東京弁護士会

第19回市民会議(2009年10月29日)

第19回東京弁護士会市民会議が2009年10月29日に行なわれた。従来、市民会議は特定のテーマについて霞ヶ関の弁護士会館において委員の方々に議論していただいているが、今回は、東京地方・家庭裁判所立川支部の見学会を行なったうえで、「多摩地区における法的サービス」というテーマでの委員の方々に懇談をお願いした。
東京地方・家庭裁判所八王子支部は2009年4月に立川へ移転し、同立川支部が誕生した。これに伴い、弁護士会多摩支部も立川に移転した。400万人という人口をかかえる多摩地区の事件数の増大、業務の拡大に伴い、裁判所支部も弁護士会支部も活動が充実拡大してきている。多摩地区における司法は、今後、どうあるべきかを検討した。

  • 山本英司・東京弁護士会多摩支部長からの説明
    多摩地区は、面積で2/3を、人口で東京都の1/3をしめている。東京三会多摩支部の登録者は1000名余である。管轄内に事務所を置く弁護士のみならず、多摩地区に住んでいる弁護士、多摩地区に事務所も住所もない弁護士も構成員となっているが、反面、多摩地区に事務所を構えているが未登録の会員もいる。東京三会多摩支部は、立川と八王子に法律相談センターを設置し、委員会は13あり、修習生も受け入れている。多摩地区の裁判所の事件数は、民事は全国で8位、刑事で同7位、家事で同4位、少年で同8位である。事件数が多いため、支部を本庁化するべきである、との意見もある。
  • 紙谷雅子議長(学習院大学法学部教授)
    裁判所支部を本庁化するメリットはなにか。裁判所は支部でできない行政事件や簡裁の控訴事件も受けられるようになり、弁護士も多様な事件を取り扱えるようになる。また、司法行政上の裁量も出てきて、裁判所の予算規模も大きくなるとのことである。
    素朴な疑問として、なぜ北海道には裁判所の本庁が4つもあるのに、東京には1つしかないのか。市民にとってみれば、霞ヶ関まで行くのは大変である。司法サービスは、普通に利用できなくてはならない。そうでなくては困る。
    東京にもエリアによっては弁護士過疎の問題があったが、弁護士会のパブリック事務所ができて改善された。弁護士会から市民にサービスを提供することがあると思う。
  • 長友貴樹委員(調布市長)
    裁判所立川支部の施設が大変立派である。平均的な県にある地家裁のサイズより大きいのではないか。
    多摩地区に弁護士は少ない。ぜひ多くなって欲しい。
    三多摩の市民が享受できる公共サービスに格差があるのではないかという問題意識を持っている。首都圏に住む4000万人はどこに住むのがよいかを比較して選択している。各自治体の取り組み方が問われる。司法サービスをどこで受けられるかということについては、多摩の場合、組織が分散しているため論争になりがちである。市民意識調査をして、不便さを意識していないのかを市民に聞いてみたい。
  • 阿部一正委員(㈱日鉄技術情報センター代表取締役社長)
    市民にとっては、均等な法的サービスをうけられることが重要である。そのためには、裁判所との時間的距離がポイントである。
    多摩地区は、東西は交通の便がよいが、南北はそれほどでもない。町田の人にとっては、立川に行くより霞ヶ関に行くほうが近いのではないか。支部を増やして、例えば、「八王子、立川、町田、東京」という区分を分け直したらどうだろうか。
  • 岡田ヒロミ委員(消費生活専門相談員)
    裁判所の支部が近くにあるかどうかは、市民にとって重要である。消費者相談の現場では相談者を錦糸町に誘導しており、住んでいる地域により、受けられる公共サービスに格差があると思う。立川に立派な裁判所ができたのだから、格差がないように、各簡裁も事件をどんどんやってほしい。
    東京三会多摩支部では、電話法律相談を開始し、将来的には消費者相談も始めたいとのこと。さらなる充実を期待したい。