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リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)

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(4)任意後見契約等

あなたの理解力や理解力が低下しはじめ、自分自身で銀行や保険の手続などに時間がかかるようになってしまったとき、あなたは家族や、親しい友人、又は支援サービスの方々の力を借りながら、生活を行っていくことになります。しかし、その状態よりもさらに理解力等が低下し、自分自身で判断することが困難になってしまう段階に至ることもあります。そのような場合には、弁護士などが成年後見人(保佐人、補助人)となって、あなたに代わり、あなたの財産の管理等を行う場合があります。
しかし、見ず知らずの人ではなく、自分の性格や意向をわかってくれる配偶者や子、兄弟に、財産を管理してほしいという希望を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった希望がある場合は、理解力等が相当程度低くなる前に対策を立てておく必要があります。
その対策の一つとなるのが、「任意後見契約」です。

任意後見契約:
「委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるもの」(任意後見に関する法律第2条第1号)

事前に信頼できる方と契約を結んでおくことで、いざあなたの理解力等が不十分になってしまったときに、その方に、財産管理等をしてもらうことができるようになります。
任意後見契約は、公正証書によってなされる必要があるほか、実際に任意後見人として活動するに先立って、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらわなければならないなど、一定の要件があります。しかし、この契約に基づき、あなたが選んだ方に、あなたの代理人として活動してもらうことが可能になります。

令和2年末日の成年後見利用者数232,287人のうち、任意後見は2,655人(1.14%)となっており、利用率は低調ですが、本人の希望を叶える制度として有用な制度です。

また、任意後見契約に類似のものとして、信頼できる方を代理人として財産管理等を委任する契約を締結しておくことも考えられます。任意後見契約と異なり、従来は、委任契約を結んだとしても、代理人からの預金払戻請求等に金融機関が応じるケースは多くありませんでしたが、近年ではその運用も改められてきています(金融機関により対応や要件が異なる場合もあり、本人からの事前の届出等が必要になる場合もあるため、事前の確認が必要です)。

なお、生命保険会社は、被保険者本人による保険金請求等ができない場合に備えて、契約者があらかじめ指定した代理人が、保険金請求等できる制度を用意しています(指定代理請求人制度)。

設定できるのはいつか

発動するのはいつか

代理人を選べるか

代理人の権限の範囲

成年後見

意思能力喪失後

意思能力喪失後

×

法定されている

任意後見

意思能力喪失前

意思能力喪失後

契約で定められる

委任契約

意思能力喪失前

契約で定められる

契約で定められる(金融機関等によって対応・要件が異なる可能性あり)

指定代理請求人制度(生命保険)

意思能力喪失前

意思能力喪失後

生命保険会社の制度による

対策を立てることができるのは、理解力が保たれている間だけです。
いまできること、しておくべきことを整理して、いざというときに備えましょう。
                                              (細谷周平)

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