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消費者保護基本法の見直しに関する意見書

平成16(2004)年1月13日
東京弁護士会
会長 田中敏夫

1) はじめに
    
  1.  国民生活審議会は平成15年5月に「21世紀型の消費者政策の在り方について」(以下、報告書という)を公表し、消費者保護基本法の見直しを提言している。また本年11月6日に公表された「消費者保護基本法の見直しについて」と題する資料(以下、改正資料という)において消費者保護基本法のある程度具体化された改正内容を明らかにしている。消費者保護基本法の改正は国及び地方公共団体の消費者政策の根幹に関わる重要な問題であると考えるので、当会はあるべき改正の方向について以下のとおり意見を述べる。

2) 基本理念と消費者の権利を明記すべきこと
    
  1. 改正資料において、現行の消費者保護基本法に欠けている基本理念を新たに規定し、消費者政策推進に当たっての基本的考え方を明確にする必要があるのではないか、との考え方には賛成できる。

  2. 基本理念としては、改正資料では「ア 消費者の自立の環境整備」、「イ 消費者の権利の確保」、「ウ 国際的協調」、「エ 環境への配慮」を挙げており、これ自体は妥当なものと考えられる。
    ただし、「消費者の自立のための環境整備」は重要な理念であるとしても、「消費者保護から自立へ」という理念を強調するあまり、市場メカニズムと消費者の自己決定に多くを委ね、消費者政策をそれを補完する、二次的なものと考えてはならない。とりわけ消費者と事業者との間の格差が益々拡大する社会的潮流や、事業者に対する様々な事前規制が撤廃される規制緩和政策の進展を考慮するなら、現代こそ消費者の権利擁護のための消費者政策は積極的に展開されなければならない。事前規制の撤廃や消費者の自己決定のための環境整備強調だけを強調し、消費者被害を未然に防止するため、あるいは自己決定権を十分行使し得ない社会的弱者である消費者利益の擁護のための法規制が後退することがあってはならない。
    この点改正資料の記述は簡潔なものとなっているので、その論拠となっている報告書をもとに懸念される点を指摘する。まず報告書の基本的出発点である「保護から自立へ」と「事前規制から事後チェックへ」という2つのスローガンの孕む問題点である。
    報告書は、「第2章」の「第1節 消費者政策の転換」中の「1.消費者政策の転換」において、1)従来、行政による一方的な保護の客体であった消費者が、市場において主体的に行動する自立した主体であることが求められること、2)それによって市場メカニズムを有効に機能させ、事前規制から事後規制へと重点シフトを推進すべきこと、を述べる。しかし、これらの論旨の中で最も懸念されるのは、消費者を保護してばかりいるから自立しない、自立させるには、国は必要以上の保護などしないで個々の消費者に市場における自己責任を求め、基本的に自分の身は自分で守るようにさせるべきである、という乱暴な論理の筋道に援用されかねない、という点である。
    意見書中に述べられている消費者が市場に積極的に参画し、積極的に自らの利益を確保するように行動すべきこと、また、そのための様々な環境整備が図られるべきこと、その結果として十分な情報提供を受けた消費者の取捨選択による市場メカニズムが有効に機能し、その結果として消費者の利益が守られる、との一般論については首肯できるにしても、その反面として、従来の枠組みによる消費者保護が不要である、との趣旨を含むものであるとすれば、賛成できない。
    意見書の内容は、恰も消費者の自立と保護の客体であることが相対立する概念であるかの如く位置付けているきらいがあるが、そのようなものではない。意見書自体、「消費者は事業者に比べ情報力や交渉力において不利な立場にある」(9頁)との基本認識に加え、「消費者トラブルも多様化・複雑化していることから、従前のような事前規制を中心とする行政手法のみに依存することは困難」(10頁)と述べているのであって、従来の消費者保護の枠組みだけでは消費者トラブルの激増に対応できない、というところから出発している。
    従って、基本的な方向としては、1967年の消費者保護基本法制定後、35年間で蓄積された消費者保護の枠組みと手法は今までの水準をより以上に向上させることを目指しつつ、更に従来の手法に追加するものとして消費者の自立のための市場環境の整備という手法が検討されていくべきなのである。

  3.  また、「消費者の権利」が確保されるべきことは、単に抽象的に規定されるべきではなく、消費者の具体的な権利を列記すべきである。できるだけ具体的な形で消費者の権利を規定することにより、それを擁護するための消費者政策の方向性や課題が明確になるし、それを行使する消費者の意識、あるいはそれを尊重する事業者の意識が醸成されると考えられるからである。具体的な消費者の権利としてはすでに報告書において、1)安全を確保される権利、2)情報を提供される権利、3)適切な選択を行う権利、4)被害救済を受ける権利、5)消費者教育を受ける権利、6)消費者政策に意見を反映する権利が挙げられている。これらの権利を消費者保護基本法の中で具体的に列挙するとともに、7)公正な取引条件および公正な取引方法を提供される権利、8)消費者団体を組織し行動する権利を権利のリストに加えるべきである。公正な取引条件と取引方法が前提として存在しなければ、いかに情報を提供される権利や選択の権利が確保されていても、消費者にとって利益となる選択は行い得ないからである。また消費者被害の1つの特徴として広範少額であることが挙げられるが、このような場合に被害を受けた個々の消費者が救済を受ける権利を行使することは望むべくもない。また消費者政策に意見を反映する権利も個々の消費者ではこの権利を実効あらしめることは極めて困難である。これらの場合には消費者が消費者団体を組織し、消費者団体が消費者団体訴訟などで被害救済をはかる、あるいは消費者政策に意見を反映させる必要がある。そのために消費者団体を組織し、行動する権利を認め、消費者団体の機能を強化するための諸施策の実施と、権限の強化が必要である。具体的には、消費者団体の組織・権限についての法的裏付の整備、補助金支出による財政的支援、団体訴権制度の整備、事業者団体による公正競争規約策定(景表法第10条)への関与、等である。

3) 基本的施策
    
  1. 消費者契約の適正化
    改正資料では、消費者契約の適正化として、情報提供や勧誘行為の適正化とともに契約条項が公正なものとなるよう必要な施策を講ずる旨を明確にする必要があるのではないか、としているが妥当な考え方である。
    報告書でも述べられているとおり、消費者の自立のための環境整備としてまず、重要なことは、事業者と消費者との間の情報の非対称性を是正するための消費者への適正な情報提供である。個々の消費者が適切に選択権を行使できるならば、消費者に対してより良い(安全性も含む)商品・サービスをより安価に提供する事業者が市場において生き残り、そうでない事業者は淘汰されるのであるから、事業者もそのように努めることになり、消費者利益は守られる。それには、消費者に選択を正しい情報が必要・十分な量、適切な方法で提供される必要がある。このような適正な情報提供が与えられていることが市場メカニズムが有効に機能するための大前提である。
    この事業者の情報提供の責務は、現代では事業者と消費者との間の情報の量・質の格差が益々拡大化していることに鑑みれば、いよいよ重要なものとなっており、これを事業者に尊重させるためには単なる努力義務ではなく法的義務として設けられるべきである。これまで消費者は乏しい情報しか持ち合わせないのに、選択を誤ればそれは自己責任として救済されないできたが、本来情報をもつ事業者が消費者の選択に必要な情報を提供すべきなのであり、情報を提供しないことにより消費者が誤った選択をした場合には事業者が責任を負うべきなのである。このように「買い手注意」から「売り手注意」へと消費者契約の基本的原則を転換させるために情報提供義務を法的義務とすることは極めて重要である。
    勧誘方法に関しては現在は様々な法律で規制をしているが、縦割り行政であること、どうしても被害の後追い立法になることから、対象範囲が狭かったり、規制される勧誘方法が限定的であったりしている。消費者契約一般に通じる勧誘行為の適正化のための原則がこの改正で目指されべきである。例えば多くの消費者被害の温床となっている不招請勧誘の禁止、判断力不足に乗じた勧誘類型の禁止などの原則が示されるべきである。
    また契約条項の適正化も重要である。不公正な契約条項の背後には消費者と事業者との間の交渉力の格差が存在するが、情報格差の場合と異なりその格差是正は困難であり、立法による積極的な消費者施策を抜きにしてはその解決は期待できない。すでに消費者契約法で不当条項を一部類型化して、不公正な条項は無効としているが、類型が限定されている。不公正条項のリスト化を図り、あらゆる不公正な契約条項が無効であることが明確にされる必要がある。

  2. 消費者教育の充実について
    (1)改正資料が、消費者が自立し消費者利益の擁護および増進のために積極的な役割を果たしていくために消費者教育が一層重要であり、特に学校における消費者教育の充実が重要であるとする認識自体は賛成である。
    しかし、消費者の自立や権利擁護のために消費者自身が積極的な役割を果たすことは当然であるとしても、消費者問題は消費者と事業者との間の力の格差から不可避的に発生するものであり、十分な消費者教育によってもなお消費者の利益を保護する必要が減じるものではないことは認識されなければならない。つまり「消費者の自立」とそのための「消費者教育の充実」を理由として、消費者の利益の保護が後退するようなことはあってはならない。
    (2)消費者教育は消費者被害を減少させる一つの手段ではあるがそれに止まるものではなく、まさに国民に「消費者の自立」を認識させ、消費者の権利を擁護するために行動する消費者とならしむるというものであって、消費者政策の基盤となるものである。
    従って、消費者保護基本法における位置付けとしても、改正資料のように消費者保護の基本的施策の一つとして位置づけるのではなく、消費者保護基本法の基本理念の一部、あるいは総則部分に位置づけられるべきである。
    (3)また、消費者教育の主体としては現行法12条は国を挙げるのみであり、改正資料における主体もはっきりしないが、消費者教育自体は国、地方公共団体、事業者団体、消費者団体等の関係諸機関の協力と連携の下に展開されるべきであると明記される必要がある。そしてそのうえで、国や地方公共団体は、消費者教育について広く国民がこれを受けられるようにするため、消費者教育の機会の提供等について必要な施策を講じるものとする、と明記されるべきである。
    (4)更に、新しい消費者問題が次々と発生する現状においては社会における消費者教育・消費者啓発の重要性も学校における消費者教育に劣るものではなく、条文上明記されるべきである。

  3. 苦情処理・紛争解決について
    (1)改正資料が、苦情処理について市町村と都道府県の役割分担を明確にすべきとし、都道府県・市町村ともに苦情処理のあっせん等に努め、都道府県はそれに加えて施策の総合調整を行うべきとしていることは賛成である。また、苦情処理等で解決困難なものについてはあっせんや調停による紛争の解決が必要であるとする方向付けも賛成である。
    (2)現行法15条は、苦情処理の第一次的役割が市町村にあるものと規定し、国および都道府県はその基盤整備として必要な施策を講ずるように努める旨定めており、上記(1)の改正資料記載のような方向を定めていない。そのため、近時、都道府県の消費生活センターの統廃合が進行する事態や、国民生活センターの直接相談を廃止する動きが進むなど、紛争解決機能の低下が危惧される状況になっている。
    一方、現実には消費者問題の複雑化・多様化・広域化が進む中で、消費生活センターにおける苦情処理も困難な法律問題を伴うものが多くなっており、最終報告も指摘するように、消費生活センターによる公正・迅速な紛争解決機能を強化することが一層求められている状況にある。とりわけ、高度な紛争解決や広域的な被害救済の機能を果たすには、国及び都道府県による紛争解決機能を強化することがまず求められる。
    従って、第一次的な紛争解決機能を市町村だけでなく国及び都道府県も担うべきであることをまず、明記すべきである。
    そして更に、消費生活専門相談員や消費生活コンサルタントなどの専門的知見や科学的検査データ等による紛争解決を図ることを明確に定めるべきである。
    (3)また、消費者問題の特性に照らせば、事業者と消費者の格差を補いつつ実質的に公正な解決を目指す行政型紛争解決機関(ADR)の整備が重視されるべきであり、その点も消費者保護基本法上に明記されるべきである。

  4. 国際的連携の確保
    (1)改正資料が、消費者施策の推進にあたって国際的連携を確保する旨を明確にすべきとしているが、賛成である。
    (2)消費者保護基本法が制定された昭和43年に比較して、経済は飛躍的に国際化し、輸入品は格段に身近になり、今や消費生活に必要不可欠になっている。また近時のインターネットの普及はめざましいものがあり、国境を越えた新たな消費者トラブルも急増している。このような現状を踏まえれば国際的な連携の確保を消費者保護基本法上に明記するのは時代の趨勢と言える。

4) 行政・事業者の責務、消費者・消費者団体の役割について
    
  1. 国並びに地方公共団体の責務
    改正される消費者保護基本法における、1)国と地方公共団体、2)事業者と事業者団体、3)消費者と消費者団体という三者の新たな役割分担の在り方は、以上述べてきたところから自ずと導き出されるものである。
    すなわち、国または地方公共団体の役割・責務としては、以下(1)~(5)のことが規定されるべきである。なおこのうち(4)についてはこれまで触れていないので、若干説明を加える。
    (1)消費者・事業者間の情報の非対称性を是正すべく、商品・サービスの提供に先立ち、事業者が消費者に対して必要・十分かつ正確な情報を、適切な方法で消費者に提供することを義務付ける施策の推進。これには情報提供義務の明確化と、消費者の選択を不当な影響力から守るための不招請勧誘の禁止、虚偽誇大な広告・勧誘(不当表示)に対する規制が考えられる。
    (2)義務教育の段階からの消費者教育の強力な推進。
    (3)消費者団体の組織・権限についての法整備、財政支援、団体訴権の制度の整備。
    (4)公正取引委員会と消費者団体双方を主体とする競争政策の徹底。
    競争政策は消費者保護と表裏の関係にあり、「公正自由な競争の確保」を謳う現行消費者保護基本法第11条の規定もそのことの顕れである。消費者保護を市場のメカニズムが適切に機能することによって図るというのであれば、その前提条件として、市場原理を有効に機能させるため、独占禁止法上の不当な取引制限(カルテル)、不公正な取引方法、あるいは景表法上の不当表示などの公正な競争を阻害する要因が除去されなければならない。
    近時の公正取引委員会は、21世紀の競争政策として、消費者保護政策の強化を推進しており、内閣府国民生活局との連携・情報交換等を開始しているが、未だ緒についたばかりである。
    そこで、公正な市場を攪乱する事業者を排除しまた社会的弱者の権利を擁護する監視・取締機能を強め、それを実現するための手段を講ずべきである。
    更に、公正取引委員会の機能を補完し、消費者の競争政策への積極的関与を確保するためにも、現行独禁法上の差止請求権の当事者適格を前記団体訴権を通じて認めること、差止の対象を景表法違反にまで拡張すること、などの施策が検討されるべきである。
    (5)各地の消費生活センター・国民生活センターの組織・機能の更なる強化。
    前記したように、最近都道府県における消費生活センターの統廃合等の動きが進められ、国民生活センターの直接相談も廃止されようとしている。しかし消費者行政において消費者相談窓口は消費者の被害・苦情・意向などを把握するための重要な機関である。
    国レベルでいえば、これまで国民生活センターの被害に関する資料は数々の消費者の権利擁護の立法化に役立ってきたし、消費者被害の拡大防止にも貢献してきた。
    また都道府県は、住民の消費生活を守るため、消費生活条例を制定し、各種法令にもとづく消費者行政上の事業者に対する各種の指導・監督権を持っている。しかしながら一部例外的な自治体を除き、これまで消費者被害を防止するためにそれらの条例や権限が十分活用されてこなかったという批判がなされている。今後消費者被害を感知するセンサー機能をもつ消費生活センターなどの相談部門が縮小・廃止されることになれば、都道府県は住民からの消費生活上の苦情や被害から遮断され、消費生活条例や事業者への指導・監督権限はこれまで以上に実効性のないものとなろう。
    よって現在進行中の国及び都道府県における相談窓口の縮小・廃止は見直されるべきである。

  2. 事業者・事業者団体の責務
    事業者及び事業者団体の責務として以下(1)~(5)の項目が規定されるべきである。
    (1)消費者に対して、商品・サービスの品質・内容について必要・十分な情報を提供すること、かつ、その反面として虚偽・誇大な勧誘・広告活動を行わないこと。情報提供の方法も、適切であること(消費者の選択にとって、真に必要な情報を、標準的な消費者であれば容易に理解できるような形で情報提供を行うこと)。
    (2)透明性の高いガラス張りのコンプライアンス経営を実現することに尽力すること。
    (3)そのコンプライアンスの一環として、カルテルに関与せず、不公正な取引方法を行わないこと等により公正かつ自由な競争秩序を維持するように努めること。
    (4)事業者団体は、消費者に提供する商品・サービスの最低限の品質・安全性を確保すべく、自主規制、製品の規格化、マーク制度、公正競争規約等により、最低基準を下回る商品によって消費者利益が害されることのないように尽力すべきこと。
    (5)事業者団体は、上記最低基準に合致しない商品・サービスによって損害を受けた消費者の相談窓口、ADRの整備に努め、かつそれが客観的かつ公平な観点から紛争解決に対応できることを確保するために、人的・組織的・手続的な工夫を行うべきこと。

  3. 消費者・消費者団体の役割
    (1)消費者の役割は、過度に強調されるべきではない。前記のとおりの個々の消費者の情報の質・量、交渉力、判断能力、経済力の脆弱性に鑑みれば、消費者は前記した市場環境の整備が完全に整えられた後に、初めて自立を求められることになり、しかもそれは、自らのために商品・サービスを購入することによって市場メカニズムを機能させるという趣旨の役割以上のものではない。
    (2)消費者団体の役割については、積極的関与を求める意見書の論旨に賛同できる。即ち、消費者への情報提供、消費者教育・啓蒙活動、個々の消費者の意見を集約した消費者政策への提言、公正な市場メカニズムを機能させるための市場監視、消費者被害が発生した場合の相談・救済活動が考えられる。
    (3)特に、諸外国の例に照らしても、団体訴権制度を早急に整備し、消費者団体が消費者利益を効果的に確保することを可能とすべきである。
    (3)消費者団体に上記のような役割を期待するのであれば、それは紛れもなく消費者施策の一部を担うことになるのであるから、消費者団体の活動に必要な財政的支援の仕組みも施策化されるべきである。

5) 行政の推進体制
    
  1. 国の推進体制
    (1)国は、消費者被害に対して、迅速な被害救済と被害防止のための施策を強力に推進すべきである。これまで事前規制を撤廃・緩和してきており、今後もその傾向が予想されるのであるから、事後救済が強化されなければならないことは当然である。
    消費者被害の事後救済を実効あらしめるためには、相談機関・ADRの整備、訴訟へのアクセスを容易にすることが図られなくてはならない。ADRとしてはこれまでの地方公共団体の消費者センターや国民生活センター等の行政型ADR、事業者・事業者団体によるもの、消費者団体によるものが考えられるが、迅速性とともに公正・中立性が確保されるよう整備されることが要請される。また司法へのアクセスに関しては弁護士費用の敗訴者負担等消費者を訴訟から遠ざけるような制度はとられるべきではない。
    (2)国民生活センターについては、消費者に対する情報提供機能及び相談助言機能を一層強化するほか、実効ある裁判外紛争処理機能を整備・強化するし、また、関係省庁・事業者に必要な措置を講ずるように勧告する権限を強化すべきである。
    (3)公正取引委員会の強化については先に述べたところである。

6) 法律名
     改正資料では法律名を改めてはどうか、との意見が示されている。消費者を保護の客体とみている色彩の強い現在の名称を改めることには賛成である。新たな名称としては前記した内容が盛り込まれるとすれば、その内容から「消費者の権利確保に関する基本法」とされるべきである。
以上