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会員インタビュー
(倒産法部編)
渡部 香菜子 会員(61期)
岩下 明弘 会員(66期)
渡部 香菜子 先生(61期) 岩下 明弘 先生(66期)

2021年11月25日

東京弁護士会には22の法律研究部があり、様々な法分野の研究活動を続けています。今回はその中の1つ、倒産法部で活躍している2人の若手弁護士に話を聞きます。
一口に倒産といっても、破産、民事再生、会社更生、特別清算などの裁判所が関与する法的手続もあれば、任意整理、さらには各種ADRやガイドラインに基づく手続など、債権者と債務者との協議等によるものもあり、非常に幅広い業務分野です。東京弁護士会の倒産法部は、勉強会や講演会が充実し、団結力もあるとのことで、活動に参加すれば、知識やノウハウの習得だけでなく、人的なネットワークを広げることもできるとのこと。東京弁護士会に入会して、倒産法部に参加してみませんか?

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-弁護士を目指したきっかけ-

 
倒産法部イメージ
 

(渡部) 大学の学部は社会学部だったのですが、学部の研究の一環で民法などを勉強する機会がありました。その際に法律のロジックを興味深いと思うとともに、法律を身に付けることで日々の生活の中で不利益や不都合を感じている人達の実際的な手助けができると感じ、法曹を目指し、法科大学院に進学することを決めました。

(岩下) 大学では、学内の司法試験受験団体に所属していました。そこで、現役の弁護士と接し、弁護士の魅力の一端に触れる機会があったのですが、ある弁護士から、「再生会社の事件を適切に処理することは、その会社だけでなく、その会社の従業員やその家族の生活を救うことにもつながる意義のある仕事だと思っている」という話が印象に残り、弁護士を目指すようになりました。

-倒産法部の活発な勉強会・講演会-

(渡部) 倒産法部では、現在、600人ほどの部員が所属していまして、毎月1回ほどのペースで、勉強会や講演会を開いています。テーマは毎回異なりますが、破産や、民事再生、会社更生、特別清算などの法的整理や、準則やガイドラインに依拠した私的整理などに関するものが中心です。参加者も若手、中堅、ベテランと幅広い年代にわたっています。また、弁護士だけでなく、裁判所から、裁判官や書記官にも参加いただいていることが倒産法部の特徴です。実務的な意見交換をしたり、裁判所からコメントがもらえることもありがたいと思います。

(岩下) 毎回100名以上が参加していまして、大変盛況です。基本書を読んでいるだけでは学ぶことができないノウハウや経験も聞けますし、その分野の第一人者の講演も多いので、内容も充実していると思います。勉強会や講演会の中には、「寺子屋」といいまして、新人や若手を対象とする勉強会があるのですが、ベテランの弁護士が参加することも多く、年次を重ねても研鑽を積もうとする姿が印象的です。

-活動を通じて広がるネットワーク-

(渡部) 勉強会や講演会の後の懇親会もとても活発に行われていまして、他の弁護士との交流もでき、ネットワークを広げることができると思います。また、3年前からは、「次世代育成合宿」と名付けた勉強合宿を開催しています。コロナ禍で、最近はこうした活動も制限されているのですが、コロナ禍が収束すれば、また以前のように活発な交流ができるのではないかと思います。

(岩下) 次世代育成合宿では、少人数のチームに分かれて勉強会をします。講師役の先輩弁護士から指導を受けたり、話し合った内容を発表するといったことを通じて、普段の勉強会よりも密なコミュニケーションをとることができますので、合宿が終わった後も続くつながりを作ることができました。

-倒産法部の魅力-

(渡部)「寺子屋」など、若手弁護士向けに企画されている勉強会も多く、ここに参加すれば、基本的な事項をしっかりと学ぶことができます。また、講師役は経験豊富な弁護士が担当することが多く、実際の経験に照らした実務上の悩みや工夫、ノウハウ等の話を聞くことができます。破産事件を担当している裁判官などからのコメントもありますので、自身の勉強だけではなかなか学ぶことのできない実務上のノウハウや実務の傾向等を知ることができます。さらに、倒産法部の活動に参加することで、事務所外の弁護士にもネットワークが広がりますので、自分が担当する案件等で悩んだ際に、先輩弁護士などに相談してアドバイスを受けることもできます。

(岩下)私も勉強会や講演会と、それをきっかけにした交流が魅力だと思っています。他の事務所の弁護士とも繋がりを持つことができますので、実際の事件を一緒に担当させてもらうこともあり、生の事件を通じた経験を積むことができます。また、私が関与した破産事件で、破産した会社の在庫品である婦人服や婦人靴をより高く換価し、より多くの配当をするために、関係者や一般の方に告知して「ファミリーセール」を開催したことがあったのですが、実際に売れるのかとても不安でした。倒産法部のメーリングリストで告知をすると、多くの部員が参加してくれて商品を買ってもらうことができ、応援してもらうことができました。倒産法部の団結力を感じました。

-倒産分野での将来像-

2人で話す場面

(渡部)依頼者のニーズに合ったサポートを丁寧、そして迅速に提供することができるよう、経験値を上げて業務の質を高めていきたいと思っています。事業再生・倒産の分野での経験はまだまだ多くないと思っていますので、実際の案件での経験に加えて、倒産法部でも研鑽を重ね、専門性を高めていきたいと思っています。また、事業再生や倒産の分野もグローバル化が進んでいますので、特に国際的な事業再生案件での経験値を上げていきたいと考えています。

(岩下)まだまだ未熟ですので、さらに専門性を高め、倒産法部での知識・ノウハウの習得や人的なつながりを広げつつ、クライアントに対して最適なリーガルサービスを提供できるようになりたいと思っています。また、私は、倒産・事業再生を扱う弁護士の中でも、他の弁護士との差別化を図りたいとも考え、その一環として、東京弁護士会の民事介入暴力対策特別委員会や、リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)の宇宙法部会にも所属しています。

-入会希望者・修習生へのメッセージ-

(渡部)事業再生や倒産に関する業務では、基本的な知識とともに実務上の経験等を踏まえたノウハウなどが必要です。そのような実務上のノウハウは自分の勉強だけで身に付けるのには限界があると思いますので、倒産法部に入ることで、こうしたノウハウを得ることができます。倒産法部の部員の、部の活動への関わり方は様々です。毎回の勉強会や懇親会等に積極的に参加する弁護士もいれば、自分の働き方等に合わせて興味のあるテーマの勉強会や講演会に参加する弁護士もいます。自分に合った形で事業再生や倒産の研鑽を積むとともに、他の弁護士との交流を広げることができますので、ぜひ、東京弁護士会に入っていただき、倒産法部に入ってください。

(岩下)一口に倒産事件といっても、様々なものがあります。倒産法部と聞くと、破産事件の申立てや、破産管財人を担当する弁護士の集まりのように聞こえるかもしれませんが、破産事件では、債務者や管財人だけではなく、債権者側の代理人としての業務もあります。また、最近では、私的整理手続が増加傾向にありますので、業務内容が拡大し、専門性が増していて、若手の弁護士が活躍できる機会が増えています。倒産法部は所属している弁護士の数が多く、かつ専門性も高いので、新人・若手の弁護士が、経験やノウハウを得るには、最適な場です。是非、入部してください。