東京弁護士会

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正に関する意見書

平成15(2003)年12月8日
東京弁護士会
会長 田中敏夫

意 見 の 趣 旨
      育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正にあたり、有期雇用労働者も原則として育児休業の適用対象とすべきである。

意 見 の 理 由
    
  1.  厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会において、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、育児休業・介護休業法という)の改正作業が行われているところ、そのひとつの焦点として、期間を定めて雇用される者(以下、有期雇用労働者という)に対して育児休業取得を認めるか否かが問題となっている。

  2.  現行の育児休業・介護休業法では、有期雇用労働者は一律に育児休業の適用対象から除かれている。
    しかし、近年、期間の定めのない正社員は減少し、契約社員、嘱託、パート、アルバイトなどさまざまな名称の有期雇用労働者の増加が著しい。とりわけ女性労働者については、過半数がパートなど非正規労働者であり、また、多くが有期雇用労働者であって、さらに近年は新卒の女性労働者に関しても契約社員など有期雇用労働者となる割合が増加している。
    こうした現状の中で有期雇用労働者を育児休業の適用対象から除外すれば、同法の趣旨である職業生活と家庭生活の両立を十分に達成することはできない。
    また、有期雇用労働者の多くが契約の更新を繰り返すことにより一定期間継続して雇用されている現状からすれば、有期雇用労働者を期間の定めのない労働者と区別して適用対象から除外する合理的理由は見出し難い。
    さらに、2003年通常国会において有期雇用契約期間の上限を原則1年(例外3年)から原則3年(例外5年)に延長する労働基準法の改正が行われたことからすれば、有期雇用労働者を適用対象に含める必要性はますます大きなものとなっている。

  3.  確かに現在でも、厚生労働省の指針により、形式上有期雇用契約であっても契約関係の実態に照らして実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、育児休業の対象となるとされている。
    しかし、法律の文言上は対象から除かれているのみならず指針の要件が不明確であることから、有期雇用労働者が実際に育児休業を取得するのは極めて困難な状況となっている。また、上記指針は公務員には適用されないため、公務員の非常勤職員については育児休業が認められていないという問題がある。

  4.  当会が平成15年11月22日(土)に行った「産休・育休110番」と題する電話法律相談においても、有期雇用労働者から、「契約更新が予定されていたが、育児休業の話をしたら、会社から『会社を辞めてほしい』と言われた。」「会社からは『長く勤めてほしい』と言われているが、育児休業は取れるのか不安である」といった相談が寄せられており、有期雇用労働者が育児休業取得にあたり困難に直面している実情にあることが確認されている。

  5.  以上のとおり、有期雇用労働者についても原則として育児休業の適用対象とすべきであり、例外を設ける場合にも、当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない者のみを除外するなど、限定的かつ明確で分かりやすいものとすべきである。
以上
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