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弁護士業務改革委員会

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高すぎる収益物件

私は東京都中央区の土地とマンション1棟(部屋数20戸)を所有し、賃料収入を生活費に充てています。妻は死亡しており、相続人は子である長男と次男です。
マンションの評価額が高く他に資産がないため、私が亡くなった後に子が相続税を支払えるか心配です。また長男、次男ともマンションの取得を希望した場合、どのような解決方法があるのでしょうか。

賃貸マンションのように収益を生む不動産は収益力が評価額に反映されるため相続税評価額が高くなりやすく、都心の土地は建物が古くても評価額自体が高いため、多額の相続税を支払う現金(納税資金)が不足するおそれがあります。この場合の対応策は主に二つ考えられます。

一つ目は、借入れをして建物を建て替え・修繕する方法です。建物価値の上昇に加え、借入金は負債として遺産総額から差し引けるため相続税を抑える効果があります。ただし、返済計画が賃料収入や生活費とのバランスが取れているか確認が必要です。また、建て替えのため賃借人に退去してもらうには正当な理由が必要とされ(借地借家法26条・28条)、簡単には退去してもらえないことや、建替え中は家賃収入が途絶えること、修繕工事中は賃料を減額しなければならない場合があること(民法611条)にも留意が必要です。加えて、相続税負担の軽減を見込んであえて不動産を購入・借入れしたと認められる場合、実勢価格に近い形で評価し直された裁判例(最高裁令和4年4月19日判決)もあるため注意が必要です。

二つ目は、会社を設立し不動産を所有させる方法です。個人資産を圧縮でき、法人税率が所得税率より低いため節税効果が期待でき、役員報酬で生活費も確保できます。なお、不動産を会社に譲渡するにあたり、時価より低い金額で譲渡すると譲渡所得税や受贈益課税が生じることがあるため、注意が必要です。この方法を採った場合、設立・譲渡費用がかかるほか、決算・申告の事務負担、赤字でも生じる法人住民税均等割の負担が生じます。株式が遺産分割の対象となり争いの種になりうることもあります。

次に、長男・次男双方がマンションの取得を希望する場合の対応方法としては、以下が考えられます。

一つ目は共有名義にする方法です。持分を2分の1ずつにすれば賃料収入も平等に受け取れますが、管理や売却に共有者全員の同意が必要となり意見対立時に進めにくく、相続の繰り返しで権利関係が複雑化するおそれがあります。

二つ目は代償分割です(家事事件手続法195条参照)。長男が単独取得し、見合う代償金を次男に支払う方法で権利関係はシンプルになりますが、評価額をめぐる対立や代償金の分割払いをめぐる協議難航のおそれがあります。

いずれの方法も、手続の煩雑さや費用負担、相続人同士の関係性・資力を踏まえて慎重に検討する必要があります。

文責:弁護士 岡本 知子

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