東京弁護士会

第18回市民会議(2009年7月9日)

第18回東京弁護士会市民会議が2009年7月9日に行なわれた。今回のテーマは「弁護士と業務広告について」である。

  • 紙谷雅子議長(学習院大学法学部教授)
    弁護士の業務広告はかなり進んでいる。電車の車内広告もあるし、新聞でも大きな広告を出しているものもある。こうした広告については、弁護士が多く存在することが市民に伝わるという意味での効果はあると思う。そして、どのようにすれば弁護士を本当に必要とする市民に対して、必要なときに必要なサービスを提供できるのかを考えなければならない。アメリカでは大事故が起きると弁護士が救急車を追いかけるということが言われており(ambulance chaser)、それがよいとは思わないが、市民が「弁護士は困っているときに必要な存在である」との認識を持たないと需要を喚起できない。市民にとって役に立つ業務広告をしてほしい。
  • 岡田ヒロミ委員(消費生活専門相談員)
    多くの消費者が巻き込まれる事件が発生すると弁護団が結成されるが、消費者は一体どこに連絡をすればよいのか。弁護士の名前がわかっていればすぐに日弁連に問い合わせたり、ネットで検索したりするなどできるが、弁護士の名前がわからない場合にはどうしようもない。個別事件の弁護団は個々の会員が結成していることからすれば、弁護士会は弁護団とは関係ないのだろうが、被害に遭った消費者にとってはそれこそ関係ない。どこに連絡をすれば消費者が必要としている弁護団に連絡を取ることができるのか、これこそが消費者が知りたい情報である。弁護士会は弁護団に関する情報をマスコミ等と連携して消費者のことを考慮してほしいと思う。
  • 長友貴樹委員(調布市長)
    日弁連法務研究財団法曹の質研究会による「弁護士イメージ調査の結果報告」によれば、大部分が弁護士に相談した経験のない人たちにアンケートを採った結果、「弁護士は悪者の味方だ」「弁護士は正義の味方だ」という項目に対し、「どちらともいえない」と回答した人が両項目とも7割近くいたことに驚いた。この結果を考えればイメージ改善のための広報があって然るべきだ。ただ、こうした広報を行う際、弁護士会が何をやっているのかを細かく広報することがイメージ改善に繋がるとは限らないだろう。市民の日常生活に弁護士が役に立っているという明るいイメージを打ち出していくことに力を入れてほしい。
  • 阿部一正委員(㈱日鉄技術情報センター代表取締役社長)
    弁護士の業務広告に関する日弁連の規程は、自由度がなさすぎるのではないか。事実に合致していないものや誤認のおそれあるもの、過度な期待を抱かせるものを禁止する(規程第3条)のは当然だが、訴訟の勝訴率、顧問先、受任中の事件などはもう少し緩やかに規制する方がよいのではないか。悩みを抱えていて困っている人に対して、こういう弁護士になら相談してみたいと思わせるような広告でなければ広告としての効果はないと思う。弁護士を探している人に参考になるような、あるいはそういう人をひきつけるような広告は、現実的で具体的な事柄を記載しているのでなければアピールしないのではないか。弁護士の体面の保持が出すぎてはいないだろうか。
  • 藤森研副議長(朝日新聞編集委員)
    まず、一般的な弁護士イメージについて。「マスコミは悪い時ばかり取り上げる」とのご指摘もあったが、新聞の地方版では、法テラスで活躍している弁護士たちが意外と記事になっている。弁護士に対する一般イメージと、弁護士の業務広告や広告規制は直接には結びつかない問題だ。岡田さんのご指摘はその通りだと思う。「保証」責任のリスクがあることは判るが、市民にぜひ必要と思われる弁護団の紹介は、やはり弁護士会として積極的に考えてほしい。消費者委員会など各専門委員会もあるのだから、内実は判定できるはずだ。新聞も、「これは」と考える悪徳商法被害者弁護団結成などのニュースの際には、新聞社の責任において、その連絡先も記事に載せている。