離婚
夫婦関係の清算、子どもの将来、配偶者の暴力からの保護等
離婚に際しての夫婦財産の分配や、離婚後の子どもの養育の問題など、離婚は夫婦関係の解消だけにとどまらず多くの問題を二人に突きつけます。弁護士は、離婚に伴う法律問題を処理するとともに、二人の良き人生の再出発のために適切なアドバイスを提供します。
離婚を考えたときのガイドブック
東京弁護士会では、離婚・養育費問題に悩んでいる方をサポートするために、「離婚を考えたときのガイドブック」を作成しております。
離婚問題・養育費問題でどうしたらよいか、お悩みの方は、是非とも「離婚を考えたときのガイドブック」をご覧ください!
- 「離婚」に関しての質問一覧
- 3年前に妻と離婚し、子どもは妻が引き取りましたが、その後、会社のリストラに遭い収入が半減してしまいました。それでも、当初取り決めた養育費を支払い続けなければならないでしょうか?元妻は別の男性と再婚したとのことであり、私が引き続き養育費を支払う必要があるのか、はなはだ疑問です。
- 毎日のように無言電話がかかってきます。誰かに監視されているようで夜も寝られません。どうしたらよいでしょうか?
- 出産直後から夫の態度が急変し、気に入らないことがあると暴力をふるい、毎日のように罵声を浴びせられています。子どもの前でも足蹴にされ、もう耐えられません。
- 離婚の協議中ですが、夫が年金分割に応じてくれません。話し合い以外の請求方法はありますか?
- 夫と離婚し、親権者は私と定められ、今は母子二人で暮らしています。しかし、最近元夫から執拗に子どもとの面会を求める電話がかかってきます。昔、酔って子どもにも手をあげた人なので二度と会わせたくないのですが、それは可能でしょうか?
- この度夫と離婚することになりました。しかし、婚姻中の収入は夫の給与のみで、私が専業主婦であったことから、夫は、私には一切財産を渡さないといっています。夫は全く家事をせず、子どもの世話もほとんど私がやりました。夫の留守中家事を切り盛りした私の努力は評価されないのでしょうか?
- 夫の不倫が明らかになり、離婚することとなりました。夫に妻子があることを知りながら夫と関係を持った不倫相手の女性が許せません。この不倫相手に対して、高額の慰謝料を請求したいと思っていますが、どの程度の金額の慰謝料を請求できるでしょうか?
- 夫の暴力と浮気が原因で、実家に帰りました。話合いでも離婚がまとまらず、離婚調停を申し立てるつもりですが、裁判所で夫の顔を見たくありません。また、証人尋問で法廷に立つかと思うと怖くて仕方ありません。
- 離婚するときには、どんなことを取り決めておかなければならないのでしょうか?
- 離婚の際の慰謝料や財産分与は、いくら位になるのでしょうか?
- 離婚しますが、その後再婚する相手が決まっています。いつから再婚できますか?
- 離婚するに際して子供の親権者は私ですが、子供の姓は今までどおりで私だけ旧姓に戻すということができるのでしょうか?
- 離婚をしたいが姓は変えたくありません。そのようなことができるのでしょうか?
- 離婚の家事調停が不成立となり、訴訟で離婚を訴える際の原因は何になるのでしょうか?
- 離婚の家事調停は、私で申立てられますか?その手続を教えてください。
- 離婚を考えていますが、離婚するにはどういう手続が必要でしょうか?
3年前に妻と離婚し、子どもは妻が引き取りましたが、その後、会社のリストラに遭い収入が半減してしまいました。それでも、当初取り決めた養育費を支払い続けなければならないでしょうか?元妻は別の男性と再婚したとのことであり、私が引き続き養育費を支払う必要があるのか、はなはだ疑問です。
養育費について取り決めをしても、その後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所に対し、協議・審判の変更・取消しを申し立てることができます(民法880条)。事情の変更とは、協議・審判の前提となった事情の変更を意味し、離婚後の減収や、元妻が再婚し、子どもが新しい夫と生計を共にするようになった場合などがこれに該当します。
毎日のように無言電話がかかってきます。誰かに監視されているようで夜も寝られません。どうしたらよいでしょうか?
携帯電話やナンバーディスプレイの電話であれば、相手の電話番号がわかるのでそれを控えておいてください。相手の電話番号がわからない場合でも、無言電話がかかってきた日時をできるだけ正確に記録しておいてください。弁護士に相談していただくと、弁護士会を通じて電話会社に対して無言電話の発信元情報の開示を請求します(開示されなかった場合は、警察と対応を協議します。)。
いっそ電話番号を変更してしまうという方法もありますが、この場合、ストーカーが次の一手として「あなたの前に直接現れる」おそれがありますので、慎重な対応が必要です。
出産直後から夫の態度が急変し、気に入らないことがあると暴力をふるい、毎日のように罵声を浴びせられています。子どもの前でも足蹴にされ、もう耐えられません。
何よりも先に、あなたと子どもの安全を確保することが大事です。弁護士会や警察その他の専門機関では、随時相談を受け付けています。これと併行して、夫の暴力を防止するため、裁判所に対してDV法に基づく保護命令を申し立てます。保護命令には、接近禁止命令(6か月間住居や職場に接近したり付近を徘徊することを禁止する命令)、退去命令(2か月間住居から退去させ、接近を禁止する命令)、電話等禁止命令(面会の要求や電話、ファックス、メールを禁止する命令)などがあります。弁護士は、暴力からの保護、警察への対応要請から、保護命令の申立、離婚手続に至るまで、あらゆる形でDV被害者の救済を支援します。
離婚の協議中ですが、夫が年金分割に応じてくれません。話し合い以外の請求方法はありますか?
年金分割には、合意分割と3号分割があります。合意分割は、当事者間で分割の割合を定めるものですが、協議がまとまらないときは、調停、審判によって定めます。3号分割は、平成20年4月1日以降の婚姻期間中における厚生年金の標準報酬のみが分割対象となるという制限はありますが、第3号被保険者であれば、相手方の同意がなくても当然に対象となる厚生年金の標準報酬の2分の1を受け取ることができます。
夫と離婚し、親権者は私と定められ、今は母子二人で暮らしています。しかし、最近元夫から執拗に子どもとの面会を求める電話がかかってきます。昔、酔って子どもにも手をあげた人なので二度と会わせたくないのですが、それは可能でしょうか?
親が子と会う権利を面会交流権といい、法律上の定めはないものの一般に認められています。もっとも、面会交流権は、子どもの福祉という目的に裏付けられたものですから、子どもの福祉のために必要な限度で認められる一方、子どもの福祉に悪影響がある可能性がある場合には逆に制限されるべき場合があります。かかる場合には、弁護士と相談の上、裁判所への面会交流制限の申立なども視野に入れながら、慎重に対応すべきでしょう。
この度夫と離婚することになりました。しかし、婚姻中の収入は夫の給与のみで、私が専業主婦であったことから、夫は、私には一切財産を渡さないといっています。夫は全く家事をせず、子どもの世話もほとんど私がやりました。夫の留守中家事を切り盛りした私の努力は評価されないのでしょうか?
妻がいわゆる専業主婦であっても、妻が家を切り盛りしてくれるおかげで夫が頑張って仕事ができたと評価できますから、妻にも相当の取り分があります。また、夫の資格取得の勉強を妻が支えたような場合も、夫の収入に対する妻の一定の寄与が認められます。財産分与の際には、こうした夫婦財産の形成に費やされた有形無形の努力もまた評価の対象となります。
夫の不倫が明らかになり、離婚することとなりました。夫に妻子があることを知りながら夫と関係を持った不倫相手の女性が許せません。この不倫相手に対して、高額の慰謝料を請求したいと思っていますが、どの程度の金額の慰謝料を請求できるでしょうか?
不倫相手の女性に対する怒りは理解できますが、不倫に至った経緯、不倫関係の内容、夫婦関係の実情等によって慰謝料請求の可否、金額は変わってきます。例えば、男性が結婚していることを相手の女性が全く知らなかった場合には慰謝料の請求は困難でしょうし、男性が執拗に相手女性に不倫関係を求めたような場合には、仮に慰謝料が認められても、その金額は少額にとどまるものと思われます。
夫の暴力と浮気が原因で、実家に帰りました。話合いでも離婚がまとまらず、離婚調停を申し立てるつもりですが、裁判所で夫の顔を見たくありません。また、証人尋問で法廷に立つかと思うと怖くて仕方ありません。
家庭裁判所での調停の場合、裁判所は通常、夫婦別々に、交互に話を伺いますので、相手方と面と向かって話をすることはほとんどありません。また、調停は、あくまで話し合いでの解決を目的とし、事実関係の詳細な立証を求める手続ではありませんので、証人尋問はありませんので、ご安心ください。
離婚するときには、どんなことを取り決めておかなければならないのでしょうか?
離婚するときの主な取り決め事項は次のとおりです。
(1)財産分与や慰謝料につき、誰がいつ何を分与ないし支払うか。
(2)旧姓に戻るか離婚の際の姓をそのまま使うか、結婚前の戸籍に戻るか新しい戸籍をつくるか。
(3)未成年の子がいるときは、
●親権者の決定-父母のうち誰が親権者となるか。
●監護者の決定-父母のうち誰が子を引き取って監護養育するか。
●養育費-子月額で定めるのが多い。何時からいつまで支払うか始期と終期(成人に達する月まで等)を明確に記載する。
●面会交流-子を引き取らなかった親も原則として子と会うことができます。
●戸籍と氏-母が親権者とされても子は父の戸籍に残ります。そんなとき、子が母の氏を称し母の戸籍に入るには家庭裁判所の許可が必要です。
離婚の際の慰謝料や財産分与は、いくら位になるのでしょうか?
離婚の際の財産分与には次の3つの要素があるとされています。
1. 婚姻中の夫婦共同財産の清算
2. 離婚後の生活困窮者に対する扶養
3. 離婚につき責任ある当事者に対する慰謝料請求
従って、1の見地からは結婚後に取得した財産であればたとえ夫名義のものでも、そこには妻の貢献があるわけですから離婚の際にこれを清算することが必要となってきます。財産分与や慰謝料の具体的金額を算出するには、財産の額、当事者の社会的地位や収入、婚姻期間、当事者の責任行為、精神的苦痛の程度等により異なってきますので、弁護士とよく相談してください。
離婚しますが、その後再婚する相手が決まっています。いつから再婚できますか?
いつでも再婚することができます。
以前は、女性に限り、100日間は再婚することができないという「再婚禁止期間」が定められていましたが、民法の改正により、現在は、再婚禁止期間の規定(民法733条)は削除されています。
離婚するに際して子供の親権者は私ですが、子供の姓は今までどおりで私だけ旧姓に戻すということができるのでしょうか?
できます。あなたが結婚前の姓を名乗るか又は結婚していたときの姓を名乗るかは、あなたの自由です。離婚から3ヶ月以内に届出をすることによって結婚していたときの姓の使用を継続することもできます。また、未成年の子の親権は離婚に際して夫婦が合意すればそのいずれかに決せられます。つまり、親の姓と未成年の子の親権の帰属とは当然に一致するものではありません。従って、あなたが子の親権者となって旧姓に戻っても子は従来の姓をそのまま称することになります。これに対して、子の姓をあなたの旧姓に変更するには家庭裁判所の許可が必要となってきます。
離婚をしたいが姓は変えたくありません。そのようなことができるのでしょうか?
できます。結婚によって姓を変更した配偶者は、離婚の時にその選択により結婚前の姓を使うことも、あるいは離婚の際に称していた姓を使うことも自由です。ただし、離婚の際に称していた姓を称するときは、離婚の日から3ヶ月以内にその旨の戸籍上の届出をしなければなりません。そして、その届け出の具体的手続や書類は区役所等の戸籍課等に事前に確かめた方が安心と思います。概略なら電話で教えてくれるところも多いでしょう。
離婚の家事調停が不成立となり、訴訟で離婚を訴える際の原因は何になるのでしょうか?
民法は裁判上の離婚原因として次の5つの原因を挙げています。
● 配偶者の不貞行為
● 配偶者からの悪意の遺棄:これには生活費を入れなかったり、正当な理由のない別居等を含むとされています。
● 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
● 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがないとき。
● 婚姻を継続しがたい重大な事由:いずれも程度問題ですが、例えば、再三の暴行・虐待、家庭の放置、勤労意欲の欠如、浪費、賭事、犯罪行為、重大な侮辱、性的異常、親族との不和、肉体的欠陥、性格の決定的な不一致(人生観の隔絶)、過度の宗教活動等が問題となります。
離婚の家事調停は、私で申立てられますか?その手続を教えてください。
勿論あなた自身で申立てることができます。原則として相手方の住所地の所轄の家庭裁判所に行き、所定の申立書に本籍や住所、連絡先、離婚の原因、財産分与の額、慰謝料、子の親権の帰属、子の養育費等を記載して、戸籍謄本等を添付して、若干の印紙、切手とともに申立てをします。申立から1~2ヶ月後位に第1回調停期日が開かれ、男性と女性の2人一組の調停委員が間に入り離婚原因や財産分与、子の親権等につき話し合いの機会がもたれます。家事調停は、非公開でプライバシーが守れます。調停が成立すると調停調書という公文書が作られ、判決と同じ強い効力があります。しかし、調停はお互いの話し合いを前提としますので、夫婦の一方がどうしても離婚に合意しないときは、調停は不成立(不調)に終わらざるをえません。
離婚を考えていますが、離婚するにはどういう手続が必要でしょうか?
夫婦が離婚することを納得し離婚届に署名捺印して役所に届け出をすれば離婚が成立します。これを「協議離婚」といいます。あなたが離婚したいと言っても相手方が別れないと言いはるときは夫婦間に離婚の合意がありませんので、あなたがどうしても離婚したいと考えるなら家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることになります。この調停においてもどうしても話がまとまらないときは、家庭裁判所に対し離婚の訴訟を提起することとなり、法律で定められた離婚原因があると裁判所で認められれば離婚判決が下されることになります。調停はご本人でも申立てることが可能ですが、訴訟となると専門的となるのでやはり弁護士に依頼した方が安心でしょう。