今後も続く被災者支援(鎌田 毅)
あの東日本大震災と福島第一・第二原子力発電所事故から1年9か月が経とうとしています。
平成23年3月11日以来,主に原子力発電所事故の被災者支援に関わらせていただいていますが,未だに解決の糸口は見えてきません。
この先何年,何十年も自分の故郷に帰ることができない方々が何万人といらっしゃいます。原子力損害賠償紛争解決センターへ提出するために家の写真を見せていただきながら聞いた,
「悔しい」
との一言,
陳述書を作るために事故前の想い出話を伺い,今の心境を伺ったときの
「金はいらないから元に戻して欲しい」
との言葉は今も耳から離れませんし,相談会に参加するたび,打合せをするたびに伺います。
政府も,東京電力も,この方々が少しでも安心して生活を送ることができるようなプランを提示することはできていません。不動産の賠償を受けるにしても,被災者の方々としては,一体これから自分達の生活再建にどれくらいの費用がかかるのか,ということが分からない以上,どれくらい賠償額として不足しているのか,という判断すらできません。
被災者の皆様は今なお続く暗中模索状態の中,賠償を受けるため弁護士に相談し,依頼し,原子力損害賠償紛争解決センターへ和解仲介の申立を行っています。
しかし,原子力損害賠償紛争解決センターでは「迅速な処理」の名の下に不十分な内容での和解案が次々と出され,日々の生活に苦しむ被災者は悔しい気持ちをこらえながらも和解に応じざるを得ない現状が続いていないでしょうか。日々その焦りを感じながら今週末も福島での相談会に参加します。私が関わることで少しでも何か得ていただけたらと願っています。
(弁護士・鎌田 毅)