東京弁護士会

第25回市民会議(2011年11月4日)

第25回東京弁護士会市民会議が2011年11月4日行なわれた。今回は、「法曹人口問題」と「外国人の司法アクセス問題」について、ご意見をいただいた。

法曹人口問題

  • 古西洋委員(朝日新聞社記事審査室長)
    より議論を前に進めるために4つ提案をしたい。
    1つは,本当に弁護士過疎が解消されているのかという論点をもう少し分析してほしい。ゼロワン地域が解消しても,基本的に2人以上の弁護士がいなければいけないはずだ。東京のような大都市にも,司法過疎がある。これらの点を検討してほしい。また,官庁や企業に採用される弁護士がなかなか増えないと全体的に述べるのではなく,例えば,企業の側からみて,なぜ弁護士を採用しないのかを議論してほしい。さらに,格差社会の中で,法の救済を受けられない人がカバーされているのかを利用者の視点から分析してほしい。
    2つめは,東日本大震災の後,状況が変わった。被災地の避難民や原発事故の被害者がたくさんおり,法曹への需要がある。弁護士が被災地に行っていることは知っているが,今の体制で十分なのかを検討してほしい。
    3つめは,合格者3000人の予定が約2000名になっているが,受からなかった人の中にも優秀な人がいたのではないか。僅かな差で合格者と不合格者に分かれる。試験自体に問題がないかを検証してほしい。
    4つめは,OJTの不足が問題というのは感じるが,この問題は合格者を1000人にしても解決しないのではないか。別途対策をとるべき。例えば,法テラスや公設事務所などに教育機能を備え、そこで採用を増やしてはどうか。また,弁護士人口が3万人というが,その中には高齢の方もいる。一般社会から見れば,高齢の方は引退し,後進の育成にまわることは出来ないのだろうか。
  • 長友貴樹委員(調布市長)
    自治体の業務の中で,法律相談が重要な意味をしめている。弁護士の質を最優先で確保して頂いた上で,ますます弁護士に期待したい。
    自治体の組織内弁護士については,相談業務にどう対応するかということでいえば,必ずしも自治体内部に抱える必要はない。しかし,より打って出る施策に対応するため,条例制定等のために,地方自治に精通した法律家を内部に抱えることは必要になると思う。一度も法律事務所に籍を置いたことのない若手が期待に応えられるようになるのにどれくらい時間がかかるのかなど,考えなければいけない問題はいくつかあるが,今後の道として弁護士の採用はあり得ると思う。
  • 阿部一正委員(㈱日鉄技術情報センター代表取締役社長)
    司法改革の検討のとき,規制緩和をして,最後に司法の局面で担保するということで,法律の素養のある人が司法界だけでなく,産業界,官庁など各界にいなければいけないと言われてきた。しかし,企業内弁護士はそれほど増えないのは,弁護士資格を取ったときには歳をとっていて,他の従業員とのバランスがとれないことが問題になっている。もっと若い年齢で資格が取れるようにすることを考えるべき。
    優秀な若手に,裁判官や検察官や大きな法律事務所を希望するのと同じレベルで,企業を考えるようになって欲しい。

外国人の司法アクセス問題

  • 岡田ヒロミ委員(消費生活専門相談員)
    東京パブリック法律事務所に外国人専門部門ができたことを知らなかった。消費者センターにも外国人の相談はけっこう来るので,取組みをもっとPRして欲しい。
  • 長友委員
    確かに,外国人は情報弱者だと思う。
    調布市役所では,電話交換台と市民の対応窓口に英語のできる人間を配置している。市役所の窓口に来るのは,外国人登録,税関系,保険関係の問題が多い。込み入った問題として,離婚問題や債務の問題もないことはない。
    英語以外の言語の方や,英語でも込み入った話をする場合には,通訳が必要になる。そのために,地域に国際交流協会的な外郭団体のある自治体では,ネットワークを持っている。調布市は,東京外語大と協定を結んでいる。
    調布市では,専門家のリレー相談会を紹介したり,開催したりしている。
  • 紙谷雅子議長(学習院大学法学部教授)
    外国籍の方は,ネットワークが確立されていることが多い。例えば,フィリピン人の場合は,教会に所属しているので,困った人は教会のつてで助けてくれる人を探している。イラン人の場合は,モスクのつてがある。そういうネットワークから外れてしまい,周囲に同国人のいない人へはなかなか手が届かない。 大学院生や留学生と弁護士のネットワークを作れば,カバーできる言語や地域の対象が広がるのではないか。