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人権救済申立事件(2023年度)

  • 2024(令和6)年03月28日

    令和元年東人権第53号事件

    作業報奨金使用制限等による人権侵害救済申立事件(PDF:338KB)

    受刑中の申立人が、作業報奨金使用に関する各申し出を行ったところ(その使途は、郵券の購入・国外に居住する実母への生活資金の援助・薬用歯磨き粉の購入)、相手方はいずれの申し出も認めなかった。相手方による当該処遇は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第98条4項によって認められる、釈放前における作業報奨金の支給に関する刑事施設の長の裁量権を逸脱・濫用しており、申立人の人権を侵害したものであると勧告した事例。 釈放前における作業報奨金の支給について、今後は、使用の対象や数量等の客観的な事情に基づき、法第98条4項が規定する『使用目的の相当性』を判断すべきであり、使用目的が不相当であるとはいえない場合には、受刑者が希望する支給額が当該受刑者の支給時における報奨金計算額の2分の1を超えていない限りは、受刑者が希望する作業報奨金の全額を支給するという運用を図るよう勧告した事例。 受刑者が出願する作業報奨金の国外送金について、送金先国などの関係から相手方として対応困難な事案が生じた場合にも、法第98条4項に基づけば使用目的が不相当であるとはいえない以上は、当該受刑者からの要望があった場合には、国外送金以外の他の送金方法を教示するという運用を図るよう勧告した事例。

  • 2024(令和6)年03月28日

    令和元年東人権第57号事件

    通数外発信不許可事件(PDF:147KB)

    令和元年10月29日、同年11月19日、及び令和4年1月31日、申立人が相手方に対し、東京弁護士会宛ての人権救済申立事件に関する信書について通数外発信の申請をしたところ、相手方が、緊急性が認められないとして、申立人に通数内で発信するよう告知の上、当該信書を返戻したことは、申立人の自己の権利の侵害に対する救済を求める権利を過度に制約したものであり、申立人の人権を侵害したものとして、今後は、受刑者が弁護士会に対して発信する人権救済申立事件に関する信書については、信書発信制限の通数の対象外として扱うよう警告した事例。

  • 2024(令和6)年03月22日

    令和4年東人権第6号事件

    眼科診察懈怠事件(PDF:363KB)

    申立人は先天性白内障に罹患しており視覚障害2級の障害者であるところ、相手方に約2か月間収容されていた間、眼科の診察を受けられるよう求めていた。相手方においては通常は外部から眼科医を招聘し月2回の眼科診察を実施していたが、申立人被収容中は、申立人が他施設へ移送される前日にようやく眼科診察が実施されたにもかかわらず、相手方は、先天性疾患であり症状の急迫性が認められず移送先の施設で眼科診察を受けることが好ましい等として、申立人に移送前日に行われた眼科診察を受けさせなかった。かかる相手方の措置は、視覚障害をもつ申立人が速やかに適切な医療を受ける権利を侵害するとして、警告した事例。

  • 2024(令和6)年03月01日

    令和3年東人権第19号事件

    警察官らによる違法な撮影阻止行為事件(PDF:201KB)

    2021(令和3)年4月25日午後6時50分頃、申立人が、同月22日に杉並区内で起きた申立人所有自転車破損事故の処理について苦情を述べるために相手方警視庁杉並区警察署を訪れた際、応対にあたった同署署員らが、同署員らとのやり取りを記録するためスマートフォン型携帯電話で撮影する申立人に対して、同署署内受付カウンター前において、複数回に渡って有形力を行使した。同署署員らの当該有形力の行使は、庁舎管理権行使として正当化される必要性、相当性、及び比例性に欠け、その権限を逸脱・濫用する違法なものであって、申立人に対する暴行にあたり、申立人の人権(身体の安全)を侵害するものであることから、今後、来署した一般市民に対する庁舎管理権の行使には慎重を期すよう、また、庁舎管理権の行使に名を借りた違法行為を繰り返すことがないよう警告した事例。

  • 2024(令和6)年02月06日

    平成31年東人権第14号事件

    東京都障害者総合スポーツセンター改修工事事件(PDF:315KB)

    相手方は、東京都障害者スポーツセンター条例に基づき、東京都における障がい者のスポーツ・レクリエーション活動の振興と社会参加の促進を図ることを目的として設置された障がい者専用のスポーツ施設である本件施設について平成28年に改修計画を立て、令和元年にかけて改修工事を行った。改修後に申立人が利用した際に、利用者の障がい等に対する配慮が不十分な点を確認したことから、施設の指定管理者および相手方担当者の立ち合いのもとで問題を指摘したことで、相手方による一部改善が行われた。改善された箇所は、いずれも相手方による本件施設の改修工事にあたり、利用者である障がい者や関連団体への意見聴取を行うことによって、申立人の指摘を受けるまでもなく容易に除去ができたものであり、意見聴取を行わないまま改修工事を行ったため障がい者の利用にあたっての不便な箇所がみられる施設となっていたといえることから、人権侵害のおそれがあったとして、今後相手方において行われる施設改修工事等にあたっては、利用する障がい者(建設・改修されたのちに当該施設を利用することが想定される障がい者を含む)や障がい者関連団体からの意見聴取または継続的モニタリングや評価の機会を設けることを要望した例。要望書の別紙は掲載していません。

    ◎2024(令和6)年3月15日付記
    要望書提出後東京都から、平成24年度に東京都障害者総合スポーツセンターを利用する団体や利用者など障害当事者から意見を収集し、その結果を参考に改修の方針を検討したとの連絡がありました。

  • 2024(令和6)年02月06日

    令和元年東人権第52号事件

    障害者に対する不当処遇事件(PDF:297KB)

    相手方が、内部障害を有する労働者である申立人から、過大な事務作業量による体調不良や障害に配慮した業務量軽減等の相談を複数回受けたのに、その障害特性に配慮した必要な措置を速やかに行わず、その結果申立人の健康状態を悪化させたことは、申立人に対する安全配慮義務に反し、生存権及び人格権(憲法25条、同13条)を侵害するとともに、障害者に対する合理的配慮提供義務にも抵触し、法の下の平等(同14条)の趣旨も損なうとして、相手方に対し、申立人に対する就労上の安全配慮及び合理的配慮を要望し、また、障害を持つ労働者への安全配慮及び合理的配慮の重要性を周知させ、その履行を徹底するよう要望した事例。

  • 2023(令和5)年12月04日

    令和元年東人権第49号事件

    警察官による違法な戒具使用等事件(PDF:187KB)

    相手方警察署留置施設内の保護室において、同署員らが、申立人に対し、2017(平成29)年11月14日午後11時50分頃から同月15日午後5時25分頃までの間、長時間にわたり申立人の手首及び胴体にベルト手錠、足首に捕縄を使用し続け(使用時間約17時間35分)、その結果、申立人の手首に末梢神経障害の後遺障害を与えたことは、申立人の身体を違法かつ不当に拘束及び損傷し、もって申立人の人権を侵害したものであるため、今後は、戒具の使用については、必要やむを得ない場合に限り、最小限度の時間にとどめ、被留置者の身体を害することのないように厳重に注意するよう警告した事例。
    同署員らが、上記の戒具の使用中、申立人が食事をする際にも戒具を解かず、申立人に自由な体勢で食事をさせなかったことは、申立人の人格(人間としての誇り、人間らしく生きる権利)への配慮に著しく欠けるものであり、申立人の人権を侵害したものであるため、今後は、被留置者が食事をする際には戒具を解くよう警告した事例。

  • 2023(令和5)年10月12日

    平成31年東人権第18号事件

    違法な職務質問による人権救済申立事件(PDF:386KB)

    警視庁三鷹警察署警察官らが、集団で、2009(平成21)年3月22日午前2時30分頃から午前3時頃まで約30分間前後の間に、東京都三鷹市内の路上において、警察官職務執行法2条1項に規定する不審事由のない、帰宅途中の申立人に対し、暴言や弄ぶような言葉により侮辱し、執拗に停止を求め、同人の身体に手を掛けるなどして同人の歩行を妨げ、同人に対して氏名や所持品について執拗に質問をし続けたこと、これに対して終始申立人が明確に拒絶しているにもかかわらず、同人のバッグを開け内部を見、同人の衣服のポケットに手を入れてポケット内を探索したこと、申立人の身体に苦痛を与える有形力の行使を行ったこと、申立人が警察署に行くことを明確に拒否しているにもかかわらず同人を無理矢理パトカーの後部座席に入れたこと、現場責任者である警察官が他の警察官らの違法な警察活動を止めなかったことは、申立人に重大な精神的苦痛を与え、申立人の意思に基づく行動の自由(憲法13条)を侵害する違法なものであった。 上記警察官らの行為について強く抗議するとともに、今後は、警察官職務執行法2条1項に規定する不審事由がない者に対して、職務質問の要件があるかどうかを確かめるために質問する場合には、一応質問するだけで説得を行わないこととし、相手方が拒否した場合には速やかに終了することとし、暴言や弄ぶような言葉により対象者の歩行を妨げたり、所持品を見せるよう求めたり、警察署へ同行するよう求めたりすることのないよう、警察官に対する指導及び教育を徹底させるよう、勧告した事例。