お墓問題について
Q
私の父が亡くなりましたが、父は遺骨をどのように埋葬するのがよいのか、生前述べておりませんでした。そのため、父の遺骨を海洋散骨にすることを検討していますが、問題ないでしょうか。また、先祖代々のお墓があり、そこに埋葬することも検討していますが、伯父が反対をしています。どのように対応すればよいでしょうか。
A
近時は、お墓を持ち続けたくないという意向の方も増えている中で、「海洋散骨」を選択される方がいます。
海洋散骨とは、海に遺骨を撒いて供養する方法です。お墓の継承を望まない方の増加に伴い、管理不要なことから選択者が増えつつあります。法的には、墓地埋葬法第4条で墓地以外への埋蔵が禁じられていますが、厚生労働省は「散骨のような葬送は想定しておらず、法の対象外」との立場で、直ちに違法とはしていません。また、刑法第190条の「遺骨遺棄罪」についても、法務省は「葬送のための祭祀として節度を持って行われる限り問題ない」との見解を示しています。ただし、自治体の条例やガイドラインによる規制があるため、事前の確認が必要です。
海洋散骨を被相続人が希望していた場合にはその意向に沿うことができ、相続人にとっては墓の購入費用や継続的なメンテナンスが不要になります。他方で、まだ一般的ではないため、残された家族に手間がかかる可能性や、遺骨が残らないことで親族が故人を偲ぶ気持ちを損なう可能性があります。被相続人が海洋散骨を希望していたような場合には、生前に手続きを済ませ、費用を支払っておくなどの事前準備をし、その旨家族に伝えておくことが望ましいでしょう。
次に先祖代々のお墓に遺骨を納めたいが、反対する親族がいる場合ですが、ご相談者がお墓を使用する権利(墓地使用権)を承継することとなれば、先祖代々のお墓に納骨が可能です。ただし、墓地使用権の承継者が誰にするのか争われた場合には、最終的には家庭裁判所の審判で決めるということになります。本件では、相談者の伯父が相談者の父の遺骨を埋葬することを反対していますが、墓地使用権の承継者が協議、調停でも決まらずに、家庭裁判所による審判で墓地使用権の承継者を決めることになる可能性があります。結果的に、墓地使用権の承継者が相談者となれば先祖代々の墓地に埋葬できますが、相談者以外の方が承継者となれば、その方が埋葬の意向がなければ、相談者の父の遺骨を先祖代々のお墓に埋葬できないこととなります。
なお、先祖代々のお墓に埋葬できなかった場合に、永代供養墓に埋葬するという選択肢もあります。この場合、墓地の購入は不要であり、一般的に費用を抑えられます。もっとも、一度埋葬すると、後から遺骨を取り出すことはできません。埋葬方法について遺言書などで指定しつつ、その実現のための準備をしておくことが相続人への負担を掛けずに済みますので、望ましいでしょう。
文責:弁護士 中井 陽子
