東京弁護士会

外国人被告人勾留に関する特別抗告棄却決定 (6/28最高裁第一小法廷)に関する会長声明

2000年06月30日

東京弁護士会 会長 平山 正剛

 電力会社女性社員殺害事件の犯人として起訴された外国人男性に対して、本年4月 14日、東京地方裁判所において無罪判決が言い渡された。 ところが、東京高等裁判所は、同被告人について勾留決定をなし、6月28日、最高裁判所は上記東京高等裁判所の勾留決定を支持し、特別抗告を棄却した。
しかし、最高裁判所の棄却決定は、第一審である東京地方裁判所の無罪判決を無視 するものであり、外国人に対して、日本人とは異なる特に不利益な取扱いを容認して しまったものとの批判を免れないと言わなければならない。第一審における判決の意味を厳粛に受け止めなければならないはずであり、それが我が国の刑事司法の制度である。 すなわち、被告人に対して無罪の推定が働いていることは改めて述べるまでもない ことであるが、われわれは第一審の無罪判決の意味を再確認する必要がある。刑事訴 訟法第345条が、無罪判決が言い渡された場合には勾留状が失効すると規定してい るのは、第一審の判決の意味を重大に受け止めるべきであることが前提とされている からである。この点は、特別抗告棄却決定における2人の裁判官の反対意見でも指摘 されているとおりである。
そして、日本人については上記規定により釈放するのに対して、当該外国人につい て東京高等裁判所が職権により再度勾留を決定したことは、出国の自由・人身の自由 を規定した憲法は勿論、関連する国際人権条約にも違反するものである。 しかも、刑事訴訟法第60条が規定する勾留の要件としての「罪を犯したことを疑 うに足りる相当の理由」については、第一審の無罪判決によって、この要件が打ち消 されたことは前述の刑事訴訟法第345条の存在からも明らかである。 それにもかかわらず、最高裁判所の特別抗告棄却決定は本件被告人の出国の自由・ 人身の自由を侵害するものであり、極めて遺憾である。
本会は憲法、自由権規約、人種差別撤廃条約の適用において、日本人と外国人とに おいて差別があってはならないと固く決意するものである。
本会は、本件被告人につき、今後勾留取消・保釈・仮放免などを裁判所・入国管理 局が認めることによって、一刻も早く身体拘束が解かれることを強く希望するととも に、今後、収容制度・勾留制度の運用によって、外国人被疑者・被告人の人権を不当 に侵害することがないよう、強く希望する次第である。

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