかし、弁護士が逮捕されたご家族に接見して事情を聞くことで、事件の内容や今後の見通しが分かることが多いです。知人に弁護士がいなくても当番弁護という制度により、弁護士の接見を依頼することができます(Q3参照)。また、親族も別途弁護士に弁護活動を依頼することができます。逮捕された方の状況を早く知りたい場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。

高校生の子どもが逮捕されました。どうしたらいいでしょうか?

まずは、早急に弁護士に依頼してください。
逮捕されると、本人はひとりではほとんど何も活動できなくなってしまうので、親や兄弟、友人などが本人と連絡を取って代わりに動く必要があります。また、逮捕された人は一日中狭い部屋に閉じ込められプライバシーもほとんどなくなりますから、大きなストレスとも闘わなければなりません。これも、親しい人が親身になって話し相手になってあげることでいくらか癒やすことができます。そのためにも、まずは面会をして必要な身の回りの品を差入れしてあげるのが一番でしょう。

とはいえ、弁護士以外が面会する場合にはたくさんの制限があります。逮捕されたご本人が検察庁で取調べを受ける日や、裁判所で手続をする日には、家族であっても面会できません。東京の場合ですと、逮捕から3日ほど経ってやっと面会できるようになる、というケースが多いです。
また、面会時間も決まっています。通常の役所の窓口の受付時間とほぼ同じですし、取調べや現場検証などの捜査中は面会できません。面会時間は通常15分から20分くらいで、面会中も警察官が同席して逐一内容を聞いていますので、自由に会話ができるわけではありません。
面会の人数も一日一人という制限があります。午前中に友人が面会に来れば、午後に親が面会に行っても会うことはできません。共犯者がいる事件や本人が犯行を認めていない事件などで、面会禁止の制限が付けられて、弁護士以外とは面会できない措置がされる場合もあります。この場合、面会はできませんが差入れは可能ですから、差入れをしてあげるだけでも本人としてはありがたいものです。

以上の点をふまえると、面会を希望する場合には、当日の朝早くに留置場に電話をして、何時に行けば面会ができるかを確認することは必須と言えるでしょう。通常は逮捕した警察署内に留置されますが、時には別の場所に留置される場合もあるので、その確認も忘れないようにしてください。
お子さんと緊急に連絡を取る必要がある場合や、面会禁止の制限がされている場合には、弁護士に依頼せざるをえません。弁護士に心当たりのない場合などは、「当番弁護士」の制度を利用されるのもよいでしょう(Q3参照)。

最後に大事なことですが、子どもは大人に比べて暗示や誘導に弱いといわれています。私の経験でも、警察官の取調べで、「君はよく覚えてないと言うけど、本当はこうだったんじゃないの」と誘導されているのに、「警察官が僕の記憶があいまいなところを教えてくれるんですよ」とむしろ取調べが早く進んでありがたがっているかのような感想を漏らした少年もいました。捜査機関側に都合のよい調書を勝手に作らせないためにも、弁護士の援助が必要だと思います。

本人には会えないのですが、何か差し入れたいと思っています。何か差入の注意点はありますか?また、郵送でも差入はできますか?

身柄拘束を受けている施設によって、差入品の制限が異なります。まずは、差し入れたい物品について、差入が可能であるか、施設自体に電話等の方法で聞いてみることをお勧めします。場合によっては、手紙も含め、一切の差入が認められないケースもありますので注意が必要です。

本人が望んでいるものを入れて差し上げるのが一番ですので、できれば本人に欲しいものを確認して下さい。本人に確認できない場合、一般に喜ばれるのは、現金(施設内でも制限はありますが買い物ができます)、封筒や便箋、切手など(手紙でのやりとりが多くなります)、ノート(日記を付ける方が多いようです。違法な取調があった場合の証拠にもなりますので、弁護士もお勧めしています)、書籍や雑誌、衣類などです。写真を希望される方も多いです。身柄を拘束されている方にとっては、心の支えになります。
郵送での差入も原則可能ですが、一日に差し入れられる数量に限りがある場合がありますし、入らない場合、引き取りにくるよう要請されます。郵送の場合でも、施設に連絡して確認することをお勧めします。警察署の場合、留置係(あるいは管理課)にお問い合わせ下さい。

面会をしたら衣服を差し入れてほしいと言われました。どんな服でも入れられるのですか。

衣服の場合、ワイヤーが入っているもの(女性のブラジャーなど)や「ひも」がついているもの(スエットのズボンのウエストのひもなど)は基本的に差し入れられません。これは、自殺防止のためと言われています。稀にワイヤーやひもを抜いた上で差し入れがなされる場合もありますが、事前に警察署や拘置所の職員に確認されるとよいでしょう。
身柄拘束中は洗濯ができませんので、下着も含め、こまめな差入と宅下げ(中から物品を出してもらう手続。差入の反対です。)を希望される方が多いです。

最近ニュースで通り魔の事件をよく目にします。自分が被害に遭ったらどうなるのかと考えると心配です。被害弁償はしてもらえるのでしょうか?

犯人が逮捕されるなど誰が加害者か分かるのであれば、その相手に対して損害賠償請求ができますが、実際には相手に賠償するだけの資力はない場合がほとんどで、効果がありません。
しかし、死亡、重傷、重病又は障害などの被害を受けた場合は、「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に基づいて国から給付金を受けとることができます。申請は、警察署で行います。具体的な手順は警察の窓口で尋ねてみてください。

詐欺に遭いました。許せないので厳重に処罰してもらいたいのですが、どうしたらいいでしょうか?

犯罪の被害者は警察や検察などの捜査機関に対し、犯罪があったことを申告し処罰を求めることができます。これを「告訴」といい、告訴状を警察官あるいは検察官に提出して行います。告訴を受理すると捜査機関もすみやかに捜査を進め告訴した人に捜査結果を知らせるなどさまざまな責任を負います。そこで、実際にはまず犯罪被害の申告のみを「被害届」という形で受理することが多いようです。

性犯罪や傷害事件などとは違って詐欺のように被害が金銭だけの場合、告訴した後に被害者が加害者から弁償を受けて告訴を取下げること(告訴の取消)もありえます。それでは警察が被害弁償のために利用されたようなかたちになってしまいます。そういう危惧がある内は警察も本腰を入れて捜査してくれないので、事実上被害者の側で詐欺の事実を立証する証拠をそろえる必要がでてきます。