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【報告】リトアニア共和国大使館との友好イベントを開催しました(2024年2月29日)

2024 年2月29日、当会とリトアニア共和国大使館との間での友好イベントとして、オーレリウス・ジーカス駐日リトアニア共和国大使閣下の講演会「変わりつつある世界の中のリトアニア」が弁護士会館にて開催されました。
リトアニア共和国ジーカス大使
オーレリウス・ジーカス駐日リトアニア共和国大使閣下

本講演会は、三好慶国際委員会副委員長(グランドデザインPT兼任)がジーカス大使閣下とレセプションにて歓談させていただいたことを契機に、2023年12月11日に当会松田純一前会長、三好副委員長が駐日リトアニア共和国大使館を表敬訪問し、松田前会長より、当会とリトアニア大使館との間での友好イベントの開催を要請したところ、ジーカス大使閣下がこれをご快諾下さったことから、企画がスタートしたものです。
ジーカス大使閣下は、日本での留学経験も長く、また、リトアニアにおける日本研究の第一人者でもあり、日本への理解と造詣が大変深い方です。
そして、リトアニアは、地政学上、安全保障への配慮が極めて重要な国であり、大使閣下も当該分野への関心が高いことから、リトアニアの概要、その歴史的経緯やリトアニアの現在等についてジーカス大使閣下にレクチャーをいただいたうえ、独立国家として安全保障をどのように考えるべきか、日本の現状も踏まえ、当会会員が共に考えることができるよう、本講演会を開催させていただくこととなりました。

講演会当日、まず、オープニングスピーチとして、松田前会長より、ジーカス大使閣下への感謝の意が表明され、また、本講演会の開催に至った経緯やその意義が説明されました。
続いて、本編として、ジーカス大使閣下より、リトアニアの概要、世界遺産、食文化や歴史的経緯、そしてリトアニアの現在や日本との関係に至るまで、沢山の興味深い講演がなされました。
本講演は、リトアニアの栄光と苦難の歴史や、そうであるがゆえの現在の立ち位置や矜持を感じさせるものであり、大変充実した内容でした。(なお、ジーカス大使閣下は、歴史的経緯のパートにおいて、何度もリトアニアの「お誕生日」という言葉を使用されており、国が失われることの悲劇とそして独立を成し遂げることの重みや大切さが伝わってきました。)
本記事では、本講演会に参加できなかった会員にもこれを還元できるように、その一部をご紹介させていただきます。

1.リトアニアの概要、世界遺産や食文化について

・リトアニアの人口は約270万人であり、バルト海に面し、国土の1/3が森林で構成されている。
・首都ヴィリニュスは人口60万人であり、旧市街はユネスコ文化世界遺産であり、湖上の古都であるトラカイも風光明媚である。
・リトアニアには様々な伝統料理があるが、その食材は日本にも多く輸出されている。例えば、輸出食材としてビール、チーズ等も有名であり、また、日本の有名イタリアンチェーンのエスカルゴは100%リトアニア産である。

2.リトアニアの歴史的経緯について

・リトアニア大公国が東ヨーロッパの大国として形成され、モンゴルのヨーロッパへの侵攻を防いでいた。
・ポーランド、ウクライナとの間で、ルブリントライアングル(歴史的にはルブリン同盟)を形成している。
・帝政ロシアによる統治下においては、1864年にリトアニア語まで禁止され、1918年2月16日に独立後、1922年に日本との関係を樹立したが、再度、1944年にソビエト連邦により占領された。なお、有名な杉原千畝による「命のビザ」は、第2の都市カウナス(大使閣下のご出身)で発行されたものである。
・1990年3月11日に独立宣言を行った後も、独立を防ぐためにソ連軍が進軍してきたため、多数の市民の犠牲が生じる痛ましい事件(1991年1月13日の血の日曜日事件等)があったが、その後、1991年秋にようやく独立が承認された。

3.現在のリトアニアについて

・現在のリトアニアは、民主化の成功により、国際社会のルールを守り、かつ、「勇気のある」国となっている。
・経済的には、バルト諸国最大の経済国となっており、一人当たりFDI(海外直接投資)雇用誘致数で欧州トップ3である。また、ICTやレーザー産業が発展するなど、ハイテクの国となっている。
・ロシアに対する経済制裁を行っており、2022年以降、ロシアとの貿易0%を実現し、かつ、先行して稼働させていたLNGターミナル(先見の明あり)や再生可能エネルギーの活用により、ロシアからのエネルギー独立を実現している。
・ウクライナに対する支援は、約10億EURであり、GDP比率では世界でも第1、2位である。また、ウクライナからの難民受け入れも8万人に達しており、一人当たりの受け入れ数はOECD加盟国中第4位である。
・日本との近時の交流としては、2007年に天皇皇后両陛下がリトアニアを訪問したり、2022年にリトアニア首相が日本を訪問したりしている。


ジーカス大使閣下のご講演を受け、質疑応答パートでは、当日参加した当会会員より、現在の国際情勢より歴史的な痛ましい事件に至るまで、様々なトピックスについて、活発な質問や意見交換がなされました。この際には、当初、想定されていた終了時間を大幅に超過したため、司会の三好副委員長がやむを得ず終了を促したほどであり、当会会員のジーカス大使閣下の講演内容への興味と関心の高さが窺われました。

Groupe Photo with H.E. Dr. Aurelijus ZYKAS, Ambassador of the Republic ofLithuania
全体写真(講演会終了後)

本講演会の開催後には、弁護士会館地下1階の二条苑にて、ジーカス大使閣下をご招待しての懇親会が開催され、会食の席での歓談の中でも、当会会員とジーカス大使閣下の親睦を深めることとなりました。

今回の友好イベントは、2023年度のグランドデザインPTにおけるジーカス大使閣下との交流が契機となって実現したものです。
講演会自体も、リトアニアの栄光と苦難の歴史や、そうであるがゆえの現在の立ち位置や矜持を、ジーカス大使閣下が優しい語り口で、しかしながら、芯に秘めたリトアニア人としての強さをもって丁寧に語るものであり、聴く者に感銘を与える素晴らしい内容でした。また、その後の質疑応答も活発になされ、リトアニア大使館と当会との友好関係の醸成に寄与するものとなりました。
最後に、このような有意義な友好イベントを共催して下さった、ジーカス大使閣下及びリトアニア大使館の皆様に深い感謝の意を表し、本記事の結びとさせていただきます。

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