東京弁護士会

中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会
「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」 に対する意見書

2009(平成21)年7月6日

当会は、2009年7月6日(火)開催の常議員会の審議を経て、標記意見書をとりまとめました。関係各機関におかれましては、意見書の趣旨を十分忖度して今後対応することを要望します。

~中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」に対する意見書を取り纏めるにあたって~

文部科学省に設置された中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会(以下「中教審」という)は「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」(以下「中教審意見書という」)と題する意見を本年4月17日にとりまとめました。

中教審意見書は、法科大学院関係者などからの指摘をふまえ、「自発的・積極的な学修意欲が高いこと」など法科大学院の総体として優れた点を評価するとともに、「基本分野の法律に関する基礎的な理解や法的思考能力が十分身についていない修了者が一部に見られること」など速やかな改善を求めている点をそれぞれ指摘しています。

確かに、法科大学院の現状について積極・消極を含め様々な指摘があること自体は否定しませんが、とりわけ、速やかな改善を要する点と指摘した事実につき、法科大学院の実態を踏まえているのか、また、踏まえているとしても中教審意見書が正しい方向性での提言をしているかについては実務法曹として疑問を述べざるを得ません。

本意見書は、上記改善の方向性について疑問を述べるとともに、昨年12月に初めて未修者を法曹として受け入れた立場から、法科大学院教育を経た法曹に対する評価を含め、実証的検証をした後改めて改善提言をすべきであり、中教審の拙速すぎる提言について慎重な対応を求めるものです。

もちろん、本意見書は、中教審意見書のすべてを否定するものではなく、また改めて検討すべき事項も多々ありますが、とりわけカリキュラムについて、当会として早急に意見提言しなければ、次年度以降、中教審意見書が法科大学院に誤ったメッセージを与えかねないと考え、今般、本意見を取り纏め執行しました。

なお、当会としては、中教審が提言した様々な問題について今後も継続して検討する予定であり、取り纏めができ次第、改めて当会の意見を明らかにする次第です。


意見書全文は、PDFファイルをご覧ください。

意見書全文(PDF:183KB)

【意見の趣旨(抜粋)】

    本報告の内容には、法科大学院の基本理念に反する懸念があるもの、教育の質の向上という観点からみて、効果に疑問があるか、場合によっては弊害がある可能性があるものが含まれており、法科大学院設立の理念と現在の法科大学院、法科大学院生が置かれた現実の状況をふまえ、さらなる検討と十分な配慮が必要である。

  1. 「法律基本科目の単位数を6単位増加させ、これを1年次に配当することを可能にする」ことが、法学未修者1年次の教育の改善の方向性として妥当であるかについては、極めて慎重な検討を要する。単位数の増減といった画一的な対応に終始するのではなく、未修者一人一人のつまずきを発見し、アドバイスを行う体制・システムを充実させることが重要である。
  2. 厳格な成績評価・修了認定が必要であるとしても、未修者コース1年次から2年次に進級する際の単位認定にあたっては、恣意的な運用を許さない客観的な到達度を基準とし、かつ未修者コース1年次の院生に不合理な負担を課すものとならないよう適正な水準とする必要がある。
  3. 法的文書作成の基礎教育の必要性について異論はないが、現行制度における単位数の枠内で、教育時間を確保すべきである。また、法的文書作成の基礎教育は法律基本科目の教育内容と効果的にリンクさせることが必要である。
  4. 法的思考力の涵養のためには、法的思考方法の必要性及び共通性を認識させる工夫が必要であり、そのための具体的方策として、法律基本科目の横断的な教育が検討されるべきである。
  5. 未修者1年次の教育の充実のためには、自学自修を積極的にバックアップ・サポートする体制作りが不可欠である。
  6. 未修者教育の改善策の検討は、未修者コース出身の合格者に対する調査、検証を経たうえで行われるべきである。
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