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会務活動の魅力とは
(中小企業法律支援センター編)
角田智美 会員(64期)
古賀 聡 会員(67期)
角田智美(64期) 古賀 聡会員(67期)

2021年7月27日

東京弁護士会には、委員会等の多数の組織があり、多くの弁護士が、興味関心のある分野を扱う委員会等に所属して、人権擁護、法律相談、司法制度改革、業務改善、会員向けの研修といった、様々な公益活動を続けています。
今回は、こうした委員会等の中でも、中小企業や個人事業主が抱える法律問題の支援に取り組む中小企業法律支援センター(以下、「中小センター」)に焦点を当てて、若手の中核として活躍する角田会員と古賀会員に、実際の活動等について話を聞きました。
中小センターでは、法律相談への対応、他の士業や関連団体との連携、様々なテーマの研究など、幅広い活動が行われており、若手の意見もどんどん採用される、大変活気のある雰囲気とのことです。東京弁護士会に入会して、ぜひ中小センターの活動を覗いてみてください。
中小企業法律支援センターのウェブサイトはこちらです。
http://cs-lawyer.tokyo/
コラム記事等もありますので、ぜひご覧ください!

インタビュー動画はこちら

-中小企業法律支援センターでの活動-

 
日本公認会計士協会東京会との勉強会(2019年12月)
       日本公認会計士協会東京会との勉強会(2019年12月)
 

(角田) 中小センターでは、①中小企業・個人事業主向けの弁護士紹介制度「コンシェルジュ弁護士制度」の運営、②自治体、各種中小企業関連団体、金融機関、他の士業団体へのアウトリーチ・連携活動、③事業承継、働き方改革、SDGs等の分野での取り組みなどの活動を行っています。その中でも私は、事業承継プロジェクトチームを起ち上げ、2021年3月までの3年半ほど、座長を務めていました。事業承継が中小企業の課題になっていますが、なかなか進んでいない現状があります。個々の中小企業の実情に応じて事業承継の道筋を考え、後押しをしながら進めることが重要で、これこそが弁護士の役割だと思っていますが、なかなか進んでいません。先日、中小企業庁から発表された、中小M&A推進計画の中の「中小M&A推進計画における中小企業の経営資源集約化等に関する検討とりまとめ」でも、弁護士による支援の必要性が明記され、弁護士の役割の重要性が着目されています。中小センターでは、このような中小企業の抱える問題について、法律の専門家としてどのように役立つことができるか、日々検討しています。

(古賀) 私は、働き方改革プロジェクトチームの座長を務めています。大企業等を中心に、働き方改革はかなり浸透してきていますが、中小企業ではまだ十分に取り組むことができていないという声も聞いています。そのような事業者向けに、働き方改革への対応に関する情報提供等を行っています。また、働き方改革を推し進めるあまり、例えば、無理な発注を強いられる事業者が出てくる、いわゆる「しわ寄せ問題」や、フリーランス等の新しい働き方など、関連する問題についても、情報提供や研究・検討を進めています。

-参加している会員数や雰囲気-

(角田) 現在は約130名の委員が在籍しています。当会の組織の中では、比較的最近に設立されたこともあり、若手の会員も多く参加しています。若手の企画でも、どんどん取り上げてもらえて、とても活発でよい雰囲気です。

(古賀) 私も、比較的若手の弁護士ですが、働き方改革プロジェクトチームでは、働き方改革、しわ寄せ問題やフリーランス問題などについてのウェブサイトへの記事投稿、パンフレット作成を行っていますし、働き方改革などに関連する団体との連携、セミナーの開催等も企画して実施しました。働き方改革プロジェクトチームに限らず、中小センター全体で、若手に任せてくれる風土がありますので、いろいろなことにチャレンジでき、企画が実現できて、非常に充実した活動をしています。

-法律相談への対応や中小企業とのかかわり-

(角田) 中小企業の方々からの相談に応えるために、「コンシェルジュ弁護士制度」を運営しています。電話やウェブサイトから中小センターにご連絡いただくと、コンシェルジュ弁護士と呼ばれる弁護士が対応し、ご相談内容の分野に精通した弁護士をご紹介する制度です。大変好評で、2020年度は1540件のご利用がありました。日本には、300万を超える中小企業があるといわれていますが、まだまだ、弁護士と話したことがない、弁護士に知り合いがいない、という声を聞きます。弁護士といえば「敷居が高い」というイメージを持たれてしまいがちかもしれませんが、そのようなイメージを少しでも払拭していくことが、我々の課題だと考えています。

(古賀) 税理士、公認会計士、弁理士、社会保険労務士など、他の士業との連携も行っています。私は、これを担当する連携部会の副部会長も務めていまして、例えば、定期的な連絡会や共同の勉強会、共同のパンフレット作成なども行っています。また、金融機関、自治体、その他の中小企業関連団体との連携も進めていて、弁護士の意義や中小センターの意義を広められるように活動しています。

-活動に参加してよかったこと-

2人で話す場面

(角田) なんといっても、一番は、様々な専門分野に精通し、かつ、バイタリティーのある多くの弁護士に出会えたことです。中小企業支援のために常に新しいアイデアを持ちながら挑戦し、そして実現・実行するという、まさに弁護士の役割が何かを常に実感させてもらえる場であることかと思います。

(古賀) 私は、社会人経験を経てから弁護士になっていて、またロースクールに進まずに、予備試験に合格しているので、弁護士登録から間もない頃は、所属事務所の弁護士や修習同期くらいしか、弁護士の知り合いがいませんでした。中小センターで活動をする中で知り合った弁護士に、日常業務のちょっとした相談や悩みを話すことができるようになりました。そうした関係ができたことが、一番の収穫ではないかと思っています。

-修習生・若手弁護士へのメッセージ-

左から司会の広報室 菅原草子 会員(71期)、角田智美 会員(64期)、古賀 聡 会員(67期)

(角田) 修習をする中で、様々な案件を体験し、吸収しているのではないかと思いますが、そのような体験をしている分、弁護士になった後に不安を感じている方もいるかもしれません。そういうときには、先輩弁護士を頼って、自分から率先して質問したり、アイデアを出すなど、積極的に活動していくのが一番よいと思います。その中で、自分のやりたいこと、専門分野が見えてくると思いますので、焦らず、じっくり考えて、素敵な弁護士になってほしいと思います。

(古賀) 企業法務を重点的に取り扱いたいと考えている方も多いのではないかと思います。他方で、具体的にどの分野を重点的に取り扱いたいのか、まだ定まっていない方も多いのではないでしょうか。私もそうでした。中小センターでは、様々な分野に取り組んでおり、様々な士業や団体と連携できます。そして、若手の弁護士に対して、チャレンジしてみたら、という風土がありますので、中小センターに参加してみて、その中で自分のやりたい分野や、重点的に取り組みたい分野を見定めるのもよいのではないかと思います。

【経歴 角田智美会員】

2009年:旧司法試験合格
2011年:弁護士登録(東京弁護士会)、あかねくさ法律事務所(旧:中島・彦坂・久保内法律事務所)入所
2016年:東京弁護士会新進会員活動委員会委員長
2017年:東京弁護士会中小企業法律支援センター事業承継プロジェクトチーム座長
2019年:パートナー弁護士就任
2021年:東京弁護士会法制委員会副委員長


【経歴 古賀 聡会員】

2004年:慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2006年:慶應義塾大学大学院法学研究科修了、アクセンチュア株式会社入社
2010年:国内事業会社入社
2012年:司法試験予備試験合格
2013年:司法試験合格
2014年:弁護士登録(東京弁護士会)、都内法律事務所入所
2016年:木村昌則法律事務所入所
2019年:東京弁護士中小企業法律支援センター働き方改革プロジェクトチーム座長、同連携検討部会副部会長
2020年:木村・古賀法律事務所設立