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インターネット取引被害

インターネットを利用した取引は、パソコンや携帯電話などから簡易に取引を行うことが可能であることから、極めて利便性が高く、その利用が広がっています。しかし、その利便性の反面、取引の匿名性を利用して他人のID、パスワードを利用して事業者のサイトにアクセスして商品を購入するなどの「なりすまし」問題、マウスの誤操作や誤送信によって利用者の真意ではない取引が行われる可能性が起る問題があります。
また、取引がペーパーレス化されていることから、トラブルが発生したときにその内容を後日に確認したり、裁判の証拠を確保したりすることが困難であることが多いという側面もあります。
そのため、インターネット取引を行う場合には、特にトラブルが発生しないように取引の相手方や、その内容について慎重に判断するべきといえます。もしトラブルが発生した場合には、お近くの消費者センターや弁護士会の法律相談に相談してください。

Q&A 多くの方々から頂く代表的なご質問

インターネットオークションサイトで、個人の出品するデジタルカメラを落札したところ、機器の不具合で本体の液晶モニターが表示されませんでした。そこで、返品しようと考えて、当該サイトを改めて確認したところ、出品者による商品説明の備考欄に、「この商品は、ノークレーム・ノーリターンでお願いします。返品や商品についての苦情は一切受け付けません。」と記載されていました。液晶モニターの不具合についての記載はありませんでした。この場合、私は、出品者に損害賠償や返品を要求することはできるでしょうか?

出品者が備考欄に記載していた「ノークレーム・ノーリターン」との表示は、一般に、「商品に関して一切のクレームを受け付けず、返品も受け付けない」ということに同意する者の申込みにのみ応じる旨の売主の意思表示であり、民法上、担保責任を負わない旨の特約と解されます(民法第572条参照)。
担保責任を負わない特約とは、目的物が種類・品質・数量等に関して契約の内容に適合していない場合において、売主(出品者)の責任が免除されることを意味します。このような責任免除の特約は、原則として有効です。
ただし、出品者が、出品物に欠陥があることを知りながら、当該欠陥の存在を買主に告げなかった場合等において、出品者は責任を免れることはできません。

本件において、液晶モニターの状態は、撮影内容を容易に確認可能という、デジタルカメラの特性に直結する要素であるため、当該不具合については出品者が知っていた可能性が高いと考えられます。
出品者が出品物であるデジタルカメラの状態を認識していた場合、担保責任を負わない旨の特約は効力を持たず、買主は出品者に対して、債務不履行責任に基づく契約の解除や、損害賠償の請求(民法第564条)、目的物の修補、代替物の引渡しや、代金の減額を行える可能性があります(民法第562条、第563条)。
また、具体的事情により錯誤や詐欺による取消し(民法第95条第1項・第2項、第96条第1項)が認められる可能性もあります。

出品者の属性、備考欄の記載内容、デジタルカメラの実際の不具合等を踏まえる必要がありますので、最寄りの消費生活センター、又は弁護士会の消費者相談等のご利用をお勧め致します。