被災地(宮城・福島)出張報告(秋田 勝憲)
2012年7月7日(土),8日(日),出張で宮城と福島に赴きました。
公式な出張目的は,仙台弁護士会と当会理事者による震災問題に関する懇談会(7日)及び「福島弁護士会原子力発電所事故被害者救済センター南相馬出張所」訪問等(8日)でしたが,今回はこの出張で私が感じたこと等について,少し書かせていただきたいと思います。
まとまりのない文章になってしまうかも知れませんが,ご容赦下さい。
◆仙台弁護士会との懇談会(7日)
震災に関して懇談会を行いましたが,被災時の対応が地方会と東京では違ってくると思いました。
例えば,交通機関が麻痺してしまった場合ですが,東日本大震災時,仙台弁護士会では職員を帰宅させ,職場に泊まった人はいなかったということでした。
これは,通勤距離が徒歩でも帰宅できる範囲であるためとのことでした。
この点,通勤距離があり,震災時に多くの職員が職場に泊まりこんだ東京とは,状況が随分,異なっていたようです。
◆「福島弁護士会原子力発電所事故被害者救済センター南相馬出張所」訪問等(8日)
翌日は,仙台からジャンボタクシーをチャーターし,福島県南相馬市まで向いました。
その途中,津波の被害を見るため,福島県相馬市の松川浦という港に立ち寄りました。
ここは,中海のようになっているため,津波の威力は大分弱められたとのことでした。
しかし,震災から1年以上経っても,陸に打ち上げられた漁船や骨組みだけになった倉庫がそのまま残されていて,被害の甚大さを強く感じました。
その後は,「福島弁護士会原子力発電所事故被害者救済センター南相馬出張所」等を訪問しました。
同出張所は,日弁連の協力のもと原発被害者の相談を受ける他,県外の弁護士が事件受任した場合の依頼者との打合せに等に利用するため,開設されたものです。
施設は平屋建てのもので,OA機器等一通りのものは揃っていました。
相談については,平日,福島弁護士会の会員が1名ずつ交代で詰めているとのことであり, 電話・面接とも相談の需要はある程度あるようでしたが,受任事件の打合せの利用は余り多くないようであり,利用を増やすための広報等が課題であると思いました。
福島弁護士会原子力発電所事故被害者救済センター南相馬出張所サイトへ
訪問終了後,南相馬市から同じ車で福島駅に向かい,新幹線で東京まで戻りました。
福島駅までは、車で2時間弱でしたが,途中,線量が高く住民全員が避難しているエリアを通過しました。
しかし,線量の高いエリアを少し外れると,住民が普通に外を歩いており,つい先程の風景との余りの違いに驚きました。
線量の高いエリアから僅かしか離れていないのに,人が生活して、健康上の問題はないのでしょうか。専門的な知識は私にはありませんが,放射能の危険性の有無を機械的に線引してしまうことに,不安を感じました。
今回の出張では、天候等のこともあり,仮設住宅まで見ることはできなかったのですが,人気がまったくないあの風景を見ただけでも,継続した支援がこれからも必要であることを実感しました。
被災地への相談担当者派遣の手配等、事務局は後方支援が主たる業務ではありますが,その重要性を認識したうえ,仕事に当たる必要性を改めて確認できた出張になりました。
(東京弁護士会 事務局震災担当チーム 秋田 勝憲)