東京弁護士会

第28回市民会議(2012年10月29日)

第28回東京弁護士会市民会議が2012年10月29日行なわれた。今回のテーマは、「法教育」である。

最初に、白井裕子副会長から、弁護士会の法教育のあゆみについて説明があった。
次いで、(1)黒澤圭子会員(法教育センター運営委員会委員長)から、小、中学校での「ルール作り」の授業の実践例、および、当会が夏に行っている「ジュニアロースクール」の実践例、(2)岩田修会員(消費者問題特別委員会委員)から、消費者教育の実践例、(3)橋詰穣会員(子どもの人権と少年法に関する特別委員会副委員長)から、いじめ予防のための出張授業の実践例が、それぞれ紹介された。
引き続き、意見交換がなされた。主な意見は以下のとおりであった

  • 阿部一正委員(日鉄住金総研株式会社取締役相談役)
    2007年の市民会議のときから比べて法教育の内容がだいぶ進歩したと感じた。「ルール作り」の授業では、一つのテーマについて、生徒がみんなでしっかり話し合うことができていた。日本人はコミュニケーションが下手なことが多いので、弁護士も参加するこのような教育はとても重要だと思う。
  • 岡田ヒロミ委員(消費生活専門相談員)
    消費者教育については、消費者センターもかなりやっているので、弁護士会が消費者センターと連携して消費者教育をやるとよい。契約の話は消費者センターでもできるが、消費者センターで解決しなかった場合に、どうすればいいかという解決策や手続の話は、弁護士に話してもらった方がいい。こういう事例では裁判をやっても難しいということがわかれば、その前の契約の段階からもっと注意をするようになる。学生だけでなく、消費者に話す機会をつくってほしい。消費者センターでやっている出前講座を見に来てほしい。
  • 後藤弘子委員(千葉大学大学院専門法務研究科教授)
    私が持っている法教育のイメージは、権利の主体性、法の支配のあり方を教えていくもの。2時間という短い時間の中で、その辺をどのように伝えていくか。裁判員裁判が始まってから法教育の必要性がいろいろなところで言われているが、最終的には、法教育の目的は法の支配の実現に集約されていくと思う。
  • 津山昭英委員(朝日新聞社ジャーナリスト学校)
    法教育の目的はとてもいいと思う。教える主体を弁護士から教員に移行していくのではなく、弁護士と市民の距離を縮めるためにも、弁護士にやってほしい。保護者も参加できる公開授業でやって、保護者にも学んでもらった方がいい。法務省や東京三弁護士会がそれぞれにやっているのであれば、連携した方がいい。授業のフィードバックも重要。
  • 長友貴樹委員(調布市長)
    調布市の学校でも模擬裁判等を実演してもらったこともあるが、おしなべて好評だった。いい成果があがっているということを喧伝すれば、広がると思う。2011年末の東京都のカリキュラムの改訂は大きい。
    子どもたちも、周囲の様々なトラブルを見て育っている。明らかに主張がおかしいという事例も拾ってきて、そういう意見を通そうとしても駄目だというのも教えた方がいい。
  • 紙谷雅子議長(学習院大学法学部教授)
    教え方が格段に進歩している。日本のしくみでは刑事事件に偏りがちなところ、民事事件についてもジュニアロースクールでとりあげていてよいと思う。弁護士会が知っている教員を通じて学校に行き、法教育をしているという点は、以前とあまり変わらない。もう少しシステマティックな運用をしてはどうだろう。制度として可能かわからないが、教育委員会に働きかけるとか考えてみてはいかがか。
    若い弁護士が増えているので、そういう人に積極的に参加してもらうのは重要だと思う。若い弁護士にとっても自信になると思う。
    高校に入ったら、刑事と民事の違いも含めて手続法とか労働法についての情報を提供してはどうか。多くの生徒はたとえ進学してもいずれ就職するのだから、職業教育ということで労働法の教育をした方がよい。