相続放棄
Q&A 多くの方々から頂く代表的なご質問
死んだ夫の相続財産は、現金、預貯金、不動産などのプラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多いです。
①亡夫の財産を一切相続しないことはできますか?
②マイナスの財産は相続しないで、プラスの財産だけを相続することはできますか?
③プラスの財産の範囲で亡夫の借金を返済することができますか?
①亡夫が死んだことを知ったときから3か月以内であれば、家庭裁判所に「相続放棄」の届出をして、亡夫の財産を相続しないことができます(915条1項)。相続放棄により、プラスマイナスの一切の相続財産を相続しないことができます。
②プラスの財産だけを相続することはできません。
もし相続人がプラスの財産である現金を使用したりすると、相続放棄の前後にかかわらず相続を「単純承認」したことになり相続放棄をすることができなくなりますから注意が必要です(921条)。
③プラス財産の範囲内でマイナス財産を相続する「限定承認」という制度がありますので、相続放棄と同じく3か月以内に家庭裁判所に申立てをすれば、相続したプラス財産の限度でのみ借金を返済することができます(922条・924条)。ただし、相続人が複数いる場合は、相続人全員が共同しないと限定承認の申し立はできません(923条)。
※夫が死んだことを知ったときから3か月以内に相続放棄や限定承認などの手続きをしないと、自動的にすべてのプラスマイナス財産を相続したことになりますので注意してください。なお、3か月をすぎてから、借金があることが判明したような場合には、その時点から3か月以内であれば相続放棄できることもありますので、弁護士にご相談ください。