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第14回市民会議(2008年3月4日)

第14回東京弁護士会市民会議が2008年3月4日に行なわれた。今回のテーマは「男女共同参画への取組みについて」である。なお、当会では、3月27日開催の常議員会において、「東京弁護士会男女共同参画推進要綱」が策定された。

  • 岡田ヒロミ委員(消費生活専門相談員)
    私たちは以前から消費者問題の勉強会などで多くの女性弁護士と接してきたが、皆さん非常にパワフルなので、ずっと男性と対等であると考えていたし、私たちからすれば女性弁護士は憧れの対象だった。しかし、弁護士会にも女性の会務参加が十分なものではないという問題があることを初めて知った。組織のトップの理解及び同性の団結が得られないと、男女共同参画の理念を実現させることはできないのではないか。

  • 長友貴樹委員(調布市長)
    男女共同参画の問題については、市でも積極的に取り組んでいる。具体的には、特に男性に対して男女共同参画の意識を醸成すること、政策方針過程へ女性が参加できるための土壌づくり、DVの根絶、女性の負担を軽減するための家庭生活の支援などである。こうした問題では、個々の努力と並行してシステムを変えていく必要がある。法律の専門家として弁護士会こそ法制度やシステムに声を上げてほしい。

  • 藤村和夫委員(筑波大学法科大学院教授)
    どの社会、職場においても、性別による差別について一定の事例が出てきてしまう。1999年に男女共同参画社会基本法が制定されているが、この法律に掲げてある理念を柱として、どのような意識を持って、どのような行動に反映させていくか、このことが重要であると思うが、なかなか具体的に形をもって表せないというところに隔靴掻痒の感がある。

  • 藤森研副議長(朝日新聞編集委員)
    私の会社でも、ワーク・ライフ・バランスの問題に関する懇談会があり、育児休暇の積極的な取得を目指したり、子育てをしやすくするための短時間勤務制度をつくるなどしている。弁護士のワーク・ライフ・バランスを実現するには、弁護士会が音頭をとる必要があると思うが、育児休業など、それを必要とする弁護士が周囲の理解を勝ち取っていくことも大事なのではないか。

  • 紙谷雅子議長(学習院大学法学部教授)
    カウンセリングで相談者が「カウンセラーが女性なら話せたのに」という話をよく聞く。司法アクセスの充実のためには、女性弁護士を増やして相談者のハードルを低くすることが重要であろう。これは法曹人口の女性が占める割合の問題である。弁護士会では、男女共同参画推進本部を設置するとのことだが、具体的な目標やはっきりしたアイデアがないと議論が進まないと思う。社会全体としても、男女共同参画社会基本法の制定から8年経っているのに、実際は何も変わっていないように思われる。弁護士はワーク・ライフ・バランスがとりやすい職種だと思うが、弁護士会も全体に目を行き渡らせることができる理事者のようなトップがこの問題を認識し、弁護士会としていろいろなバックアップを提言してほしい。