アクセス
JP EN
リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)

リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)

 

(3)遺言

終活の一環として、財産の整理を始める人は多いと思います。しかし、生前にすべての財産を整理することは難しく、亡くなった時点においてもいろいろな財産が残っているのが通常です。死後の財産処分について生前に準備をしていないと、相続人がいる場合には財産は法定相続分にしたがって相続人に承継され、相続人がいない場合には一定の手続を経た後に国庫に帰属することになります。このようなことを避け、死後にご自身の希望に沿った財産処分がなされるためには、生前に遺言をしておくことが必要です。

遺言とは、自分が亡くなった時に存在する財産の処分について、生前に意思表示しておくことを言います。遺言は、民法が定める一定の方式に則ってする必要があり、広く利用されているのが自筆証書遺言と公正証書遺言です。

まず、自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自書し、これに押印することで成立します。もっとも、自筆証書遺言の場合には、遺言書が要件の一つでも満たさないと遺言は無効になってしまいます。また、遺言書を自宅で保管しておくと、死後に発見されなかったり、相続人によって偽造・変造等されたりするリスクがあります(このリスクに対処するため、平成30年に自筆証書遺言の保管制度が創設されました。)。

次に、公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者の希望を公証人が公正証書の形で筆記し、遺言者・証人・公証人が署名・押印することによって成立します。遺言公正証書は、同じ内容のものが3通(原本、正本、謄本)作成され、そのうち原本は公証役場に保管され、正本・謄本は遺言者や遺言執行者に交付されます。死後に遺言が無効とされたり、遺言書が偽造・変造等されたりするリスクを避けるためには、公正証書遺言をしておくことが必要です。

公正証書遺言であっても、ご自身で作成することは可能です。しかし、ご自身で作成される場合には、すべての財産を記載できていなかったり、一部の相続人の遺留分を侵害していたりして、死後にトラブルになることがあります。また、遺言の執行(登記移転等)は、ほとんどの場合は相続人に行ってもらうことになりますので、相続人には遺言執行の負担が残ります。

このようなことを避けるためには、弁護士にご相談の上、公正証書遺言を作成することをお勧めします。相続に関するアドバイスは弁護士以外の専門家も行っていますが、相続のトラブルを一番熟知しているのは弁護士です。弁護士は、相続人や財産の範囲を調査した上で、死後にトラブルにならないよう各相続人の遺留分に配慮しつつ、遺言者の希望をできる限り実現する内容の遺言書を作成します。また、相続人への遺言執行の負担を避けたい場合には、遺言の中で、弁護士を遺言執行者として指定することも可能です。このように、弁護士は、遺言作成から遺言執行まで、すべての場面をサポートすることができます。

弁護士にご依頼することには、費用の観点からためらう方がいらっしゃるかもしれません。しかし、費用に関しては個別のご相談に乗りますので、まずは遺言のお悩みをお気軽にご相談ください。
                                              (松田亘平)

リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)メニュー