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(12)任意後見契約等 2
1 はじめに
ご自身の判断能力の低下に備える制度については、「任意後見契約等」(その他の終活コラムをご覧ください。
本稿では、任意後見契約に焦点を絞り、その締結までの考え方についてご説明いたします。
2 任意後見契約を締結する3つのパターン
まず、任意後見契約を締結するパターンは、目的に合わせて、概ね以下の3つのパターンに分けられます。
①現在においては財産管理等に不安はないものの、将来の理解力低下に備えて、任意後見契約を締結するパターン
②現時点においても判断能力の低下があるため、任意後見契約を締結し、締結後に直ちに任意後見契約を発動させるパターン
③現時点においても判断能力の低下があるため任意後見契約を締結するが、同時に財産管理等の委任契約を締結し、しばらくは委任契約で対応し、その後判断能力の著しい低下がみられるに至ってから任意後見契約に切り替えるパターン
①については、一般的に皆様が想定されているものかもしれません。
もっとも、①の場合、選任した受任者が行動できるのは、任意後見契約が発動に至った後、すなわち、委任者の判断能力が不十分になった後であり、それまで受任者は活動することができません。
そこで、実際に多くみられているのが③のパターンです。任意後見をしてもらうまででもないものの、若干の判断能力の低下を感じている場合に、財産管理のサポートをお願いし、いざという場面では、任意後見に切り替えて活動をしてもらうことになります。
日本公証人連合会では、③を「移行型」と呼び、有意義なものと扱っています(日本公証人連合会「4.任意後見契約」「Q15」(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow04)参照)。
なお、②の場合は、任意後見契約を締結できるの?締結したとしてもすぐに発動できるの?と思われる方もおられるかもしれません。
確かに、契約の締結には判断能力が備わっていることが必要ですが、認知症であっても軽度であれば契約を締結できる場合はありますので、任意後見契約も締結が可能な場合があります。そして、保護の必要があれば、任意後見契約の発動は可能ですので、必ずしも困難なものではありません。
したがって、現時点で判断能力が衰えていても、自ら後見人を選びたいなどのニーズがあれば、②も選択肢として検討する意義がありますので、実現可能性等について弁護士等にご相談ください。
3 おわりに
任意後見契約で受任者に委任する事項(後見事務)については、公序良俗に反する等の場合を除き、原則として自由に決めることができます。してもらいたいこと、しなければならないと予想されること、受任者の方が対応できること等を、受任者とご相談ください。
なお、具体的な後見事務の範囲(財産の管理処分や保険契約等に関する事項についての代理権等)のほか、費用や報酬、任意後見監督人への報告義務等を定めることが通常です。
実際に任意後見契約書を作成する際には、ぜひ弁護士等にもご相談ください。
(細谷周平)