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リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)

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(16)望む葬儀をしてもらうには

1 はじめに

近年、埋葬や葬送の方法については、多様な方法が現れており、自らの死後、そういった方法をご希望される方も少なくありません。
しかしながら、埋葬や葬送は、自らの死後行われるものですから、自分で主催するわけにはいきません。
そのため、何らかの形で、事前に、ご自身の希望をお伝えしておくことが必要になります。
本コラムでは、その方法について解説いたします。

2 遺言

ご自身の希望を伝える方法として、遺言が思い浮かぶ方も多いかと思いますので、遺言に、埋葬や葬送の方法について記載することを思いついた方もいらっしゃると思います。
しかし、遺言では、法律で定められた事項以外は法的効力が生じません。
祭祀承継者として、「祖先の祭祀を主宰すべき者」を指定することはできますが(民法897条)、埋葬や葬送の方法についての記載をしたとしても、そこに法的効力は生じないため、葬儀を主宰される方次第とならざるを得ません。
また、遺族の方が、遺言の内容をすぐに確認するとも限りません。故人の葬送をした後、確認することも多いように思います。
そうなると、遺言に記載したとしても、その記載に後になって気づくことになってしまいます。
このようなことからすれば、遺言に記載するという方法は、必ずしも適した方法とは言えません。

3 死後事務委任

そこで、死後事務委任契約を結んでおくことをお勧めします。
死後事務委任契約は、遺言と異なり、財産の処分に関する事項以外にも、法的拘束力が生じることが特徴です。
死後事務委任として、法的な拘束力が生じる事項には、埋葬や葬送をどのように行うかという事項も含まれています。
埋葬や葬送を含めた、死後にすべきことについてを事前に決めた上で、死後事務委任契約を締結することで、委任を受けた者が、契約に従い、ご自身のご希望を実現することができます。

死後事務委任については、下記コラムもご参照ください。
参考URL(https://www.toben.or.jp/know/iinkai/houritsuservice/syukatu/post_23.html

4 結語

自らの埋葬や葬送についてご希望がある場合には、死後事務委任契約を活用されることをお勧めします。
ただし、残された方のお考えや、従前からご関係のあった菩提寺等とのご関係等もございますので、こういったことを考慮せずにご自身が決めた結果として、かえって、ご遺族の方が、トラブルに巻き込まれたり、残念な気持ちを残す結果となったりすることもございます。
例えば、自分は子に迷惑だからと簡易な葬送の方法を選んだとしても、子はそう思っておらず、残念な思いを残してしまうようなケースも考えられますし、その逆の形でトラブルになるケースもあるかと存じます。
だからこそ、終活をお早めに始めていただき、そういったお話合いの場を持つことも大切です。
どのようなことから始めたらよいか分からないといったことからでも結構ですので、終活のことでお悩みの方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

(平松 慧真)

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