第38回受賞者
認定特定非営利活動法人CALL4
認定特定非営利活動法人CALL4の前身となる法人は2018年12月に設立され、2021年4月に特定非営利活動法人の法人格を取得し、2023年3月より認定NPO法人となりました。
CALL4は、日本における公共訴訟が低調な理由として、原告や弁護士たちの経済的困難や孤立を大きな理由として挙げています。そして、司法によって社会的課題を解決するという手法が市民に認知されず、多くの人権侵害等が放置されてきた状況を解決するためにウェブプラットフォームを立ち上げ、運営しています。
CALL4では、公共訴訟の原告らがクラウドファンディングを行うための各種サポート、公共訴訟の背景となる社会問題や原告・弁護団など当事者のストーリー制作とウェブサイトやSNS等を通じた情報発信、ウェブサイト上でデータベース化された公共訴訟の資料や期日情報の公開、オフライン・オンラインイベントの定期的な開催など諸サービスを提供しています。
ウェブプラットフォームという現代的手法を用いて、市民に司法をひらき、経済的その他理由によって救済の必要が高くても放置されざるを得なかった人権をめぐる様々な課題に取り組むことを可能にしている点で、極めて重要な意義と革新性・先進性を有しています。
以上の諸活動は、東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです。
一般社団法人Spring
一般社団法人Springは、2017年6月に国会で性犯罪に関する改正刑法が可決・成立した際に、附則で3年後の見直しとされた課題について、被害実態に即した法改正を実現するために、性暴力被害当事者が立ち上げた団体です。
設立から6年間の活動は、議員及び関係省庁へのロビイング、5899件もの回答を得た性被害の実態調査、海外の性犯罪法に関する調査としての英国視察、イベント開催やマスコミ取材対応等による世論啓発、法務省内「性犯罪に関する刑事法検討会」及び法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会への委員参加など多岐に及び、2023年6月の性犯罪規定見直しの大きな原動力となりました。なお、本会は、5年後の見直しに向けた活動も計画しています。
Springが、これまで零れ落ちていた性暴力被害者の人権のために活動し、被害者の性的自己決定権を中心に据えた法改正を、被害当事者自身の活動によって実現したという点は、東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです。
※人権賞表彰式の終了後、一般社団法人Spring様より人権賞副賞賞金(50万円)のご寄付をいただき、人権の救済と伸長をめざす活動を推進するために設置された当会の人権救済基金で、法律援助事業に対するご寄付として有効に活用させていただくこととなりました。