アクセス
JP EN
弁護士業務改革委員会

弁護士業務改革委員会

 

農地を処分したい

父が代々続く農地を有していて、自家消費用の野菜を栽培しています。母はすでに亡くなっており、父の相続人は子である私と弟です。
しかし、私たち二人とも都市部に居住しており農業を行う予定はありません。
父の死後、誰も農地の取得を希望しない場合、どのように対応すればよいでしょうか。

農地の処分には農地法による規制があります。売却には原則として農業委員会の許可が必要ですが(同法3条1項)、相続で取得した場合は許可は不要で、取得を知った日からおおむね10か月以内の届出を行うことで足ります(同法3条の3)。

農地を住宅・駐車場等といった農地以外に転用する場合、原則として農業委員会経由で知事等の許可が必要です(同法4条・5条)。

このような規制があるため、農地は立地条件によっては買主が見つからず価格も低額になりやすい一方、所有し続ければ固定資産税や管理の負担が生じるため、農業に関わる人がいなければ、誰も取得を希望しないという事態が生じ得ます。

父の生前に行える対応策としては、まず父に事前に農地を売却してもらう方法があります。この場合、管理・税負担がなくなり遺産分割での争いも避けられますが、買主探しの困難さ、農地法の規制といったハードルがあります。

次に、父も相続により農地を取得しているため、父が相続土地国庫帰属制度を利用することが考えられます。これは相続等によって取得した土地の所有権(共有持分を含む)を国庫に帰属させることを可能にする制度で、令和5年4月27日に開始されました。それ以前に相続した土地も対象となります。ただし、土地の境界が不明確な場合や、賃貸借契約の対象となっている場合、また、樹木など管理処分を阻害する物が土地上にある場合、管理処分に過分の費用、労力を有する場合には、国庫帰属は認められないというように要件は厳格で、審査にも時間を要します。売却が困難な場合の選択肢として、要件・費用・時間を踏まえ検討する必要があります。

なお、父が農地を所有したまま亡くなった場合でも、上記と同様に、相続人が農地を売却したり、相続土地国庫帰属制度を利用したりということが対応策となります。

文責:弁護士 岡本 知子

弁護士業務改革委員会メニュー