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リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)

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(2)死後事務委任

私はおひとりさまです。
私の親族は妹のみですが、私の死後、妹に迷惑をかけたくないと考えています。
また、私より先に妹が亡くなった場合など、私の死後に必要となる手続きはどのようになるのか心配です。             

1.死後事務委任契約という選択

死後には、様々な手続きが生じますが、現代は、少子高齢化、核家族化等により、身寄りのない、あるいは身寄りはあっても頼れないなど、ご自身の死後に不安を抱える方が増えています。このような方のご不安を解消する手段として、死後事務委任契約があります。
死後事務委任契約は、より積極的に死後にご自身の遺志を反映したいという方にとっても有益です。

2.死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、委任者が受任者にご自身の死後の事務を委任する契約です。ご自身の死後にその遺志を反映させるために生前に準備できることとしてよく知られているものには、「遺言」があります。ただし、遺言で定めることができる事項は、民法という法律で定められており、それ以外の事項を遺言に記載しても、法的な拘束力はありません。そのため、法律で定められた事項以外について遺言に記載しても、相続人あるいは遺言を執行する遺言執行者により、確実に実現してもらえるとは限りません。

3.どのような事務を委任できるか

死後事務委任契約で、委任者が受任者に委任できることには、以下のようなものがあります。
⑴葬儀に関するもの
・葬儀方式の指定
・埋葬方法の指定
・供養方法の指定
⑵行政手続きに関するもの
・死亡届の提出
・運転免許証や健康保険証の返還
・年金の受給資格の抹消
・固定資産税等税金の支払い
⑶生活に関するもの
・生前利用したサービス(病院・介護施設)に関する料金の精算
・居住する賃貸不動産の契約の解除や明渡し手続き
・水道光熱費等公共料金の支払いと解約手続き
・SNS等のアカウント削除
・パソコン、携帯電話の個人情報の抹消処理
・残されたペットを施設に入れるなどペットの環境整備

4.弁護士にご相談を

終活として活用できる制度には、死後事務委任契約の他にも成年後見制度や財産管理契約等があります。
死後事務委任契約の委任事務の一部は、これらの制度で実現可能なものもあるため、相互にその内容が抵触してしまう可能性があります。
また、相続や遺産の処分については、遺言で定める必要がありますが、死後事務委任契約において財産的処分を伴う事務(遺産の整理、世話になった人物への謝礼の支払い等)を定めた場合には、どちらが優先するのか、その効力が問題になりかねません。
死後事務委任契約の内容を定めるには、十分に注意する必要がありますので、ご検討の際には、法律の専門家である弁護士にご相談ください。
                                              (藤原奈美)

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